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野菜と果物の魅力について

ベジタブル&フルーツマイスター協会認定カルチャースクール講師
栄中日文化センター「野菜ソムリエに学ぶー野菜生活向上のススメ」担当
服部 佳世子

「筍掘」「レタス」

いよいよ毎年恒例、あの憂鬱な梅雨の季節がやってまいりました。
すでに沖縄では4月の終わりに梅雨入りしたとのニュースもあり・・・ああ、もうそんな季節になったのだなあ、洗濯物が乾かない、外出が億劫だ・・・などなど、気が重くなってしまいます。しかし鬱々としているのは、私たち人間だけかもしれません。
そう、一年を通していつも私たちの生命を「食」という形でささえてくれる野菜たちにとっては、梅雨はとても大切な季節なのです。
去る5月1日は八十八夜。もう霜が落ちる心配もなく、種まきの最良の時期であり、節目です。まかれた種が芽をだし、これから順調に成長していくためにも、梅雨の時期は恵みの雨をもたらす大切な時期なのですね。
さて、この時期、皆様はどのようにお過ごしになられますか?かく言う私も、実は毎年、お天気など気にかける暇もないほど(?)充実した日々を過ごしております!
特にこの6月は、一週間に1度は講座や料理教室が入っており、てんやわんや。でも毎日たくさんの出会いと発見がある、楽しい月でもあるのです。


参加される皆さんが、来てよかった、と思ってくださるように、おいしく楽しいひとときを提供できるよう心がけたいと、今から張り切っています。

さて、そんな5月のはじまりは「筍掘」でした。たびたびご紹介している、野菜ソムリエの仲間たちの活動、ベジフルコミュニティーあいちでの年中行事のひとつです。
筍掘の場所は、私たちコミュニティーの「自由畑」の脇にある竹林です。
すでに、寒い、寒い1月に、やさしい男性たち数名が、春になったら筍をスムーズに掘れるようにと整備をしておいてくださいましたから、とってもありがたいことです。
しかしこの筍掘の当日は、大変暑い日でした!皆さんふーふー言いながら、汗をかきかきがんばって掘り続けたようですよ!

・・・といいますのも、この日、私が主に担当したのは、昼食係り。
一生懸命働いた後、腹ペコで戻ってくる皆さんのために、腕まくりでがんばりました。
もちろん昼食のメインは「筍ご飯」。
いつもお世話をしていただく方の奥様が、前日から筍を茹でてアクを抜いておいてくださいました。こうして下処理をしていただいたので、調理のためのとりかかりも早く済み、大変助かりました。


集会場の台所。
大きなお釜が

ところでここでちょっと考えてみてください。
どれくらい筍ご飯を炊いたと思われますか?
用意する食事の数は、参加人数の29名分です。
ですから使うお釜も大きな、大きな三升釜なのです。
皆さん三升釜ってご覧になったこと、ありますか!?
昨年は、この三升釜を使って、二升五合炊いたのですが、かなり残ってしまいましたから、今回は二升分炊くことにいたしました。
まずお米とぎから開始です。が、ここからすでに大変な作業です。
続いて具を準備します。筍、油揚げをどんどんきっていきます。その量といったら、半端な量ではありません。
次に、たっぷりのだし汁に調味料(砂糖、酒、みりん、醤油)を用意します。もうこのあたりから、何が何だか分量さえわからなくなってきます。ええい、こうなったら長年の経験から目分量で勝負です!煮立ったところに筍、油揚げを入れ、何度も何度も味見をしながら炊き上げ、ザルに上げ、煮汁はご飯の水加減で使用するためとっておきます。そしてといだお米を炊飯器に入れるのですが、この入れる、という作業だけとってもやっぱり大仕事、その中にさきほどの煮汁を混ぜて水加減を調整、そこに煮上がった筍、油揚げを入れ、ハイ、スイッチオン!!
ふ~っ、がんばりました!あとは炊飯器におまかせです。
しかし調理はまだまだ序の口、これからが本番です。ご飯が炊きあがるその間に、新タマネギと油揚げのお味噌汁、切り干し大根とキュウリの酢の物をぱぱぱぱぱ~と手際よく作らねばなりません。さあさあ、スピードアップ、でもとっても楽しく作り上げましたよ。
そうこうするうちにごはんも炊き上がり、蒸らしも終わってちょうどいいタイミングに皆さんがお腹を空かしてお帰りになられ、はい、どうぞ召し上がれ。暑さのため皆さんぐったりのご様子です。本当にお疲れさまでした。

お話はかわって、次なるは、やっぱり書きたい私のグルメ情報です。
野菜ソムリエ3人で御器所にあるレストラン「グルマン」に

シェフがフランスからちょうど帰ってこられたばかりとのことで、直接買い付けられたというあちらの貴重な素材やバター、ワインをいただくことができました。今回もそのお料理もさることながら、フランスでの素敵なお話をお聞きすることができ、楽しいひと時を過ごせました。

さてさて今月はどなたにスポットあてましょうか・・・。
おっと、大変なかたを忘れていました。私たちにとって、身近な野菜のひとつです。
それは疲労回復や催眠効果があるといわれる『レタス』。
ここからは、サラダ料理の主役、食の洋風化で一躍活躍の場が多くなった『レタス』の魅力について勉強しましょう。


『レタス』 指定野菜の一つです。

指定野菜とは日本国内で出回る野菜のうち、農林水産省が国民生活に対する影響が大きいという理由で、複数をふくむ産地・供給先を定めている野菜で主要14品目ともいいます。
因みにハクサイ キャベツ ダイコン ホウレンソウ サトイモ タマネギ ネギ レタス キュウリ ピーマン ナス トマト ニンジン ジャガイモがあります。

【分 類】 キク科アキノノゲシ属
【原産地】 中近東 地中海沿岸が原産地といわれています。
歴史は意外と古く古代エジプト時代にはすでに食べられていました。日本へは中国から伝わりましたが、初めの頃は下の方の葉から掻きとって使う「掻きちしゃ」が主流でした。平安時代に「ちしゃ」の名前で広く食卓に並べられたようです。今のような玉レタスが入ってきたのは明治維新の6年前の1862年だそうです。第2次大戦後アメリカから導入されたという説もあり、食の欧米化にあわせてレタスの需要は増えています。
【名前の由来】 英語名のlettuceは、ラテン語のラクチュカlactucaからきています。
この語源は「乳」を意味するラクlacです。
レタスの葉や茎を切ると、乳に似た白い液がでるところからきています。
昔、日本ではレタスを「ちしゃ」と呼んでいました。漢字では「乳草」。
この「ちちくさ」が「ちしゃ」になっていきました。
東西を越えてともに「乳」をイメージして名前をつけたのは面白いですね。
【旬】 周年出回る。春秋は都市近郊、夏季は長野の高原や東北、北海道、冬季はハウス栽培が中心。7月、8月の高原レタスが美味です。
美味しいわけは昼夜の温度差で甘みを増し、高原に発生する霧で適度に水分がたもたれることもあり、柔らかくみずみずしい。
【栄養】 約95%が水分、ビタミンEをもつ野菜として注目され血行をよくするほか活性酸素を抑え成人病を予防するといわれています。
ビタミンB1も含まれ疲労回復を促します。

レタスで快眠
 「乳草」の液に含まれているラクッコピコリンという成分には、鎮静、催眠効果があるといわれています。イギリスの絵本「ピーターラビット」のなかで、レタスを食べ過ぎたウサギたちが眠り込んでしまうという場面があることから、昔からレタスによく眠れる成分があったことは知られていたようです。この成分は葉にも含まれていますが、茎や芯に多いので、葉だけではなく芯も食べ、快適な睡眠をとるために必要だといわれているカルシウムやビタミンB群もしっかり摂るように心がけましょう。
 栄養的には「玉レタス」より「葉レタス」が優れているといわれています。葉レタス類は緑黄野菜で、カロテンやビタミンCやEなどのビタミン類も、カリウムやカルシウムや鉄などのミネラル類も淡色野菜である玉レタスに比べ数倍多く含まれています。
  • カリウムがナトリウムを排泄して血圧を下げる働きをするといわれています。
  • 鉄は鉄欠乏性貧血を予防するといわれています。
  • カルシウムが骨を丈夫にするといわれています。
  • ビタミンEは体内の脂肪部分の酸化を予防し老化を遅らせる働きがあるといわれています。
  • ビタミンA、Cとの共同作業で、細胞のがん化を防ぐといわれています。
  • 一方玉レタス類には栄養が多いというわけではないのですが調理しないで簡単に食べられる点や生食することが多いので栄養成分の調理損失が少ない点が長所だといわれています。
  • 生ではたくさん食べられないので、食物繊維などを期待する場合には、加熱して食べることもおすすめです。
【種類】 結球するタイプ クリスプ型
  結球しないタイプ サラダ菜 サニーレタス シルクレタス ロメインレタス プリーツレタス グリーンリーフ
  玉チシャ 丸く結球するタイプ(クリスプ型、バター型)
  クリスプ型 レタス
  バター型 サラダ菜 マロンレタス(サニーレタスとサラダ菜の交配、葉の色や縮みはサニーレタスに似ている。)
  葉チシャ 結球しないタイプ
サニーレタスは銘柄名で正式名はブライツヘッド。葉チシャの消費のさきがけとなった。
グリーンカールはカールレタスという別名もあるように、葉に細かい縮みがはいる。葉は緑色で味にクセがなく、食感も柔らかい。
青縮緬チシャはプリーツレタスは銘柄名。マミーレタスとも呼ばれている。アメリカでは古くから栽培されている品種。クセのない味。
シルクレタスは葉先が美しい薄紅色をしているのが特徴。ピンクロッサは銘柄名。
  立チシャ エーゲ海コス島原産。先が尖った楕円形が特徴。外側は濃緑色、内側は淡黄色で、生食に向く。
別名ローメインレタス、コスレタス。
  茎チシャ 別名アスパラガスレタス、ステムレタス、セレタス。茎と若い葉を食べる。短く太いものから細くて長いものまである。これをきざんで乾燥したものを、山くらげと呼ぶ。
  掻チシャ 別名カッティングレタス。
朝鮮、中国名はサンチュ。下葉を掻きとって使う日本古来のチシャで、包菜という別名もある。
【保存方法】 はがした外葉でくるみ、さらにラップで包んで冷蔵庫の野菜室に保存します。時間をおくと、鮮度が落ち、苦みも出るので、なるべく早く使い切りましょう。
【選び方】
  • 持ってみて軽く、レタス全体に弾力のあるもの。(重いものは収穫時期が遅れて葉が硬くなり苦味が出ている可能性があります。)
  • 切り口が10円玉の大きさで白いもの。(連続して何年も同じ土地で育ったレタスは株が大きくなります。切り口が10円玉程度の大きさならきちんと管理された土地で育った証拠です。)
  • 古くなると赤茶色に変色するので、色のうすいものを選びましょう。
  • 葉の緑が濃くないものを選びましょう。(濃い緑色の葉をしているものは、収穫に適した大きさまで育たないうちに採られた可能性がたかく、苦味がある場合が多いです。)
【用途/調理】
  • 丸ごと冷水に浸せばビタミンCは失われません。
  • ゆで時間は2分ほどを目安にします。
  • 包丁を当てた部分は褐色に変色しやすいので、手でちぎったほうがいいでしょう。(包丁で切ると細胞が壊れてそこにあったポリフェノールが酸化して、メラニン色素にかわります。これが変色の原因です。手でちぎると細胞が離れやすいところで分かれるので壊れず変色も防げます。)
  • サラダが一般的ですが、鍋にも向きます。しゃぶしゃぶのようにダシにくぐらせ、しんなりしたら、ポン酢やごまだれにつけて食べると美味しいです。またチャーハンなどにも。 

参考資料:
「花図鑑野菜」草土出版
「旬の食材春・夏の野菜」講談社
「野菜のソムリエ」小学館


サニーレタスを使ったサラダを

ミモザサラダ

材料 6人分

 サニーレタス ...120g
 キュウリ ...1.5本
 トマト ...小2個 大1個
 トウモロコシ ...1本
 かいわれ菜 ...1.5パック(78g)
 茹で卵 ...3個

【ドレッシング】
 オリーブオイル ...1/2カップ
 ワインビネガー ...大さじ3
 砂糖 ...小さじ1.5
 塩・コショウ

作り方

1. 卵は茹でて白みと黄みを別々に裏ごしておきます。トウモロコシも茹でておきます。
2. サニーレタスは洗い適当な大きさに手でちぎっておきます。
キュウリは輪切り。トマトは皮をむき角切り。トウモロコシは実をとります。
かいわれ菜の根を落して3つくらいに切っておきます。
3. ドレッシングは材料をボールに入れてよく混ぜておきます。そのボールに2.のトウモロコシを混ぜ、そこに2を入れて混ぜてからお皿に盛ります。
4. その上に卵の裏ごしを飾ります。

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