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野菜と果物の魅力について

ベジタブル&フルーツマイスター協会認定カルチャースクール講師
栄中日文化センター「野菜ソムリエに学ぶー野菜生活向上のススメ」担当
服部 佳世子

★お正月 「かぶ」

新年明けましておめでとうございます。
昨年に引き続き今年もよろしくお願い申し上げます。
今年は絵手紙に書いたように慌てず、己の分をわきまえ無理せず自分で出来ることを一生懸命ゆっくりでいいので、楽しみながら何事もこなしていきたいと思っています。

さてさて、皆様はどんなお正月をお過ごしになられたのでしょうか?
年末には不景気風の吹く中、おせち料理が爆発的に売れたとか・・・・・
皆様方もそれぞれの家庭独自なおせち料理をお持ちのことと思います。
以前はお正月といえば、お店やデパートもお休みなので、暮れのうちに作ってそれをお重に詰めて頂いていたようですが、最近では2日からほとんどのスーパーやデパートが営業しており、作り置きする必要がなくなってしまったのでしょうか・・・・
でもやはりお正月といえば「おせち」ですね。

そもそもおせちの語源とは・・・
五節供(ごせっく)という言葉。一年のうちに五回ある節句「人日」(一月七日)、「上巳」(三月三日)、「端午」(五月五日)、「七夕」(七月七日)、「重陽」(九月九日)の際、神様へのお供え料理として作られたものが、いつしか一番盛大に祝うお正月料理だけを指して、「おせち料理」と呼ばれるようになったとか・・・・
現代では、おせち料理は大晦日のうちにすべて重箱に詰めて年神様に供えるというのが一般的です。一年間の豊かな実りや家族の安泰、子孫繁栄など、様々な願いがそれぞれの料理に込められ、供えられます。
そして新年が明けるとそのお下がりを皆でいただくのが習わしとなり、日本の伝統として伝わっているようです。
そこでおせち料理に欠かせない野菜にどんな意味合いがあるのか記しておきましょう。

橙・・・・・代々子孫繁栄

牛蒡・・・豊年と一年の息災を願う

人参・・・平和の願い

蓮根・・・将来の見通しがよくなる

慈姑・・・芽が出ることから子孫繁栄

黒豆・・・豆に暮らせますように

栗・・・・黄金色よりお金持ちになりますように

このように昔の人は、ちゃんと考えていらっしゃったのですね。(こじつけといってしまえばそれまでですが)おせち料理一つにしても意味のないことはないのだと改めて考えさせられました。
やっぱり作るべし、今年も頑張って作ることにいたします。
ちなみに私は年末は出し巻き卵と、伊達巻作りに追われました。
別に商売をしているわけではありません、一年間お世話になった方への感謝の気持ちとしてもらっていただくのです。今年は100本近く焼きました。さすがに疲れました・・・!

そんな中、休息も兼ねてお友達が京都行きを誘ってくれました。伏見稲荷参拝が主な目的です。
ず~と続く朱色の鳥居をくぐりぬけ、一番奥まで、やっとのことで階段を上りました。
お参りを済ませた後の、頂いた甘酒の美味しかったこと・・・・!
しかしそれもつかの間の一服でした。帰りにはまた再び何段も続く階段を下りることになり膝はがくがくでした。はてさて、正月太りの解消になったでしょうか?
続いて京都の繁華街四条に出、八坂神社、知恩院をお参りして、京都の台所を預かる錦市場へ、野菜のソムリエとしてはやはり京野菜に興味があり、老舗の京野菜屋さんに参りました。名古屋ではなかなかお目にかかれない堀川ごぼう、鹿ケ谷カボチャ、聖護院かぶらなどが売られています。
7日は七草粥ということで、七草のセットを買い求め、街をぶらぶらして満員の新幹線で帰ってきました。
疲れましたが女3人旅、とても楽しい一日でした。

《野菜ソムリエ服部佳世子の一言》
◇春の七種(春のななくさ)
 せり、なずな、ごぎょう、はこべら、
 ほとけのざ、すずな、すずしろ
実は七草と書かないで七種と書くのが正式だそうです。
これは秋の七草と区別するためとか。
◇なぜ七種がゆを食べるのでしょう
 邪気を払い万病を除く意味と、おせち料理で疲れた胃を休め、野菜が乏しい冬場に不足がちな栄養を補うという効能がある、といわれています。

そうそう先月、干し野菜を始めたお話をしましたね。
続いていますよ!
生しいたけはそのまま戻さないで使えますのでなかなか便利です。

干し野菜のよい点といえば・・・
 旨みが凝縮します。
 食感を楽しめます。
 煮崩れがしにくいです。
 保存が利きます。
私はこの4つを上げたいと思います。

大根葉のふりかけ
 葉を束ねて天日にかざします。
 ミキサーで細かくして、塩で味付けします。(黒こしょうをプラスすると美味です)
 ご飯にかけて召し上がって下さい。
炊き上がったご飯に入れて菜飯として召し上がっていただくのもいいですよ。

今回は七種の一つ「すずな」にスポットを当てることにいたしましょう。

★『カブ』
日本では古くから親しまれてきた野菜。
日本のカブの記録は「日本書紀」にまでさかのぼり、蕪青(あおな)という名で記載されています。また古くは「くくたち(茎立)」とも呼ばれていたようです。
  【分類】
    アブラナ科 アブラナ属
  【原産地】
    中央アジアのアフガニスタンかヨーロッパの西南部かは不明。
  【美味しい時期】
    10~11月
1年中出荷されますが3~5月 10~11月が特に多く出荷されます。
  【栄養】
   
    白い根の部分は淡色野菜、緑の葉の部分は緑黄色野菜。
  • 葉にはカロテンが多く含まれ、ビタミンB1、B2も多く、老化予防や糖質の代謝、疲労回復に効果的といわれています。
  • ビタミンCを多く含むので、皮膚の健康を保ち、風邪の予防を期待できるといわれています。
    かぶ1束の葉でほうれん草1束分に匹敵します。
  • カルシウム、鉄、食物繊維も比較的多く含まれています。
  • 根にはダイコンと同様、ジアスターゼが豊富に含まれ、生食すると消化の助けになるといわれています。
    (しかし塩でもんだり、酢につけたりすると酵素の効果は弱まるといわれています。)
  【種類】
    東洋種・・・中国、朝鮮を経て縄文時代に導入されました。
西洋種・・・同時期北部経由でシベリア、朝鮮経由で東北地方に導入されたと考えられるようです。
かぶは日本全国各地に、約80もの品種があり、その中には地域独特の在来品種も数多くあります。
関ヶ原を境に、東と西とでは系統の違うものがつくられていたようです。
原産地アフガニスタン辺りから、ヨーロッパを経て伝わった日本型の系統は西で主に栽培されています。東には赤かぶ系統が多いのも特徴の1つです。

東洋種
(中国経由)
... 聖護院かぶ、近江かぶ(滋賀)、天王寺かぶ(大阪)、日野菜かぶ(滋賀)、大野紅かぶ(北海道)、津田かぶ(島根)
西洋種 ... 温海かぶ(山形)、飛騨紅かぶ(岐阜)
大きさで分類 ... 小かぶ、中かぶ、大かぶ
色で分類 ... 赤、紅、白
  【保存方法】
    購入後、葉を切り落とし、別々に保存しましょう。葉が水分を吸収し、「ス入り」の原因になります。
冷蔵庫の野菜室に保存し、2~3日で使い切りましょう。
  【見分け方】
   
  • 葉の緑色が濃く、みずみずしいものを選びましょう。
  • 茎にしっかりした堅さがあるものを撰びましょう(古いものは柔らかくなります)
  • 茎の付け根が淡い緑色のものを撰びましょう。
  • 肌のきめが細かく、ツヤがあり、できるだけ白いものを選びましょう。(古くなると皮の水分が抜けシワができます)
  • 丸くて変形がなく、キズひび割れのない、胴がパンとはったものを撰びましょう。
  • ひげ根を切った後が小さいものを撰びましょう。
  【用途/調理】
   
  • 甘酢漬け、かぶら蒸し、含め煮、味噌汁のみ、スープ、ポトフ等
  • 比較的大きなものが、加熱すると甘みが強くなるようなので、小さいものは漬物やサラダに、大きめのものは煮ものに使うとよいでしょう。
  • 白く美しく仕上げたい時は、皮を厚めにむいて面取りすると、煮崩れせず、なおかつ味の浸透もよくなります。
  • 火のとおりが早いので、他の野菜と煮るときは最後に入れるといいでしょう。
  • 葉はアクがないので、湯通しして根と一緒に漬けたり、炒め煮、汁物に使いましょう。
  【一言】
   
  • アクが少ないので下茹では不用です。
  • カブの持つまろやかな甘み、旨みを生かすように、味付けはうすめで仕上げるといいでしょう。
  • 生のシャッキリ感、火を通した時の柔らかなほっくり感と、調理方法によって異なる食感を楽しみましょう。

今回のレシピはかぶら蒸しをご紹介いたしましょう!

白身魚のかぶら蒸し

材料   4人分
  かぶら・・・・・・・・・・・・・・・ 800g
  塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 小匙1/2
  卵白・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1個
  白身魚切り身・・・・・・・・・・ 50g×4切れ
  海老・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4尾(又はかき8個)
  酒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大匙2
  塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 少々
  ぎんなん・・・・・・・・・・・・・・ 12個
  柚子  
  <餡>  
   だし汁・・・・・・・・・・・・・・・ 1.5カップ
   酒・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大匙2
   みりん・・・・・・・・・・・・・・・ 大匙1
   醤油・・・・・・・・・・・・・・・・ 大匙2~2.5
作り方
  1、 かぶらは皮をむき、おろし、かるく絞ります。
  2、 白身魚は洗い水気をよく拭きます。海老は皮をむき背ワタを取り洗い、水気を魚同様よく拭いて、塩、酒をふりかけておきます。牡蠣を使用するならば塩水で洗いよく拭いてください。
  3、 ぎんなんは茹でておきます。
  4、 柚子は細い線切りにします。
  5、 鍋に餡の調味料を入れ、火にかけて煮たったら、水溶き片栗粉をいれて混ぜ作ります。
  6、 1のかぶらに塩と卵白を入れ混ぜます。
  7、 器に2をいれ6を上からかけ、ぎんなんを散らします。
  8、 よく湯気の出た蒸し器に7を入れ、ふたとの間にぬれ布巾をかけて、強火で10分蒸します。
  9、 蒸しあがったら餡をかけ、ほそく切った柚子をのせます。
  ぎんなんは中にいれてもまた、出来上がった上に散らしてもよいです。
        ★白身魚は今回鯛を使いました。★百合根を入れてもいいです。


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