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野菜と果物の魅力について

ベジタブル&フルーツマイスター協会認定カルチャースクール講師
栄中日文化センター「野菜ソムリエに学ぶー野菜生活向上のススメ」担当
服部 佳世子

★ 師走 「柿」

カレンダーも余すところ1枚となりました。
楽しい事、悲しい事、うれしかった事、怒りたいような事・・・。たくさんの様々な想い出を1枚、1枚めくっていくと、最後の1枚には、どんなエピソードが刻まれているのでしょうね・・・・。

巷ではジングルベルの歌が鳴り響き、行き交う人々はなんとなく早足で通り過ぎる。
そうか、師走なんだと改めて感じさせられる今日この頃です。こんな事を感じるのも自分が年をとったせいでしょうか!!

ところでそもそも「師走」って何だろう?いわゆる「先生」でも走るほど忙しいから・・・?どうして・・・?
まずは、その疑問をひもといてみようと思います。
師走について語源由来辞典よりお借りしました。

【意味】 師走とは、陰暦十二月のこと。
【語源・由来】 師走は当て字で、語源は以下の通り諸説あり、正確な語源は未詳である。
師走の主な語源説として、師匠の僧がお経を上げるために、東西を馳せる月と解釈する「師馳す(しはす)」がある。
この説は、平安末期の「色葉字類抄(いろはじるいしょう)」に、「しはす」の注として説明されている。
現代の「師走」と漢字の意味も近く、古い説であるため有力に思えるが、「師馳す」説は民間語源で、この説を元に「師走」の字が当てられたと考えられる。
その他、「年が果てる」意味の「年果つ(としはつ)」が変化してとする説。
「四季の果てる月」を意味する「四極(しはつ)」からとする説。
「一年の最後になし終える」意味の「為果つ(しはつ)」からとする説などがある。

色々な意味合いがあるのですね。改めて日本語の奥深さを知らされました。
私は商家で育ったこともあり、師走といえば、とにかく大掃除の手伝いをさせられたことを覚えています。家族皆で家全体をきれいにして、新しい年を迎えるのが、毎年末の我が家の恒例行事でした。そして大掃除が済むと、お正月の準備です。姉についてデパートに買い物に行き、その後の29日は恒例の餅つきでした。この餅つきの前日には、母が忙しく準備をしていた姿が、まるで昨日のことのように思い出されます。
九餅は縁起が悪いと敬遠されていますが、我が家の屋号に「九」がついていたので、私の家ではあえてこの日に餅つきをしていました。お店の人たちが、かわるがわる杵を持ち餅をつき、母と姉がかわるがわる手返しをしている様子をただただじっと眺めているだけの私でしたが、つきたてのお餅をおろし大根で頂く味が今でも忘れられず、懐かしい思い出です。

大人になった今では、餅つきはしなくなりましたが、知り合いの工務店さんご一家では今でも30日に餅つきをなさいます。この日は、毎年「つきたてだよ」と必ずあんころ餅をもってきてくださるのが待ち遠しい日でもあります。せっかくなのでお返しに、と我が家のだし巻き卵と伊達巻を、そのお餅とトレード。そんな恒例行事ともいえるご近所付き合いを、今年も心待ちにしています。

先日東京で「京の食文化と京野菜」のフォーラムが催されました。
参加する機会を頂きましたので行って参りました。
京の食文化にお詳しい熊倉功夫氏。京野菜マイスターでもあり京都板前割烹"たん熊"北店のご主人栗栖正博氏。同じく京野菜マイスターで京野菜をお作りになっておいでの樋口昌孝氏。おばんざい料理教室主宰の小平泰子氏。京野菜マイスターで高輪プリンスホテルフランス料理"ル・トリアノン"のシェフ高垣吉正氏、とそうそうたる面々にお話を聞くことができました。
京の食文化は日本の食文化の源であり、京の料理は京の伝統野菜があってこそ成り立っている、京野菜の作り手と料理人が力を合わせて京野菜を守っていかなければならない、と熱く語ってみえたのが印象的でした。そしてこちらでは、「海老芋 あられ粉揚げ」と「海老芋のスープ」が試食として提供されました。
伝統野菜は色々な地域でありますが、特に京野菜はブランド野菜としては大変有名ですね。

ここ、愛知の伝統野菜も現在35品種あるのですよ。皆さんもご存知でしたか?こちらについてはまた別の機会にお話しすることにいたします。

そうそう、コミュニティーあいちの恒例行事となっているミカン収穫体験に今年も行って来ました。
果樹園に着くと・・・なんと驚いた事にミカンが樹に鈴なりに一杯なっているではありませんか!!
昨年はこんなにたくさんなってはいなかった、と記憶しておりましたので、びっくり!
お聞きすると、やはり今年は表年(当たり年)だとか。
それにしても太陽の日を受け、オレンジ色に輝いているミカンは、本当にどれも見事で美味しそうです。

昨年は4時間ぐらいで、何本かの樹を移り渡り収穫した記憶があります。ところが今年は、同じ時間でもたった2本の樹のミカンを収穫するのがやっとでした。それも二人がかりで、高いところは男性がはしごをかけての収穫、私はもっぱら下の部分、土にくっつきそうに垂下がっているミカンを収穫したのですが・・・。それでも結構大変な作業なのでした。
夏に摘果を怠けた性で、小粒の実が着きすぎた、と後で農園のお母さんから伺いました。
豊作だからと喜んでばかりいられないのが、農家の方の苦労なのですね。来年は摘果のお手伝いもしなければと思ったのでした。
今回も、たくさんのお土産を頂きありがとうございました。

豊作・・・ということで、今年は柿もどうやら豊作のようでした。せっかくなので、今回はそんな柿にスポットを当てることにいたします。


『柿』
昔から名句に歌われ、名画に描かれてきた柿。私たち日本人の心を和ませてくれます。

【分類】 カキノキ科カキノキ属
【原産地】 柿は日本原産の果物といわれています。縄文、弥生時代の遺跡から種が発見されているようです。16世紀頃にポルトガル人によってヨーロッパに渡り、その後アメリカ大陸に広まっていきました。
今では、「KAKI」は世界中の人に愛され、学名も「ディオスピロス・カキ(Diospyros Kaki)」、「KAKI」の名で世界中に通用します。
【歴史】 前述の説に対し、一方では、氷河期が終わった後に中国から渡来したとも考えられているようで(その中国の柿が日本から渡って、再び帰って来たものかどうかはわかりませんが・・・)。
中国では約3000年前から柿があったとのことで、こちらの説によると、紀元前2世紀頃の王家の墓から多数の柿の種が出土していることもその根拠となっているようです。その頃はもっぱら干柿で保存していたようです。そんなころから干し柿は作られていたのですね。
栽培の歴史は古く文献に現れるのは10世紀の初めのようです。当初はみな渋柿で、鎌倉時代に入り甘柿が誕生し、両者は区別されるようになったようです。江戸時代に入ると品種が増え現在では1000種類ともいわれています。
www.mint-j.com/fruit/01/k01.htm より
【美味しい時期】 9月~11月
【栄養/機能性】


・大量のビタミンCと豊富なカロテンを含みカリウムと食物繊維も豊富は栄養価の高い果物。
・ビタミンCはコラーゲンの生成を助け皮膚を丈夫にし、免疫機能を高めて風邪をひきにくくし、ストレスに強い体を作り、抗酸化作用を発揮するなど、多彩な働きをするビタミンといわれています。
・カロテンは体内でビタミンAとして働くほか、強力な抗酸化作用でガンの予防や動脈硬化を抑制するといわれています。
・カリウムは高血圧予防に、また食物繊維は糖尿病、高脂血症、便秘や大腸ガンなどを予防するといわれています。
・柿の黄色い色素にはクリプトキサンチンという成分がふくまれ大腸ガン予防の効果があるといわれています。また、同じ効果のあるクリプトキサンチンも豊富に含まれているのでダブル効果で大腸ガン予防に期待ができるといわれています。
・アルコール分解を助ける酵素が含まれているので二日酔いを楽にしてくれといわれています。飲酒の前に食べれば、なお効果的といわれています。
【種類】
富有 岐阜県本巣郡巣南町居倉で見つかった甘がき。1898年に冨有と命名。居倉御所ともいう。果実は褐斑が入り、重量は280gぐらい。円形でやや腰高。果皮は橙紅色。肉質はやや粗いが良好。甘味が多く食味は優れ、日持ち性もよい。11月下旬に熟す晩生品種。地域適応は広く、主産地は福岡、岐阜、奈良、和歌山など。10月下旬から2月頃まで出荷される。
次郎 静岡県周知郡森町の原産。江戸時代末期から栽培される。晩生の完全甘がき。果実の重量は280gぐらい。扁円形で果皮は橙紅色で甘味が多い。肉質は緻密でやや硬く、品質は良好。10月下旬から11月中旬に熟す。早生品種の前川次郎は10月に熟す。主産地は愛知、静岡、三重など東海地方。
西村早生 滋賀県大津市で生じた偶発実生。1960年に名称登録された。早生の不完全甘がき。果実はやや扁平な円形で、重量は220gぐらい。果肉は橙色で肉質は硬く粗い。種子が4個程度あれば脱渋するが、種子が少ないと渋みが残るので、脱渋処理をすることもある。9月下旬から10月上旬に熟す。主産地は福岡、岐阜、愛知など。
筆柿 愛知県幸田町の不完全甘がきの在来品種。果形が縦長で、筆の穂のように見えることからこの名がついた。珍宝柿とも呼ばれる。果実の重量は100gぐらいで小さい。果肉は褐斑が多く粗いが、食味はよい。9月下旬から10月上旬に熟す。
幸田町の特産品だが、全国各地で栽培されている。
刀根早生  奈良県で発見された平核無の枝変わりで、1980年に名称登録。果実は平核無よりやや大きく、扁円形で色は濃い橙色。肉質は柔軟多汁で核はない。食味は極上なうえ、脱渋は容易である醂し柿としても干し柿としても品質は良好。10月上中旬に熟す。主産地は和歌山、奈良、新潟、愛媛、山形など。
東北地方から九州まで適応できる。
平核無 新潟県新津市原産の古い品種で、八珍、核無とよばれていた。明治20年に現在の名がついた。庄内柿、おけさ柿ともいわれる。9倍体の渋柿で種子はできない。果実は橙黄色で肉質は緻密。食味は極上。脱渋が容易で、生食のほか、干し柿としても優れている。10月下旬から11月上旬に熟す中生品種。主産地は山形、和歌山、新潟、奈良など。渋柿の代表品種。
【保存方法】 冷暗所にて保存します。
よく熟した柿はジャムにしたり、裏ごししてソースにして冷凍保存するとよいでしょう。
ぶよぶよになるまで待ち、冷凍庫に入れジャーベットのようにすると美味しく食べられます。
【選び方】
・特有の色が全体に濃いものが甘みの強い良品です。果皮に白く細かい霧のような粉が出るのは農薬ではなく、ぶどうなどと同様のブルームです。柿自信がだす水分蒸発を防ぐための成分で、これがついたものほど新鮮です。
・ヘタが生き生きした緑色で、しっかりした形のものを選びましょう。
・食べ頃は硬さに好みがありますが、赤い色が全体に回って  から、もうしばらく待ったほうが美味しく食べられます。皮のハリがゆるんだら食べ頃です。
【調理/用途】 ジャム シャーベット、漬物に(白菜の漬物に柿の皮を一緒に入れると甘みが加わります。)

渋い時
ヘタをとって、切り口に焼酎をつけ、ビニール袋にいれて密封します。日光が当たる場所に10日ほど置いておけば甘さがでます。
講談社「四季の果物」小学館「野菜のソムリエ」より

今回のレシピにはどうぞこちらを・・・。忘年会、新年会などでお友達と鍋を囲むのもいいですね。
それで、おしゃれな「トマト鍋」はいかがでしょうか。
最近では簡単にできる「トマト鍋」の素も市販されているようですが、ぜひこちらのレシピで作ってみてくださいね。

「リコピンたっぷりトマト鍋」

材料          2~3人分

トマト 
(ミニもしくはミディー)
500g
ジャガイモ 200g
インゲン 30g
キノコ類 150g
イカ 150g
(1杯)
えび(皮付き) 4尾
アサリ 10個
鷹の爪 小1本
ニンニク 小1片
オリーブオイル 大さじ1
白ワイン 200cc
スープの素 1個
チーズ
(パルメジャーノレジャーノ)
市販の粉チーズでもよい
10g  
 +リゾット用に10g
パセリ (みじん切り) 5g(リゾット用)

※トマト缶を使ってもよいです。その際は400gの総量を1.5~2缶使用します。

下準備

1. トマトは湯むきにして皮をむいておく、大きなトマトならざく切りにしておきます。
2. ジャガイモは1個を4つ切りぐらいにして面取りをして水にさらしてから、硬めに茹でるか電子レンジで2分ほどチンしておきます。
3. インゲンは硬めに茹でるか、電子レンジで1分ほどチンして両端を切り2つに切っておきます。
4. キノコ類は洗い石づきを取り、さっと炒めておきます。
5. イカは皮をむき、胴の部分は1cmほどの輪切(大きければ半分に切ります)にし、足の部分は適当に切っておきます。
6. えびは皮付きのまま洗い、背わたをとっておきます。
7. アサリは塩出ししておきます
8. ニンニクは小口切りにし、鷹の爪は種をだして3~4にちぎっておきます。
9. チーズはナイフで削るか、卸しておきます。
10.パセリはみじん切りにして水でさらしてしぼっておきます。

作り方

A. テーブルにコンロを置いて、鍋をかけます。
B. 鍋にオリーブオイルをいれ、8のニンニク、鷹の爪を入れて火をつけ、香がでたら、鷹の爪を取り出します(からいのが大丈夫の方はそのまま、またニンニクのお嫌いな方は取り出します)
C. Bにアサリを入れて炒め、続いてえびを炒め、イカを入れてさっと炒めたら、白ワインを加え、スープの素も入れます。
D. 煮立ったところに1のトマトを加え、ジャガイモを入れます。
E. 4のキノコ類を加え最後にインゲンを加えます。
F. 塩、コショウで味付けします。
G. 器にとりチーズをかけて召し上がって下さい。
H. 最後にご飯をいれてリゾット風にして召し上がってください。

スープが少なくなってきたら、水(お湯)か白ワインを足して下さい。

ではよいお年をお迎え下さい。来年もよろしくお願い申し上げます。


野菜と果物の魅力について
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