愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

野菜と果物の魅力について

ベジタブル&フルーツマイスター協会認定カルチャースクール講師
栄中日文化センター「野菜ソムリエに学ぶー野菜生活向上のススメ」担当
服部 佳世子

「ひな菓子」「柑橘類」

弥生3月ひな祭り、桃の節句ともいいます。
今回はおひな菓子について少しお話しさせていただきましょう。
そもそもひな祭りとはどのようにはじまったのでしょうか。
実は、この習慣は中国から伝来した五節句のひとつで「上巳(じょうし)の節」と呼ばれています。
五節句とは季節に応じた植物を食することで邪気を払うのが目的の行事であったようです。

五節句
人日(じんじつ) 正月7日 お正月の七草 七草粥
上巳(じょうし) 3月3日 3月の上巳の桃・よもぎ 桃花酒
端午(たんご) 5月5日 5月の端午の菖蒲 ちまき
七夕(しちせき) 7月7日 7月の七夕の竹・瓜 さくげ
重陽(ちょうよう) 9月9日 9月の重陽の菊 菊酒

桃の節句と言われるのは旧暦の3月3日。これは現在の3月の末ごろにあたり、この頃には桃の花が咲き誇ることからそういわれたようです。
そもそも桃には「邪気を祓う力」があるといわれており、さまざまな神事に取り入れられていました。
また一方では、「不老長寿」を与える植物とされており、百歳(ももとせ)まで長生きできるよう、桃花酒を飲む風習もあったようです。

ひな祭りにはちらしずしにハマグリのお吸い物、たにし(つぼ)とわけぎのぬたを作り、お供えするのが一般的かと思いますが!いかがでしょうか・・・?(我が家ではそのようにしているのです)
そしていろいろなひな菓子をお供えいたします。
そんなこともあり、ひな菓子について調べてみました。


我が家で作った菱餅...薄くて貧弱でした。

まずは菱餅です。
菱餅は皆さんご存知の通り、菱型にした餅を下から緑、白、赤(ピンク)と重ねたものです。
一般的には3段ですが、5段8段と重ねる場合もあるようです。

それぞれの色にはちゃんと意味があるようですよ。

(ピンク) 山梔子(クチナシの実)入り 魔除け(解毒作用) 桃の花のイメージ
菱の実入り 子孫繁栄、長寿(血圧低下) 白の雪のイメージ
(ヨモギ)入り 厄よけ(増血作用) 新緑をイメージ

加えて、その重ね方にも意味があるようです。

【下から緑・白・赤の順の場合】
...雪の下に新芽(蓬)が芽吹き、桃の花が咲いている様子

【下から白・緑・赤の順の場合】
...雪の中から新芽(蓬)が芽吹き、桃の花が咲いている様子

順番が少し異なるだけで、風情がまた変わって、なかなかに素敵だと思われませんか・・・?そして菱型にも意味があるようです。
菱形は、水生植物である「菱」の、水面に浮かんだ葉の形を映しているのだそうです。
その尖った形に、厄除けや魔除けの意味があると信じられてもいます。他の説としては、菱の実の形、心臓の形などの説もあるようです。

次にご紹介するのはひなあられ。
皆さん、ひなあられに「関東風」「関西風」があるのはご存知でしたか?
「関東風」は米粒大の甘いあられで、米を爆ぜて作った「ポン菓子」を甘く味付けしたものとか。
一方「関西風」は直径1センチ前後もの大粒で、醤油や塩味・・・と多彩な味の餅からできているあられのようです。
これはひな祭りに欠かせない菱餅を砕いて炒ったのがはじまりとか・・・・。
では私の住む名古屋はどちらかしら?・・・私の感じるところによると、どうも中間のよう。どちらも存在しているようです。

さあ、最後にもうひとつ!皆さん、「おこしもの」をご存知ですか!?
呼び方は「おこしもん」「おこしもの」「おしもち」「おこしもち」「おしもん」などなど。私自身は子供のころから「おしもん」とよんでいた記憶があります。
愛知県(尾張・三河)の一部地域で昔から桃の節句(端午の節句の場合もあるようです)に供えられた伝統的なお菓子のことです。
語源についてはいろいろ説があるようですが、「木型から起こす」ことから「「おこしもん」」と呼ぶのが有力説のようです。
おこしもんは、米の粉だけを使って練り上げ、木の型にいれて蒸して後で食紅で色をつける場合と、練り上げた米粉を少しだけ取り出して、食紅で色をつけ、木型に直接入れて蒸す方法の両方あります。出来たてをいただく場合は、そのまま砂糖又は砂糖醤油をつけます。日にちをおいたものは、お餅のように焼いていただきます。
ちなみに私は蒸しあがったできたてのものに、お砂糖をつけていただくのが好きです。

 
昔からある我が家の木型です。残念ながら、おひな様の型がなくなってしまいました。

  
蒸しあがった「おこしもの」です。

参考文献:インターネットひな祭り~桃の節句特集

さて、話は変わって、つい先日、私が時々お話ししている大津にある「月心寺」で安寿様をお招きしてお話しを伺う機会がありました。


  • 安寿様登場

  • 講演風景

  • 抽選会

そこで安寿様は愛知県一宮市のご出身で、9歳にして京都のお寺に預けられ、頭を丸坊主にして赤いスカートをはいて小学校に通い、そして13歳に得度され仏門に入られましたと話してくださいました。そして39歳で交通事故に合われ右手を使うことのできないお体になられましたことも話されました。
こちら月心寺のお料理のメインは、何と言っても「ゴマ豆腐」なのですが、このゴマ豆腐をお作りになるのは安寿様なのです。安寿様は、ゴマ豆腐をなんと左手だけで、器用にすりこぎを体に固定しながらお作りになられます。そのお味はまさに「ほんまもん」の味です。
こうしてお話を聞くと、数年前、安寿様をモデルにした朝ドラ「ほんまもん」が放映されていたことを思い出します。
確か野際陽子さんが演じられていたと記憶しています。
今回は、名古屋の国際ホテルで200人ほどの人が集まり、お話しをお聞きいたしました。
安寿様は最後にどなたにも当てはまることは「誰でも死ぬんやで、心配せんでもいつかわ死ぬんやで」と、いろいろな例を出してお話しいただきました。
1時間半でしたが声もはっきり、堂々としたお姿はとても88歳とは思えない迫力があり私はずっと聞き惚れておりました。その時のホテルのお料理です。
名古屋国際ホテルの総料理長日高シェフが、健康的でカラダにやさしいと言われるマクロビオティックをテーマに作ってくださいました。
当日の料理の写真です。


  • 魚介類のサラダ仕立て

  • くるみのパンは美味
  •   
    牛蒡のスープ、具はスープの下に

  • メインのサーモン

  • リゾット

  • 白のタピオカと
    黒の小豆の入ったデザート

どれもとても美味しくいただきました。
この色紙は安寿様が最後に歌ってくださった、月心寺に伝わる、古大津絵にかかれた詩です。 安寿様直筆の色紙です。
たった1枚きりのこの色紙が当たったお徳のある方にお借りして写させていただきました。

村瀬明道尼様がお書きになった本「月心寺での料理」は心温まる料理が記されています。
ご興味のある方は是非読んでみてくださいね。

今回は柑橘類にスポットを当ててみたいと思います。
たくさんありすぎて書ききれませんので、いくつかピックアップして、ご紹介いたします。

柑橘類

【分類】 ミカン科ミカン属(カンキツ属)の総称です。
【種類】
"オレンジ類"
日本の柑橘として定着したオレンジは、現在清見を交配親として数多くの品種が春先の果物として出回っています。

清見(きよみ) 清見タンゴールとも呼ばれています。宮川早生(みかん)にトロピタオレンジを交雑した雑種。果実は扁球形で200g。玉ぞろいは悪いが果面は滑らか。果皮は黄橙色でややむきにくい。果肉は濃橙色で柔軟多汁。じょうのうは薄く風味良好。無核。2月下旬~3月上中旬に収穫。初夏まで出荷。
せとか(瀬戸香) (清見×アンコール)×マーコット。果実は扁球系で200~280g。玉ぞろいが良好。果皮は橙~橙黄色。皮は薄くむきやすい。マーコットのさわやかな香りを持ち、食味濃厚。果肉は橙色。肉質は柔軟多汁で袋ごと食べられる。2月上旬~下旬に熟す。主産地は広島、愛媛、沖縄。
デコポン(商品名) 品種名は不知火。清見×中野3号(ぽんかん)の交雑実生。果実は倒卵形~扁球形で200~280g。玉ぞろい不良で、果梗部にネックが突き出したものやないものがある。扁平果にはへそが発生するものが多い。ポンカンの香りを持ち食味は良好。果皮は黄橙色でやや粗いがむきやすい。果肉は橙色で柔軟多汁。熟期2月~3月。主産地は熊本、愛媛、広島、鹿児島。
はるみ(晴見) 清見とぽんかんF2432の交雑実生。果実は扁球形で190g。果皮は橙色でぽんかんに似ている。果面は滑らかで皮はむきやすく、果肉は橙色で柔らかい。果汁は中くらいで食味は良い。果心は裂開して空洞ができる。成熟期は1月。主産地は静岡、愛知、広島。
たんかん(橘柑) 中国広東省原産。ぽんかんとスイートオレンジの自然交雑種。中国南部、台湾が主産地。日本では鹿児島、高知の南端や島で栽培。果実は球形で150gくらい。果皮は橙黄色でむきやすい。果肉は濃橙色で柔軟多汁。甘味多く酸は適度で風味がよい。2~3月に熟し、3~5月に出荷する。
いよかん(伊予柑) 別名:穴門みかん(あなとみかん)
日本で生産される柑橘類では、温州みかんに次ぐ生産量の果物。明治時代に山口県阿武群東分村(現在萩市)で発見されたのが最初とされる日本原産の柑橘類である。
現在では愛媛県で生産されている。名前は育ちの地である伊予国(愛媛県の旧令制国名)にちなんでなずけられた。
ミカンとオレンジの交雑種。果汁はジューシーで甘く、香りもよい。果皮は温州みかんに比べ厚めだが、手でむくことができる。
バレンシアオレンジ スイートオレンジの代表品種。
原産は諸説あるが、スペインのバレンシアではなく、中国からヨーロッパに伝わったものといわれている。
19世紀後、アメリカに渡り有名になった。世界で最も多く栽培されている。果実は球形か長球形で、重量は200g内外。
果皮は滑らかで橙黄色。堅くてむきにくいのが難。じょうのうは10~12室。果肉は橙黄色で柔軟多汁。
酸味はやや強いものの甘く、香気に富み風味は極めてよい。生食、加工両用に適する。最も遅く熟すが5月以降は退色する。温帯暖地から熱帯まで栽培できる。アメリカのフロリダとカリフォルニア産の果実が多く輸入されている。
ネーブルオレンジ スイートオレンジの仲間でへそ(ネーブル)があることからこう呼ばれる。
ヨーロッパからブラジルへ渡ったオレンジから、19世紀初めにへそのあるパイアネーブルが発見され、これがアメリカに伝わってからワシントンネーブルの名で世界に普及した。多数の品種が生み出され、日本では吉田ネーブル、森田ネーブル、白柳ネーブルなどが栽培されている。
果実は球形で、重量は200~250g。重のう(へそ)を形成する。果皮は濃橙色。皮はむきにくい。果実は柔軟で多汁。香気高く、風味は良好。
種子はほとんどない。12月から収穫し、春にかけて出荷する。
主産地は愛媛、和歌山、広島、静岡、熊本、福岡など。
カリフォルニアからの輸入も多い。

他にセミノールアンコールマーコットなどがある。


"ブンタン類"
インド東部、ミャンマー、タイ、中国南部、台湾に多く原生する。中国では麻豆ブンタンのように洋梨形や倒卵形のものを文旦、ばんぺいゆ(晩白柚)のように扁球ないし短扁球形のものを柚と呼んで区別しているが、日本では両者を総称してブンタンとかザボンと呼んでいる。ザボンはポルトガル語のZamboaから転じた。
交雑したものからはグレープフルーツ、夏みかん、はっさくなど果実の大きいものが生まれている。

土佐ブンタン 昭和5年頃に高知県に導入され、土佐ブンタンの名で出荷されるようになった。鹿児島県では法元ブンタンと呼ばれる。
果実は扁球形又は倒卵形で、重量は400g内外。
果面は黄色で平滑。果皮は薄くややむきにくい。
果肉は淡黄白色で緑色を帯びる。肉質はやや堅く果汁も少ないが、肉離れがよく食べやすい。12月に収穫し、2月~4月に出荷する。
高知県特産。
晩白柚 晩生なのでオクテシロザボンともいう。大正9年にベトナムのサイゴン植物園から台湾に導入され、日本には昭和5年鹿児島県果樹試験場に入り、熊本県でも栽培されるようになった。
果実は球形で子供の頭ほどの大きさ。重量は2㎏くらいあり、柑橘類の中で最大。
果面は淡黄白色で平滑。果皮は厚くややむきにくい。じょうのうは15~18室。果肉は淡黄色で緑色を帯びる。肉離れはよく柔軟多汁で、甘味が多く食味は良好。
種子は多い。12月下旬から1月に収穫され、2月~4月に出荷する。熊本県八代市特産。
甘夏 夏みかん(夏だいだい)から枝変わりで生まれた酸の少ない早生の系統。川野なつだいだい、サンフルーツなどの品種がある。
果実は扁球形で400~500g。果皮は黄橙色で凹凸があり、厚くてややむきにくい。
じょうのうは11~13室で、膜は厚く分離しやすい。果汁の糖は夏みかんと同じだが、酸が1.5~1.8と少ないので早くから食べられる。ナリンギンを含むので苦みがある。種子は20~30個。熟期は3月中旬だが2月から食べられ、5月頃まで出荷される。生食用。主産地は熊本、愛媛、大分、和歌山など。
日向夏 ニュウサマーオレンジ、日向夏蜜柑、小夏みかん、土佐小夏とも呼ばれる。
文政年間に宮崎市で発見された偶発実生でゆずが関与しているらしいとのこと。明治になり日向夏蜜柑と命名された。オレンジ日向などの品種がある。
果実は短卵形で、重量は200g程度。果面は滑らかで淡い黄色であるが、晩春まで樹上におくと青みがまわる。果皮は軟らかくむきやすい。じょうのうは8~12室。
果肉は淡黄色で柔軟多汁。甘味、酸味が適度で風味はよい。種子は大きく20個くらいある。
果皮の白いアルべドの部分を果肉と一緒にそぐようにむき、スライスして食べるとおいしい。
5~6月が旬。主産地は冬に暖かい宮崎、高知、愛媛静岡県伊豆地方など。
(注)アルべドとは果皮の内側の白い柔らかい綿状又は繊維質。
はっさく(八朔) 八朔蜜柑、八朔ザボンとも呼ばれる。
ブンタンの血を引く雑種で、江戸時代末期に広島県因島の恵日山浄土寺の境内で偶然実生として発見された。旧暦の8月1日(朔日)より食べられることにより、この日に普段お世話になっている人に贈り物をする風習の「八朔」と命名された。
果実は扁球形で、重量は400g内外。果皮は橙黄色で果面は由胞が凹でやや粗い。皮は厚くややむきにくい。じょうのうは10~13室で膜は肉離れがよい。
果肉は淡黄色。肉質は硬く果汁も少ないが甘味、酸味のバランスがよく風味はよい。わずかな苦みがある。種子は30粒くらい。
通常では12月に収穫し2~4月に出荷するが、暖地では樹上で熟させることから越冬はっさくと呼んでいる。主産地は和歌山、広島、愛媛、福島など。

他に水晶武ブンタングレープフルーツなどがある。

【栄養/機能性】
・カリウム、ビタミンCを含みます。
・カリウムはナトリウムの排泄を促進し、高血圧予防やむくみの解消に期待できるといわれています。
・ビタミンCは風邪や感染予防の他、ガン予防や老化防止、抗ストレス作用もあるといわれています。
・いくつかの 柑橘類にはβークリプトキサンチンが含まれガン予防に期待出来るといわれています。温州みかんほどではないが、タンゼロ、タンゴール、ポンカンに多く含まれています。

【保存方法】
涼しいところで保存しましょう。
冷蔵庫に入れる場合は乾燥を防ぐためビニール袋で包み野菜室に入れましょう。

【選び方】
果皮に張りとツヤがあり、同じ品種なら持った時に重みを感じるものを選びましょう。
ヘタの部分が枯れていないものを選びましょう。

参考文献:旬の食材「四季の果物」 講談社

私は、柑橘類といえばよくマーマーレードを作ります。
簡単に出来る方法をお伝えしますので、ぜひ皆さんも作ってみてくださいね。


甘夏のマーマレード

 
材料 2人分
 甘夏 ・・・5個
 砂糖 ・・・甘夏の皮の量の50~70%(お好みで調節)

作り方
1.
皮と実の部分に分けておきます。
2.
皮はよく洗って、白い部分を取り除きせん切りにします。実はほぐしておきます。
3.
2の皮をよく水洗いします。(もむように4、5回ぐらい)
4.
3をしぼって耐熱ガラスに入れ、ラップをかけて電子レンジ600Wで10分くらいかけます。(柔らかくなるまで)
5.
ほぐした実を鍋に入れてお好みの量の砂糖を入れ4の皮を入れお好みの柔らかさに煮詰めます。クエン酸又はレモン汁を加えます。

この手順は宇和ゴールドで作ったものです。
宇和ゴールドは晩生の柑橘類で、大体5月頃にいつも高知から送っていただきます。
皮を電子レンジ作ったものでなく、少々面倒な作り方のものです。
まずせん切りにした皮をたっぷりの水を鍋に入れ沸騰した中に入れ、2分ほど茹でザルにあげます。これを3回ほど繰り返し最後はそのままつけて一晩さらしておきます。それを絞って砂糖と実を入れて煮たものです。
電子レンジの方が簡単で作りやすいのでお勧めです。
出来た物を煮沸した瓶に入れておきますが、私はジップロックに入れ冷凍します。
好きなだけ器に入れれば長く楽しむことが出来ます。

 

最後に春のニュースを。
我が家の河津さくらの蕾がふっくらしたかと思いきや、あっという間に咲き始めました。
もうじき満開、楽しみで~す。


野菜と果物の魅力について
このページの一番上へ