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インターネット公開文化講座

文化講座

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野菜と果物の魅力について

ベジタブル&フルーツマイスター協会認定カルチャースクール講師
栄中日文化センター「野菜ソムリエに学ぶー野菜生活向上のススメ」担当
服部 佳世子

「市田柿」「山芋」

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
辰年の今年、皆さんはどんな夢を描いていらっしゃいますか。
辰すなわち竜ですよね。竜が天に向かって登るように、去年より、一歩でも前進できるように努力したい、これが私の今年の目標です。
3が日もあっという間に過ぎてしまいましたが、皆様は、お正月をどんなふうにお過ごしになられたのでしょうか?私は毎年神社仏閣に初参りをして過ごすのが当たり前になっています。今年も氏神様に熱田神宮に参拝してパワーをいただいてまいりました。
お正月休みだからといって、特別なお客様は我が家にはいらっしゃいませんでしたから、いただいた年賀状を見ながら、知人が健康であることを確認しつつ、いろんな方との出会いなどを思い浮かべ・・・そして今年も楽しく、好奇心旺盛で過ごそうと思った次第です。
さて、お正月といえば初夢。初夢といえば一富士二鷹三茄子、ですよね。
ところでその一富士二鷹三茄子ってそもそも・・・?
皆さんご存知のとおり、これは昔からのことわざで、夢に見るものの中でめでたいものの順番を指す言葉です。とくにお正月の初夢でこれらを見ると、大変縁起が良いといわれてきました。一番目の富士山は日本最高峰の霊山、二番目に出てくる鷹は、鷲とともに鳥の王者、こうして考えてみるとめでたいのは当然ですが、ではなぜ三番目に茄子が来ているのでしょうか。
調べてみると、事の発端は、徳川家康が、自分の住んだ駿河国の「高いもの」を順にあげたものらしいということが分かりました。なんでも二番目の鷹は鳥ではなく、富士山の近くにある愛鷹山(あしたかやま)のことらしい、そして茄子は初物(はつもの・その年の最初の収穫品)の値段の高さをいうことから茄子、となったようです。
昔の人はいろいろ考えるものですね・・・・。
ところであなたの夢は富士山?それとも鷹?それともそれとも・・・茄子!?

はてさて、話は昨年に戻るのですが、昨年11月に、またまた私の第二の故郷南信州に行く機会に恵まれました。今回はこちらの話をしたいと思います。
行き先は、市田柿のふるさと。もともと飯田には立石柿と市田柿が存在していたようです。
立石柿は、江戸時代に飯田市三穂地区の立石寺を中心とする地域で栽培されていた柿で、皮をむいて串に刺して乾燥させることから「串柿」とよばれていました。

    立石寺のお堂と山門

江戸時代江戸の柿問屋が奉納したといわれる絵馬の一つ
他の絵馬は光が反射してうまく撮れませんでした。残念!


一方の市田柿は、高森町を発祥とする柿で、串柿にも加工されましたが、囲炉裏で焼いて渋を抜いて食べることから「焼柿」という名前がつけられました。そして、ヘタの部分を縄に吊るして乾燥させるようになると、しだいに「ころ柿」(枯露柿や転柿)と呼ばれるようになりました。


長野県南信農業試験場の裏にはにあった市田柿の古木

立石柿も市田柿もどちらも渋柿です。立石柿の方が少し小ぶりで、市田柿の方が甘味が強いといわれているようです。

市田柿の生産者さんのお宅にお邪魔する前にJAみなみ信州松川インター選果「もなりん」を見学させていただきました。
なんで「もなりん」って名称・・・・・何を指しているか、わかりますか?
「桃、梨、林檎」・・・で、「もなりん」。
ウフフ、なるほどね、でしょう?
こちらでは、ハイテクな選果場を見せてもらいました。
お邪魔した際は、お休みで機械は動いていませんでしたが、ちょうどリンゴのふじの蜜を調べておいででした。
これは機械ではなく、手作業でされるのだそうです。

違いが分かりますか?
リンゴを食べるとき、普段私たちはくし形に切りますが、これは真半分に切ってあります。

こうして切ってみると、蜜が入っている部分がよくわかると思いませんか?
動いていない選果場を見せていただきました。

そろそろお腹もすいてきましたが、その前に飯田市の市長さんにお会いするため、市の総合庁舎を訪問いたしました。市長さんと副市長さんと少しだけお話をさせていただきました。
その総合庁舎の横には赤門があって、以前桜の時期に見た赤門はもっと鮮やかだった記憶があります。しかし今回は色あせたように感じられましたので、後で飯田の友人に聞いたところ、なんでも桜が咲く時期は門が開かれていて、桜の美しさで、この赤門も鮮やかに、美しく見えるのだそうです。へえ~・・

さて、この赤門ですが、旧飯田城桜丸後門で江戸時代・宝暦4年に上棟された建物です。そして飯田城唯一の遺構となっています。
全体がベニカラで赤く塗られているため、赤門と呼ばれています。
飯田といえばリンゴ並木も有名です。各所にはいろいろな品種のリンゴが植えられてています。実はこれらのリンゴの木、地元の小学生や中学生が面倒を見ているのだそうですよ。

リンゴ並木にある素敵なレストランで昼食をとった後、おまちかね!今回の訪問の一番の目的地である市田柿の生産者さんのお宅へ。
行く途中、どこのお宅の長屋にも干し柿がいっぱい。まさに冬の風物詩です。

生産者の皆さんは「長屋」とおっしゃるのですが、私がイメージしている長屋とは大違い、「作業場」という意味合いのようです。その干し柿作りなのですが、これには大変な苦労と時間がかかるようです。

柿を採り、まず皮をむきます。
果梗(かきょう)を残してヘタを除き、皮をむいた柿を吊るす作業を「連づくり」というそうです。昔はひとつひとつ人の手で皮をむいていたのが、今ではこの機械でむいているのだそうですよ。

「連づくり」も昭和20年代には、ワラ縄の縄目に柿の果梗を鋏み込んで干していましたが、昭和30年代には畳糸や凧糸が、40年代にはナイロン糸が用いられるようになりました。
今では農協などが共同開発した「柿フック」が使われるようになり、5センチ間隔のフックに果梗を差し込む作業の簡易さと、柿の糸切れ傷の防止など、衛生面が特徴となっています。
それから燻蒸して最近では赤外線の箱に入れられ、そしてやっと吊るされるのです。
お時間もかかり大変なお仕事ですよね。

  

作業場内では、温度を保つために扇風機も必要です。

生産者の奥様に案内されて作業場を見せていただいた後は、ご自宅にお邪魔して、おいしいリンゴや柿をいただいた上に、なんとお土産までいただいてしまいました。 こうしてたくさんのことを勉強させていただきましたので、しっかり記憶して、これからの野菜ソムリエ活動にも役立てたいと思います。最後に一緒に写真をパチリ。

参考資料:市田柿のふるさと(長野県下伊那郡高森町発行)

今回はお知り合いから山芋をいただいたので、山芋についてご紹介しようと思います。

『山芋』

生で食べられる唯一の芋

【分 類】 ヤマノイモ科 ヤマノイモ属
山芋(長芋)は芋の形態から、芋が細長い長芋群、ばち形や手のひら形になるいちょう芋群、団塊状になるつくね芋群に分けられます。
【原産地】 熱帯亜熱帯地方 中国 日本
【美味しい時期】 11月後半~1月前半
【栄養/機能性】 ・イモ類の中では水分とたんぱく質が多く、炭水化物とエネルギーが少ないのが特徴です。
・ミネラル類ではカリウムが多く含まれている程度でそれ以外はあまり多く含まれていないようです。そのカリウムは高血圧の予防に効果的といわれています。
・ビタミン類もあまり含まれていませんが、ビタミンB1が多い程度です。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える際に働くビタミンといわれています。
・栄養的特徴は豊富に含まれている消化酵素です。アミラーゼ ジアスターゼ グルコシターゼなどの消化酵素を大根の3倍程度は含んでいるといわれています。
・山芋の粘り成分は糖たんぱく質で食物繊維とたんぱく質が結合したもので、胃の粘膜を保護して胃潰瘍を予防したり、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したり、コレステロールを体外に排泄して高脂血症(脂質異常症)を予防したりするといわれています。
【「ソムリエの一言」生で食べられるわけは】 でんぷんは加熱しないで食べると、消化、吸収が悪く、よって下痢につながることが多いので、普通はでんぷんを多量に含む芋類は生で食べることはありません。しかし、山芋はでんぷんを消化する酵素を大量に含んでいるため、芋類の中で唯一「生で食べられる芋」となっています。これらの消化酵素は、加熱しない方がその活性を強く発揮します。さらにすりおろして細胞を壊してしまう方が消化酵素の働きが強いことがわかっています。とろろは、山芋の消化酵素の活性を十分発揮させる、合理的な食べ方といえるでしょう。

【種 類】

長芋 棒状で、長いものは1mにもなります。1年で生育するので一年芋と呼ばれ、全国的に栽培されています。水けが多く粘りが少ないためすりおろさずに、細く切るとさくさくとした歯ざわりが楽しめます。
大和芋 丹波芋、伊勢芋が有名。どちらも形は握りこぶしのようですが、丹波芋皮が黒く、伊勢芋は皮が白い。肉質がしまり、粘りが強く高級品で、関西で出回ることが多いようです。
つくね芋 握りこぶし形で、粘りが強い。和菓子の原料やかまぼこなど練り物のつなぎにつかわれる。
じねんじょ 天然物は粘りが非常に強く味もよい。収穫までに3~4年かかることや掘り出すのに困難であることから市場に出回ることはほとんどなく、出回っているものは栽培ものです。
いちょう芋 形は手のひら形、棒状、扇状などいろいろあります。アクが少なく、粘りも長芋よりつよいので、すりおろして食べるのに適しています。
むかご じねんじょや長芋の腋芋に相当する部分が、糖分を貯えて小指の先ほどの球状になったもの。炊き込んでむかご飯や塩ゆでや素揚げに。


【保存方法】 ・使いかけの山芋は切り口が乾かないようにラップできっちり包んで冷蔵庫の野菜室にいれましょう。
・すりおろしたら小分けして冷凍保存するといいでしょう。
【選び方】 ・長芋は丸く太ったもので、ひげ根の多いものほど粘りが強いようです。
・いちょう芋は皮がなめらかで傷のないものを選びましょう。切り口は白いみずみずしいものが新鮮です。
【用途/調理】 ・アクがあるので、皮をむいたら酢水にしばらくつけると褐変しにくくなります。
・すりおろした後、すり鉢であたると口当たりがなめらかになります。だし汁を少しずつ加える場合も、すり鉢であたりながらのばしていくといいでしょう。
・長芋はせん切り、うす切にするか、たたくなどして酢の物にするほか、煮物などに。
・じねんじょ、つくね芋、いちょう芋は主にすりおろして、とろろにし、麦とろ、とろろ汁、揚げ物、汁の実などに。

参考文献:
旬の食材 秋・冬の野菜(講談社)、野菜の便利帳(高橋書店)


今回いただいた山芋は長芋の粘りのあるものではないかと思いました。
そんな山芋の歯ざわりと、喉ごしを楽しめるようにとグラタンを作ってみました。

グラタン

材料 4人分

 山芋 ...450~500g
 鶏肉 ...200g
 タマネギ ...300g
 しめじ ...1パック
 生シイタケ ...4枚
 ブロッコリー ...80g
 カリフラワー ...80g
 バター ...15g
 とろけるチーズ ...30g
 生クリーム ...大さじ2
 炒め油
 塩 ...小さじ2
 コショウ

作り方

1. 山芋はおろし金でおろしてから、生クリームとともにミキサーにかけます。
2. タマネギは短いせん切にします。
3. 鶏肉は一口ぐらいに切ります。
4. しめじは下の部分を切っておきます。
5. 生シイタケは石づきは薄く切って、傘の部分はせん切にします。
6. ブロッコリー、カリフラワーは茹でて、食べやすい大きさに切っておきます。
7. フライパンにサラダオイルとバター10gを入れてタマネギをしんなりするまで炒め、その中に鶏肉をいれ、色が変わったら、しめじ、生シイタケ、ブロッコリー、カリフラワーをいれて炒めます。塩コショウで味付けします。
8. グラタン皿に4等分していれ、その上に1の山芋をかけ、バターを細かく切ってのせ、とろけるチーズものせます。
9. オーブン200℃で10~15分焼きます。
10. 中身は火が通っているので上に美味しそうな色が付けばいいです。


山芋鍋も試しましたが、納得いく仕上がりではありませんでした!
ですのでもう一度チャレンジします。
成功したらまた皆さんに、レシピをご紹介しますね。


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