文化講座
「ビストロtroisieme」「ショウガ」
我が家のお正月は静かなものです。昨年もこちらで書きましたが、年が明けると同時に氏神様にお参りし、次に長い間住み慣れた土地である、以前の住まい近くの氏神様、そして熱田神宮に新年のご挨拶に行きます。その後、実家のご先祖様のお仏壇にお参りに行きます。
お墓参りは父の命日でもある4日に行くことが習慣になっています。
家には誰も来ないので、何もせずのんびり過ごしたいのですが、そうはいってもせっかくたっぷり一人の時間が取れる貴重な時間でもありますから、この時ばかりと、次なる講座の準備や資料の整理に時間を費やします。
先日とある小冊子を見ていたら、新年をことほぐ料理の代表おせち料理についての記事が出ていました。ちょうど時期的にも興味深く、それならば、と私も今回ここで紹介させていただきたいと思います。
【おせち】
そもそもおせちとは農耕を司り、年の初めにやってくる歳神様をお迎えするために、五穀豊穣を祈願してお供えをし、それをいただいたのが始まりのようです。
今では各家庭でつくることの少なくなったおせちですが、やはりそこにはきちんとした作法があるようです。
デパートなどで販売されているおせちはだいたい二~三段が普通のようですが、本来は四段とされております。
これは日本の四季を表しているといわれています。
また各段に詰める料理の数は、奇数(吉数)が良いなどといわれています。
では各段ごとに何を入れるのかお伝えしたいと思います。
一の重祝いの肴 | 正月にふさわしい料理を詰めます。基本となるのは「三つ肴」や三種肴」と呼ばれる三種。子孫繁栄とニシンの子であることから「二親健在」にも通じる数の子、イワシが田畑の肥料だったことからその名がつき豊作祈願を込めた田作り、黒くなるほどまめにはたらけるようにという意味を込めた黒豆(関西では、根を深く張ることで家が代々つづくようにと、たたきごぼう)そのほか、紅白かまぼこ、伊達巻、栗きんとんなどの口取りを詰めます。 |
二の重焼き物 | 縁起のよいとされる海の幸を中心とした、焼き物を詰めます。 主として「めでたい」の語呂合わせから鯛、出世祈願から出世魚鰤、春を告げる鰆、長いひげをはやし腰が曲がるまで長生きできるようにという長寿祈願で海老が入れられます。中でも伊勢海老は、鏡餅の飾り物としても使われ、「伊勢神宮」の神威にもその名をあやかる縁起ものです。近年では、ウナギが入れられる場合もあり、これは「うなぎ上り」といわれることから出世を祈願したものといわれています。 |
三の重煮物 | 二の重が海の幸なら、三の重は山の幸が中心となります。これを煮たものを主にいれますが、煮る時には汁が残らないよう、時間をかけてじっくりと「煮しめる」。これには、家族が仲良く結ばれるように、という思いが込められているそうです。 使われる食材は地域によってさまざまですが、これもやはり縁起が良いとされる食材が用いられます。 大きな芽が出る慈姑、「よろこぶ」や「子生(こぶ)」に通じる昆布巻き、子芋がたくさんつくことから子宝祈願を込めた八つ頭などです。 |
与の重酢の物 | 「四」という数字は「死」にも通じる忌数字のため、一般に「与の重」とされます。最後の与の重は、さっぱりとした酢の物がメインです。 お祝いの水引をかたどった紅白なます、邪気を払い不老長寿の象徴とされる菊をかたどった菊花かぶ、穴が開いていることから先が見通せるようにと祈願する酢蓮などです。 |
単におせちといってもそこにはそれぞれ込められた先人たちの思いがあったのでしょう。
旅の友クラブツーリズム2013年新年号より
昔は当然のように各家庭で作られていたおせちも、お店に注文して作っていただいたり、はたまた食べなくなったり・・・と、お正月の食文化も変わってきたようですね。しかしせっかくですので、全品とは言いませんが、2、3品だけでもこの機会につくってみるのはいかがでしょうか。こうして先人の残してくださった熱い思いを受け継いでいくことこそ日本の食文化を豊かにすることに繋がっていくのかもしれません。
我が家では、黒豆、田作り、なます、きんとん、昆布巻き、棒鱈、伊達巻、酢レンコンなどを作りましたよ。皆様は何がお好きでしょうか、そして何をお作りになったのでしょうか。
前後しますが、暮れの我が家といえば、やはり皆様のお宅と同様、年末年始の用事やイベントなどであちこち走り回り、それはもう大変忙しかったですが、同時にとても楽しい時間を過ごすことができました。
その楽しいイベントが期間限定のビストロオープンです。この時期、我が家は「ビストロ」に変わるのです。そう、我が家の定番鍋料理「トマト鍋」を提供するお店になるのです。
年末には二組のお客様をお迎えしました。
一組は姉の仲良しグループ6名様のご来店でした。
以前から我が家自慢の「トマト鍋」が食べたい、とのご希望をいただいていたのでそれではと忘年会を兼ねて来ていただきました。
もう一組は私の中学の友人Hさんご夫妻と、H君ご夫妻です。
姉の友人はどなたもお酒を召し上がらないのでひたすら食べるばかりでしたが、私の方のお客様はもれなくワインとお酒がセットでの宴会です。それも「トマト鍋」に合うだろうと、赤ワインを見立ててくださってのご来店。お土産だよ~、と当日持参して来店してくれました。
皆、飲むは食べるはの大盛況。それに懐かしい中学時代の話で盛り上がり時間の経つのも忘れ、大いに楽しんだ一日でした。
彼らとは卒業して何十年ぶりかに同級会で再会したのですが、その際意気投合しこのような運びになりました。同級会を機に、こうしてこれからもずっとお付き合いしていける最高のお友達と再会し、嬉しい限りです。
トマト鍋に入れる白ワイン
材料は魚介類 | (アサリ カキ エビ タラ ホタテ イカ) |
野 菜 | (ジャガイモ レンコン アスパラガス マイタケ 生椎茸 シメジ サトイモ ニンジン カボチャ カブ ブロッコリー ギンナンとウインナーソーセージをキャベツで巻いたもの) |
中でも肝心なものはトマトです。トマトは全部湯むきにして使用します。この下ごしらえが結構手間です。使用するトマトの品種は何でもいいのですが、私のお気に入りのトマトはシシリアンルージュという品種です。皆さん召し上がったことありますでしょうか?
トマト鍋にはこれが最高です。
何故かと言いますとシシリアンルージュは生食でも調理用にも適したトマトなのです。うまみ成分であるグルタミン酸が豊富でやわらかく酸味もほどほどにあり煮込み料理には最適です。
さあさあ、寒い日のちょっとおしゃれなトマト鍋、皆様も一度ご賞味あれ!!
今までレシピを書くことは特になく、いつも適当に食べたいものをどんどん入れていたのですが・・・せっかくですので、皆様にはレシピとして提供させていただきたいと思います。
さて、ここでちょっと余談ですが姉のお花会があったので久しぶりに見に行ってきました。
そして今回の恒例我が家のおもてなし料理もご紹介します。
寒い冬は、どんなに着込んでも体が冷えます。
そんな寒い冬にこそ食べたい、身体を温めてくれるショウガにスポットを当てたいと思います。
『ショウガ』 | 茎の基部が肥大してできる塊茎を利用したもの。 |
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【分 類】 | ショウガ科 ショウガ属 |
【原産地】 | アジア南部 |
【歴史】 | インドでは紀元前300~500年前にはすでに保存食や医薬品として使われ、中国でも紀元前500年には栽培されていました。 ヨーロッパは気候が栽培に向かず主にアジアからの輸入に頼っていました。 我が国日本には2~3世紀ごろに中国より伝わり奈良時代には栽培が始まっていました。 |
【美味しい時期】 | 新物は7月に出回り、貯蔵品により周年出回ります。 4月~9月を中心に出回ります。 |
【栄養/機能性】 |
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【種類】 | 根塊重量による分類 | |
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大ショウガ(800g~1kg) | 近江、印度 | |
中ショウガ(500~600g) | 房州、らくだ、土垂、三州 | |
小ショウガ(300~400g) | 主に葉ショウガに利用する 谷中、金時 |
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別の分類 | ||
葉ショウガ | 品種は谷中が多い。小指大になった根茎を収穫する。まっすぐで湿り気があり、根と葉の色が明確なものがよいでしょう。 | |
矢ショウガ | 筆ショウガとも呼ばれ、軟白栽培した根茎の細いものをさす。酢漬けにした「はじかみ」は焼き魚のあしらいに。 |
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新ショウガ | 品種名ではなく、初夏に出回る収穫したばかりの根ショウガのこと。皮に筋がなくてやわらかい。 | |
ひねショウガ | 貯蔵してあった前年の根ショウガで、種ショウガともいわれます。太っているものが筋っぽくない。 |
【見分け方】 |
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【保存方法】 |
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【用途/調理】 |
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参考資料:
旬の食材「春・夏の野菜」 講談社
野菜と果物の品目ガイド 農経新聞社
最後に、いつものレシピのご紹介です。せっかくですので前述でご紹介した、「トマト鍋」のレシピを♪材料も分量も「適当」&「気楽に」が魅力のこのお鍋、皆さんも楽しみつつつくってみてくださいね。
「トマト鍋」
材料 4~6名分
野菜 | |
トマト(品種シシリアンルージュ) | 5~6パック |
ジャガイモ | 3個 |
レンコン | 1節 |
アスパラガス | 6本 |
マイタケ | 1パック |
生シイタケ | 6個 |
シメジ | 1パック |
サトイモ | 6個 |
ニンジン | 10㎝ |
カボチャ | 1/6切れ |
カブ(小) | 6個 |
ブロッコリー | 1房 |
ギンナン | 適宜 |
キャベツ | 3~5枚 |
ニンニク | 1片位(お好みで調節してください) |
鷹の爪 | 1本 |
魚介類 |
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アサリ | 1~2パック |
カキ | 20個 |
ホタテ | 12個 |
エビ | 12尾 |
タラ(切り身) | 6切 |
イカ | 1尾 |
ソーセージ | 6本 |
オリーブオイル | |
チーズ(パルメジャーノレジャーノ) |
作り方
1. | トマトはトマトの上の部分に十文字の切れ目を入れておきます。 お湯を沸かして6個ぐらいずつ湧いているお湯の中に入れ、5つくらい数えたら水に取り、皮を剥きます。これを繰り返します。 |
2. | 野菜は洗って適当に切ってキノコ類とカブを除いて軽く茹でておきます。 |
3. | ニンジンは7㎜くらいの厚さの梅型で抜き、同じように軽く茹でておきます。 |
4. | キャベツはやわらかく茹でておきます。 |
5. | ニンニク、鷹の爪は小口切りにしておきます。 |
6. | アサリ、カキ、ホタテは洗ってそのままの大きさで。 |
7. | エビは背わたを取り洗っておきます。タラの切り身は洗って半分に切ります。 イカは皮と腸(わた)を取り洗って適当な大きさに切ります。イカの足も使います。 ソーセージは茹でたキャベツで巻いて爪楊枝で留めておきます。 |
8. | チーズは卸しておきます。 |
9. | 卓上に鍋を用意してください。 |
10. | 鍋の冷たいうちに、ニンニク、鷹の爪を入れ火をつけて香りをつけます。 気にならない方はそのまま、いやな方は香りがついたら取り出してください。 |
11. | アサリを入れさっと炒め白ワインを1本入れトマトを入れます。 |
12. | あとはお好みでお好きなものを入れて召し上がってください。 |
【作るときと食べるときのポイント】 |
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※ | 汁が少なくなってきたら白ワインを入れるもよし、スープを入れていただいてもいいです。 |
※ | 召し上がる時はチーズをかけて召し上がってください。 |
※ | しめにいただくリゾットは、具を取り除くなどして、ほとんど汁のみの状態にしてから汁の中にチーズを入れ、洗って水気をきったご飯を入れて作ります。 |
お好みですが、仕上げにさらに上にチーズをふりかけていただきましょう。 |