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野菜と果物の魅力について

ベジタブル&フルーツマイスター協会認定カルチャースクール講師
栄中日文化センター「野菜ソムリエに学ぶー野菜生活向上のススメ」担当
服部 佳世子

★野菜ソムリエと行く会津の旅 「サツマイモ」

「今まで多くの人や社会にお世話になってきたのだから、これからはお返しの人生ですよ」と言う母の言葉に後押しされて始めた「野菜ソムリエ」の勉強。その言葉の重みをひしひしと感じる今日この頃です。
その母が亡くなりもう7年が経ちました。この11月は私にとっては思い出深い月です。7年前の今頃、マイスター講座を受講中だった私は、築地市場にあるキッチンスタジアムに通っておりました。ある講義の開催当日、急に母の様態が悪くなり、医者に連れて行ったため授業に1時間遅れで参加しました。そしてその帰りの新幹線の中で亡くなったことを知ることとなりました。マイスター仲間の一人が「そんな中によく行ったわね、よほどこの授業に思い入れがあったのね・・・・・」と後なっていいましたが、それは母も望んだことでした。
当時は大変辛い思いをいたしましたが最近やっと遠い昔の思い出として考えられるようになりました。7回忌にもなると辛いことは忘れ、楽しかった思い出だけが残るのだと月日の経過に感謝しています。

さて、つい最近受講中の苦楽を共にした仲間(ベジタブル&フルーツマイスター)7名と会津に旅行に行きました。
一人が会津の住人なのでいろいろお膳立てしてくれました。私は名古屋から新幹線で東京へ行き他の人と合流して東北新幹線「やまびこ」で郡山、その先は磐越西線に乗り換え会津若松へ、その間今半の「すき焼き弁当」を美味しくいただき車窓から見られる田園風景を楽しみながら一路マスコット「あかべえ」が待つ会津若松に降り立ちました。
それからはデザート付レンタカーで移動です。
写真は会津の住人の差し入れ「ナイヤガラ」という品種のブドウです。
「ナイヤガラ」とはアメリカ系ブドウの一種で黄緑色のブドウです。甘みと独特の香りが特徴です。
皮の薄いブドウのため市場に出ることが少ない珍しい一品!

お口がさっぱりしたところで桧原湖へ、ここは磐梯山の噴火で飛んだ岩で出来た小さな島が数々あり、これらの島をモーターボートで20分余り回りました。島々の木々の紅葉が水辺に映えそれは美しい光景です。

その後、皆さんご存知の五色沼へ。五色沼と呼ぶのは火山性の水質の影響や植物、藻などにより、緑、赤、青など様々な色合いを見せることが名前の由来だとか・・・・・
ついで日本で4番目に大きいとされる猪苗代湖をぐるりと回り、今晩のお宿「東山温泉」で旅の疲れを癒すことにしました。夜空にまばゆいばかりに輝く星を見ながら入る露天風呂は旅の最高のご馳走でした。
次の朝最初に向ったのが産直の店「旬菜館」です。それぞれが思い、思いのものを買いました。私はカサブランカの球根を購入。来年は綺麗な花を咲かせてくれるでしょう。

次に訪れたのは「大内宿」です。ここでは珍しい「葱そば」が私たちを迎えてくれました。
なんと、そばを箸ではなく葱で食べるのです。
葱を食べながらそばをいただくと葱が良い薬味となるのです。(お~辛い・・・)
そもそも葱は曲がり葱を使うのですが今回のものはあまり曲がっていませんね・・・・・・

~ソムリエの一言~

曲がり葱とは根のついた葱を横にして土をかけます。
すると葱本来の立ち上がろうとする性質があるので首を持ち上げ曲がるというわけです。(ご納得いただけましたでしょうか)

紅葉も見ごろですから車がぎっしり、渋滞している車を横目に「塔のへつり」に向いました。ここでも人、人、人で賑やかでした。へつりという字は「岪」で岩が削れて出来たという意味だそうです。(難しい字ですネ・・・・)

国産松茸が店に並んでいましたがやはり観光地、かなりお高い値段がついていました!?
(ビックリ・・・・!)
お天気も最高、紅葉も見事、楽しい二日間の「仲良し旅行」でした。来年はどこ~!?

そうそう私が毎朝愛犬と散歩に行く神社ではギンナンが旬真っ盛り、少々小粒ですが毎日ドンドン落ちています。
神社の総代さんたちが参拝者に食べていただけるようにと、洗ったり干したりと手を尽くされています。その工程を写真に撮ってみました。

「ギンナン」 とはイチョウの実(正式には種子)です。
殻を割って調理します。
殻にすこし傷をつけ茶封筒に10粒ほど入れ電子レンジで1分ほど加熱すると、きれいな緑色に仕上がります。これを茶碗蒸しや銀杏ご飯に、塩を振りつまみになどして食します。
「イチョウ」 イチョウ科 イチョウ属で中国原産の落葉高木
広葉樹のように思われがちですが、針葉樹です。
雄、雌、異株であるため雄株、雌株があり実は雌株のみになります。

さて、今回は庶民の味サツマイモにスポットをあてることにいたしましょう。

野菜をたくさん食べた時と同じ栄養効果が期待できそう

★『サツマイモ』★
食物繊維たっぷり!美容効果大!!
さつま芋の名は「薩摩藩(現在の鹿児島県)から全国に広まった芋」を意味します。別名のかんしょ(甘藷)は「甘みのある芋」であり、からいも(唐藷)は「中国から伝わった芋」の意味です。
  【分類】
    ヒルガオ科 サツマイモ属
  【原産地】
    中央アメリカ
紀元前から栽培されていたことがわかっています。
コロンブスが新大陸を発見し、スペインのイサベル女王へ献上したのがヨーロッパに広がるもととなりました。しかしもともと熱帯作物のため、ジャガイモのように復旧することはなかったようです。日本へは、17世紀に中国から沖縄にもたらされて薩摩に伝わりました。やせた土地でも、凶作の年でも収穫を見込めることから、やがて救荒作物として重要視されていったようです。1735年蘭学者の青木昆陽が薩摩から種芋を取り寄せ、江戸の小石川薬園でサツマイモを試作。それをきっかけに、東日本各地にも栽培が広がりました。今の埼玉県川越市(かわごえし)あたりはサツマイモの産地です。
  【美味しい時期】
    9月~11月 1月~3月(貯蔵されてある程度水分が蒸発し、デンプンが糖質に変わるのでおいしくなります。)
  【栄養性・機能性】
   
  • 主成分はデンプン。
  • ナトリウムを排出して血圧を下げるカリウムなどのミネラル類が豊富に含まれています。
  • ビタミン類ではDとKを除いてバランスよく含まれています。特に糖質がエネルギーを生み出す際に必要なビタミンB1、たんぱく質を効果的に利用するためのビタミンB6や強い抗酸化力を発揮して老化やガンの予防作用を持つビタミンEなどを含んでいます。
    野菜や果物に期待されるビタミンCも豊富に含まれ、加熱しても壊れにくいという特徴を持っています。(ジャガイモも同じです)デンプンの膜に保護されているためです。
  • 食物繊維は便秘を解消したり、大腸ガン、糖尿病、高脂血漿や高血圧の予防に効果的といわれています。
  • 黄色や橙色の強いサツマイモにはカロテンが、紫色のサツマイモにはアントシアニンという抗酸化機能を持つ色素をもち、動脈硬化やガンを防ぐといわれています。
  【種類】
    日本で栽培されているサツマイモは約40種。
紅あずま・・・・・・・ 皮は濃赤紫色、中は濃い黄色。繊維が少なく甘みが強い。関東で最も一般的な品種。ホクホクとしていて、焼き芋や菓子の材料の他、家庭料理一般に適しています。
高系14号・・・・・・・ 皮色は赤褐色、肉色は淡黄色。西日本で人気が高い品種。糖度が8%前後で甘みが強く、ややねっとりとしているので焼き芋に最適。それぞれの産地で独自の名称をつけて出荷されています。
鳴戸金時(徳島県) 五郎島金時(石川県)
紅さつま・・・・・・・・ 鹿児島県で最も多く栽培されている青果・加工用の芋。皮は濃赤色、肉色は黄白色。例年5月20日前後から、日本一早い「新芋」として出荷される。ホクホクとして甘いので、焼き芋、ふかし芋、てんぷらに。
安納紅・・・・・・・・・ 皮色は赤褐色、肉色は淡黄色。肉質は粘度が高く、甘みの強い芋。蒸しても焼いてもおいしい。2000年に種子島の在来種「安納芋」から品種選抜されたもので、在来種よりも優れている。
黄金千貫・・・・・・・
(こがねせんがん)
皮色、肉色ともに黄白色。もともとはデンプンの原料として育成されたもので、その後焼酎原料として利用されていたが、ほくほくとして味がよいことから、青果用としても販売されている。てんぷら、焼き芋、ふかし芋に。
山川紫・・・・・・・・・ 皮色は赤色、肉色が濃い紫色。糖分が少ないので、青果用には不向き。色の濃い紫を生かして、アイスクリームや芋あめなどの着色料として利用。海外から導入された品種で鹿児島・山川地方で栽培。
紅芋・・・・・・・・・・・ 沖縄特産で肉色が紫色のサツマイモ。きめが細かく、ほどよい甘さでおいしい。ふかしたり、焼き芋以外にも菓子やソフトクリームなどにも加工される。今までは、生の紅芋は防疫上県外への持ち出しが禁止されていたが、最近になって、蒸熱処理されることで県外への持ち出しが出来るようになった。

「旬の食材」  講談社から
  【見分け方】
   
  • 皮にツヤがあり色が均一のものを撰びましょう。
  • ずんぐりと太くデコボコが少なくて肌がなめらかなものを撰びましょう。
  • 毛穴が深いものやかたいヒゲ根のあるものは繊維が多いので避けましょう。
  【保存】
    寒さに弱いので冷蔵庫での保存は厳禁。
新聞紙に包み常温保存しましょう。
  【用途/調理】
   
  • 焼き芋、ふかし芋。煮もの、てんぷら、コロッケ、きんとんなどの料理。
    スイートポテト、ケーキ、アイスクリームなどの菓子。
  • 皮はアクの成分を多く含むので、厚めにむき、切ったらすぐ水に浸してアク抜きをしましょう。
  • ゆっくり加熱するほど甘みが増すので、電子レンジよりも蒸し器やオーブンで時間をかけて加熱することがオススメです。
  【一言】
    秋に採れるサツマイモは年が明けてからのほうがオススメ
  • 秋に採れるサツマイモは年が明けてからのほうがオススメ
  • 芋の収穫は超早堀が5月中旬から始まり、7月の早堀、そして普通堀は9月から12月下旬まで続きます。
  • 超早堀と早堀は貯蔵性がないので収穫後すぐに出荷されます。ホクホクの中にもフレッシュな香りがあっててんぷらにするとおいしいそうです。
  • 秋に収穫した芋の大半は年が明けて4日の初荷の日まで貯蔵庫で保管されます。
  • サツマイモは温度と湿度をコントロールして休眠状態にするとデンプンが糖質に変わり甘みが増します。

余談ですが、なぜサツマイモのことを『金時』(きんとき)というのでしょうか?
金時とは平安時代の武将「坂田公時」(さかたきんとき)さんのことで、幼名は皆様よくご存知の「金太郎」さんです。
金太郎は相模の国、足柄山(あしがらやま)の山姥(やまうば)の子で、全身赤くて肥満で怪力の持ち主でした。そこから赤いものの代名詞を「金時」というようになり、真っ赤なサツマイモは金時芋、赤いインゲン豆を金時豆、美しい赤色の鯛を金時鯛というようになりました。

また、サツマイモは別名を「十三里」(じゅうさんり)ともいいます。寛政(1789~1801)のころ、江戸に『八里半』の行燈(あんどん)をかかげた焼芋屋が現れました。意味は「栗」(九里)の味に近いから。すると、ライバルの焼芋屋がそれに負けじと『栗より(九里四里)うまい』(9+4=13)で、『十三里』の行燈を出したそうです。それからさつまいものことを「栗よりうまい十三里(じゅうさんり)」というようになったのだそうです。
またこんな説もあります。
今の埼玉県川越市(かわごえし)あたりはサツマイモの産地で、江戸から十三里(じゅうさんり)あったので、ここから来る焼きいも屋のことを「十三里」とよんでいました。それにひっかけて、焼きいも屋が「栗(九里)より(四里)うまい十三里(9+4=13)」とふれて売っていたそうです。
サツマイモひとつをとってもいろいろな言い伝えがあるのですね、おもしろ~い!

簡単サツマイモレシピ

サツマイモのハチミツ煮

材料   4人分
  サツマイモ・・・・・・・・・ 500g
 
  ハチミツ・・・・・・・・・・・ 大さじ4
  醤油・・・・・・・・・・・・・・ 小さじ2
作り方
  1、 サツマイモは1cmくらいの半月か小さければ輪切りにし、水にさらし水きりしておきます。皮はむいても、そのままでもどちらでもいいです。
  2、 鍋に1を入れ、浸る程度の水をいれます。煮立ったら中火にして蜂蜜、醤油を入れて柔らかくなるまで煮ます。
  3、 小鉢に盛って出来上がりです。

☆蜂蜜の甘みだけでは物足りない?そんな時醤油で引き締めてみてはいかがでしょう。

サツマイモのスープ

材料   4~5人分
  サツマイモ・・・・・・・・・・・ 500g
  タマネギ・・・・・・・・・・・・ 100g
  水・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.5C
  牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.5C
  固形スープの素・・・・・・ 1個
  バター・・・・・・・・・・・・・・ 10g
  塩 コショウ
作り方
  1、 サツマイモは洗って皮をむき7,8ミリのいちょう切りにしておきます。
  2、 タマネギは短いせん切りにします。
  3、 鍋にバターを溶かし2のタマネギをしんなりする程度にいため、1のサツマイモを入れ、バターがサツマイモに絡めば水を加え中火でサツマイモが柔らかくなるまで煮ます。
  4、 少し冷めたらミキサーに2、3回にわけてかけます。煮汁が少なくミキサーがかけにくいようであれば牛乳を入れて回します。
  5、 再び鍋に返し、残りの牛乳を入れ暖め塩、コショウで味を整えます。
  6、 器に注いだら後、生クリームで円を描き、盛り付けを飾ります。パセリのみじん切り、つぶしたクラッカー、クルトン等を浮きみにしてもよいでしょう。
暖かくても、冷たくても美味しく召し上がっていただけます。

☆紫芋で作ってはいいかがでしょう!紫に白い生クリーム色彩を楽しむばかりではなく、
紫色のアントシアニンに含まれる抗酸化機能が期待できます。
野菜と果物の魅力について
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