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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

ハレの日

まだまだ寒さが続きます。ちょっとした油断が風邪などをこじらせます。万病の元の風邪をひかないよう気をつけましょう。一日の寒暖差が大きいので撮影に出かける時間帯に合わせて衣服の調節が必要ですよね。あまりにも寒いと思考能力も落ちてきて集中力もなくなってきます。暖かい服装で撮影することが大事ですね。

写真が持つ役割の原点を考えてみるとこれからどう撮れば良いのかが見えてくるかも知れません。私が子供の頃に撮影された写真は当然フィルムカメラです。今はもう残っていないのですが、記憶の中にあるアルバムの写真が一枚あります。3、4歳頃に写真館で撮ってもらった白黒の名刺サイズの一枚です。記憶に残っているこの一枚がいつも孫たちの写真を撮るときに重なり合って思い出します。昔は写真を撮るという行為自体とても特別なものだったと思います。今でも成人式の晴れ着姿だけはきちんとプロに任せて撮っておきたいというのが親御さんの気持ちでしょう。

昔は写真を撮ること自体その日のハレの姿を後世に残しておこうということだったと思います。人生の特別な一日の記念として非日常の姿を記録しておくためにカメラが存在していました。デジタルカメラになった現在ではカメラは特別な器械ではなくスマホカメラを含めれば日々の暮らしの中で日記やファイルノートに文字で雑文を書くように使われています。スマホやPCからSNSを利用して世界中に自分のことを伝えることができるようになりました。個人的なアルバムの中に仕舞い込み思い出したようにタンスの中から引っ張り出して古い思い出に浸るスタイルから今日の自分はこうだよとみんなに発信して共感を得る喜びに変わってきました。撮ってすぐ見ることができるデーターならではの形でしょう。

カメラがデジタル化されて久しく時間が経ってきた現在でも写真を撮る方向性はあまり大きく変化していないような気がします。風景撮影のスタイルはハレの姿をより良く撮る形のままでフィルム時代のスタイルの継承でしかない写真がまだまだ溢れています。デジタルだからこそ見える(撮れる)風景のハレの日をそろそろ考えていく時代になってきたのではないでしょうか。表面上の綺麗なハレの日を残すことから自分が伝えたいその日のハレの気持ちを記録していかなければいけない時代になり始めていると思います。カメラの高感度を利用した夕景、夜景、星空撮影などフィルム時代に高い技術が必要だったものが今では難なくカメラ任せで撮れてしまいます。カメラの説明書をめんどくさがらずに読めばそれらの写真に挑戦できます。是非チャレンジしてみてください。新しい好きを見つけることができるかも知れません。

写真はその人の人生が写ります。ハレの日はその人の特別な日のはずです。単なる晴れた日の風景を複写したものでは、見る人が感動しませんよね。技術だけの綺麗な写真から抜け出て欲しい、そんな思いも込めて書いてみました。

筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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