文化講座
感じたものが写っていますか?
春への兆しが少しずつ感じられる今日この頃です。カメラのファインダー越しに春色を探す季節になりました。お天気の良い日は気持ちも軽く写真を撮りたくなりませんか?
今回は撮影してきた写真を見直したときその写真がよい写真なのか気に入らない写真なのかの基準を決めるポイントを考えてみましょう。初級コースのカメラの取り扱いをある程度理解されている方向けにお話を進めていきます。
写真の基本にその場を正確に記録するという役目があります。目の前の被写体を見てカメラで撮りたい気持ちになってみなさんはシャッターを押しているはずです。ファインダーから見えている状態をカメラは機械的に複写してくれます。しかし家に帰ってパソコンのモニターでその写したものをもう一度見たとき自分の思った通りに写っているものがどれくらいあるでしょうか?ここで大切なのはそのときその場で感じて写したいという気持ちが伝わってくる内容でその1枚にきちんと閉じ込められているかを確認することです。
言い換えればカメラがその場を切り取ってきただけの写真なのか、自分の意思を閉じ込めてシャッターを切ったのかを出来上がった写真から考えてみましょう。
たとえば、目の前にきれいなお花畑がありきれいな状態で咲いているとします。いきなりその花たちにカメラを向けて切り取れば花の群生は複写できるでしょう。でもそれはカメラが決められた焦点距離や絞り値やシャッタースピードで正確に写してくれただけになっているかもしれません。自分が目の前の光景の何に感動しているのかをカメラをかまえる前にちょっとだけ分析してみましょう。そうすれば花だけでなくその花に当たっている光やその花をきれいに演出している周囲の背景があることに気付くはずです。それらのいろいろな関係を読み取ることで自分が感動しているのだという気持ちを持てば構図なども自然にどう切り取ればいいのかが見えてくると思います。
写真用語に「空気感」という何とも曖昧な表現があります。でもこの言葉の意味を何となく理解できるようになるときっとひとつ垢抜けたすばらしい写真が写しとれるようになると思います。いま一度ご自分の写真の中にその場で感じた気持ちを閉じ込めて写したものなのかを考えてみることをお勧めします。
そう、いつも「感じたものが写っているか」を確認していけばきっと個性的な、あなたにしか撮れない写真が生まれてくるはずです。そこから新しい写真世界が無限に広がり始めるでしょう。
筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
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