愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

秋の色

今年の紅葉も終わりですね、街路樹の落ち葉が風に舞い寒さを感じる季節になりました。風邪など引かないよう気をつけて年末を過ごしましょう。
紅葉の写真はたくさん撮影できましたでしょうか?場所によっては大型台風の影響で綺麗な紅葉が望めなかったところもありました。来年に期待しましょう。

今回は(秋の色)を考えてみます。綺麗な赤、黄色、オレンジなどを思い浮かべて紅葉の名所を訪ねて行かれると思います。秋の旅行写真パンフレットにはとても鮮やかな色の赤、黄色、オレンジの写真が掲載されています。時期さえ合えばそんな状態で撮影できるところもありますが、いつも写真と同じわけではないことが多いはずです。くすんでいたり葉っぱがチリチリに枯れていたりしてなかなか写真的に綺麗に写すのは難しいことが多いのが現実でしょう。
紅葉で有名な場所では観光客など人の出も多くゆっくりと撮影することもままならない状況が多いですよね。そんな中で苦労して撮影した写真もパンフレットと同じような(作例に近い)写真で終わってしまいがちです。確かに綺麗でその場所に行ってみたいという気持ちにはなるかもしれませんが、作者の気持ちを読み取れるものとは少し違う気がします。そんな時には、その近くでひと気の少ないちょっと奥まで足をのばしてみるのも良いかもしれません。広い風景で見せる写真は撮影ポイントのようにうまくいかないかもしれませんが、小さな秋の色を探すつもりで観察すれば結構見つかるものです。

天気の状態に左右されるのもこの紅葉撮影では多くあります。快晴の下で撮影するのは気持ちいいものですが、コントラストが強くなり鮮やかな赤の背景が真っ黒に潰れてしまいがちです。人の目とカメラを記録できるラチチュードが違うことが原因です。風のない曇り日や小雨程度の中で撮影することをお勧めします。偏光フィルターを使うことで葉っぱに当たる空からの反射を抑えて色鮮やかな赤や黄色を表現してください。柔らかな光をうまく使いカメラの設定の中でコントラストを少し高めにするのも良いでしょう。
雨の日などは足元の水たまりなども小道具的に使えば面白い作品になるでしょう。上ばかり見上げていないでその周囲をよく観察することが大切です。枝ぶりの良い紅葉のひと枝は日本画調でよく撮影されますが、この時期蜘蛛の巣が多くありますから注意が必要です。

この文章が掲載される頃には街中の紅葉も鮮やかさを失っているかもしれませんが、晩秋という少し切ない色を考えて撮影されると良いでしょう。
鮮やかな秋色、少しくすんだ秋色、切ない気持ちを投影できる秋色などちょっと視点を変えて撮影してみてくださいね。自分だけの秋色がきっと見つかるはずです。秋の色にも色々感じ方があることが見えてくるでしょう。

今月の一枚

紅葉した山肌は、季節が動いていることを感じる場所でもあります。曇り日だと全体にのっぺりとして写真的には面白くない状態です。雲間からスポットライトのように差し込んだ光が山の一部を照らし出し奥行きを出すことができた一枚になりました。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

デジタル写真の楽しみ方
このページの一番上へ