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インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

手段と目的

春から初夏への変わり目を微妙に感じながら過ごす日々です。衣服も暑い日、寒い日に合わせて小まめに着替えないと風邪などをひきやすい時期ですね。新型コロナ禍でもあり体調不良に気をつけて下さいね。

先日、久しぶりに富士五湖方面に出かけてきました。やはり富士山は雄大だなぁと今更ながらに思った次第です。ちょうど桜が見頃だったので湖岸沿いに車を走らせていたら学生らしい数人がカメラを手に撮影していました。一本の枝垂れ桜を手前にして富士山を撮影しているようです。ん?何かこの光景よく見かける感じだなと思いながら車を降りてその子たちに近づいて行き「いいのが撮れた?」と聞いてみました。「はい、天気も良くインスタ映えするいい写真が撮れたと思います」「グループ内でのコンテストでも上位狙えそうです」など嬉しそうに答えてくれました。若い子たちが写真を楽しんでいる姿はやはりいいものです。でも私はこの時ちょっと違和感も覚えていました。この撮影スタイルは有名地の撮影ポイントで桜や日の出を狙うために群がっている大勢のカメラマンの姿と同じ感じを抱いたからです。それがいけない訳ではないし撮りたい目標があってそれの完成度を競い合うことは自分の技術を上げていくためにも必要なことだと思います。快晴の中の富士と桜、誰もが撮ってみたい素材ですよね。
でも「インスタ映えする」ために撮影するということに少し引っかかります。

インパクトのある写真がInstagramではウケが良くその人の撮影技術や加工技術を披露する目的で掲載されていることが多く目につきます。技術的要素はあくまで手段でありその人個人が見せたい作品的要素(目的)が見えてこないものが上位にひしめき合っているのが今のInstagramの世界のようです。「右に倣え」的な写真からはその作者の個性的面白さを見つけることは難しいですよね。

インターネット上のSNSが写真を見せる主流になりつつある今日、見た人の反応が気になるのは当たり前ですがその見る人たちに「すぐ受ける」ためだけに写真を撮るのはどうかなと思っています。確かにInstagramから有名になってきた作家さんがデビューしていることは今の時代に沿った方法論だと思いますしとても良いことだと思います。ただその作家さんの後追い的な写真を撮っている若い人たちの姿はアマチュアカメラマンのおじさんたちが日の出の・・・を集団で撮影している三脚の放列姿と何ら変わらないような気がします。やはりSNSで見た世界を自分ならこう撮影してみたいという(目的)を持ってその場所に挑みたいですね。自分が見つけた世界観を見せたいですね。SNSデビューの作家と呼ばれる人たちは、やはり努力して自分の世界観を作り上げています。そこの部分をしっかりと受け止めて若い人たちにしか見えない写真を作り上げてほしいと思います。

今月の一枚

真っ白な雪を被せたように咲くヒトツバタゴの木です。岐阜県の東濃地区でよく見かける木です。
5月の新緑の頃白い花をつけます。岐阜県の可児市にある花フェスタ記念公園にもあり薔薇のシーズンによく見かけます。青空がよく似合う木です。
他の地区で天然記念物として指定されている木でもありネットなどで検索されてお出かけしてみてはどうでしょうか?
桜とは違った魅力を発見できるかもしれません(通称、なんじゃもんじゃの木)。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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