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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

時間軸のなかで

新緑もまばゆい今日この頃です。外に出かけて初夏の光を楽しむ絶好の季節ですね。

私たちは、仕事や家事などに追われながら毎日を過ごしていることが当たり前のようになっています。年齢とともに時間の経つ速さに追い立てられている気がします。自分がその時感じた気持ちさえあっという間に忘れ去ろうとする日常ではないでしょうか。時間だけだは、コントロールすることが出来ないですからね。

写真で過去をもう一度撮ることやほんの少し先の未来を写し撮ることも出来ません。絵画であれば昨日の自分を思い出しながら描くことも可能です。まだ見ぬ明日を想像しながら白いキャンパスに絵筆を走らせることも出来ますよね。今目の前に存在している現実の姿のみ記録できるのが写真の世界です。しかし過去のアルバムなどを見返すたびにその時の記憶がはっきりと甦ってくる面白さが写真にはあります。写された一枚からいろいろなことを想像することも出来ます。これはきっと我々が生きている時間軸の上でほんの一瞬その時のピークを記憶に留めておこうとするからではないでしょうか。そのピークが非日常的なことであればあるほど他人との共有性が強くなると思います。朝早く起きて思いもよらなかったくらいの大きな太陽の日の出を見たり、きれいな草花が咲き誇っていたり雨の中でより美しく見える新緑の葉っぱなどに感動してカメラに収めようとしますよね。この感動を誰かに伝えたいから写真を撮るのではないでしょうか。記録に留まらない写真を撮ることが作品作りに繋がるのではないかと思います。

一番難しいのがこの時間軸のどのタイミングでシャッターを押せばよいのかではないでしょうか。これは写真する人にとっては永遠のテーマかもしれません。今だ!と感じる思いは人それぞれです。より多くの人たちとの共感を生む瞬間がその時のピーク「作品」になるのでしょう。優れた動画〈映画を含む〉は撮影技術だけでなく編集の力が大きく関係します。参加していない友人の結婚式の記録ビデオを長々と見せられたことはないでしょうか。もう一度見る?と言われた時の返答に困りますよね。でもその時のスナップのアルバム写真を見せられると一枚一枚の写真の世界にいろいろな想像が広がり会話が弾みます。この違いが、写真の時間軸の要素ではないでしょうか。同じ場所の時間軸の上にいなくても想像しながら共有できる写真がいい写真です。

時間軸のピークをいつも意識してみることで何をどう撮れば良いのかが自分なりに見つけられるのではないでしょうか。そこにはきっと自分の強い思いが込められているはずです。
見る側の第三者の心の時間軸に記憶となっていつまでも残っていくことでしょう。

筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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