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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

女子的カメラ思考

秋も深まり紅葉狩りに出かける機会も増えていることだと思います。
また街中のイルミネーションも気になる季節になりました。
いろいろな場所で出会う機会が多くなったのが女性のカメラマンです。
私の講座(特に初級コース)でも6割以上女性という時期もあります。
コンパクトデジタル、デジタル一眼など種類を問わず操作方法や撮り方を習うことに一生懸命なお姿が印象的です。

  

デジタルということで最初の機材投資は別にして経済的にも負担が軽くまた失敗をその場で確認しながら撮影技術をアップできることがとても便利な点に女性が気がついているのでしょう。
カメラの一番の役目である「記録」という点を考えれば携帯電話のカメラでもいいわけですが、写真的写りということを考えるとコンデジや軽めの一眼レフがやはり最適な訳です。

少し撮影の楽しさがわかってくると男性にはない「感性」で作品的な写真を撮る方が目立ってきます。このあたりを少し考察することで新しい方向の写真が理解できるかも知れませんね。

日常を記録しながら今、自分が何に興味を感じているのかを知るための手段として使ってみえることが多いようです。撮ったものをプリントアウトして何をどう自分の生活目線で見ているのかをそこで再確認する、難しくいえば自分の生き方のリセットをカメラを使って探そうとしているように私は感じています。

もちろんそればかりではなく自然風景や街中スナップや人物撮影などに挑戦してみえる方もいらっしゃいます。男性陣の多い写真サークルで技術を磨かれている年配のご婦人たちもたくさんみえます。でも「おっ、この物の見方面白いね」と個性が光る写真は日常生活の延長上で撮られた写真が目立ってきます。写真を始められた若い女性が見せてくれるプリントには1,2枚かならずといっていいほど自分の足元を撮影した写真があります。これなどストレートに自分視を表した表現でしょう。おろしたてのかわいい靴をはいて足元をパチッと一枚撮っておく。そこには記録と同時に自分のその時の思いを 込めているのでしょう。

  

ポートレイトなどによく使われるハイキー調(少し露出オーバーな白っぽい写真)な写真も好んで写されます。デジタルの利便性がここにも活かされています。カメラの設定さえしっかりと覚えればあとはボタン一つ押すだけで自分好みの作品が出来上がります。写真集などをみれば撮りたい例がたくさん見つかります。最近のミラーレス一眼カメラなどにはハイキー、ソフト加工、トイカメラ風、ミニチュアモード・・・など作風優先設定ができるものもあり撮影時設定するだけで誰々作家風の仕上がりが簡単にできます。これらの設定も女性ユーザーを意識している感が伺えます。
従来の硬派な写真を意識して撮影されている男性陣からみればなにを撮ったのかよくわからない写真に感じられるかもしれません、「フワ、カル」写真と造語されている日常スナップ的なこれらの写真の歴史はいま始まったばかりかもしれませんが、自分の心の内面を表現しようという個人思考に向かった写真も面白いと思います。目の前のものを見つめる面白さを楽しむ写真表現をいま一度考えてみるのもいいのではないでしょうか。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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