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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

作者の顔

いつまで続くのでしょうか、新型コロナウイルス。今年こそ終息して欲しいものです。
ポジティブに考えれば色々と生活様式が変わってきました。デジタル市場の拡大と仕事様式の変化もいっきに加速しています。そんな後押しをしているのもこの新型コロナウイルスです。日々緊張の中で命を守りながら新生活のスタイルを推し進めていく時代なのでしょうか。とにかく日常生活を心配しないで楽しめるようにしたいこの頃です。

この5枚の写真は、三重県の関町で撮影したスナップです。古い町並みのある東海道五十三次の宿場町です。
雨の日の柔らかい光の中で撮影。
24-105mmズームレンズ使用。

新しい年と共に壁のカレンダーも掛け替えられそこに写っている美しい風景を見ながら本棚から取り出した写真集を順番に見ています。そこで気がついたのが、作者(撮影者)の顔という問題です。あるテーマに沿って撮られた写真集の写真を見ているとその向こう側には作者の顔が浮かんできます。壁のカレンダーの美しい風景写真には(綺麗な場所だなぁ)という気持ちは湧いても誰が撮影したものかという作者への感情はありません。どちらもその一枚を撮る努力は大変な苦労をしているはずです。しかし発表の媒体や使用目的は違っていますが、(誰が撮ったのか)が気になる写真って何なのか、一枚の写真の向こうにある作者の顔を探る興味に強く惹かれる今日この頃です。
書店で小説などを選ぶ時まず誰が書いたものなのかに視線がいきます。そして表紙の帯などの簡単な見出し解説などから読もうかなぁという判断にいきます。
写真の場合は、その写っている内容によって写真そのものに惹かれる場合と誰々が撮影した写真という入り口から見ていくものの2種類に分けてみている気がします。作品展でもああ今回はこんな切り口でテーマを決めているとかを探るのは楽しいですね。

写真のコンテスト審査を頼まれることもよくありますが、その場合制作者は伏せられています。写真そのものが対象ですから純粋に写っている内容を審査していきます。これはこれで楽しく真剣に見ることができます。毎年続いて見ていくと(あっ、この作品の作者は多分あの人かな)ということも想像できるようになってきます。ベテランのアマチュア作家になってくると作者の顔が見える共通性を作品に感じられるということですね。
技術的に優れた一枚に惹かれる方も写っている内容から物語を感じるという楽しみを感じる方も写真への思いは同じです。どう楽しみながら写真と接していくかが重要であり長く続けていくポイントだと思います。ただ技術的に上手くなってくると写真はこうでなければいけない・・・などのこだわりが強くなりやすいので注意が必要です。カメラで捉えたものは全て平等に写真です。その一枚に作者の顔が見えているでしょうか?写真を見る時は、初心に帰れ・・・これがいつもの私の口癖です。

今月の一枚

三重県鈴鹿市にある鈴鹿の森庭園です。
枝垂れ梅の仕立て技術の存続と普及を目的とする研究栽培農園です。全国から集めた名木約200本毎年開花時期に合わせて公開されています(有料)。
散り始めの頃が写真的には綺麗です。
すぐ近くには椿大神社があります。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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