愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

人の目では見えないものを・・・

写真を撮っていて時々ふと思うことがあります。
プリンターから刷り上がったプリントを確認したとき、自分の思いどおりに写った満足感と同時に果たして撮影現場で見えていた光景はこのプリントと同じように見えていたのかと感じることがあります。目の前の光景を見つめている視線とカメラという機械を通して写される光景との違いを意識して扱うことが、自分のイメージに近づけることだと思います。そのことがよく分かるのは、動きのある被写体を写すときです。川の流れや噴水の写真、人や動物の走る姿や電車や車のスピード感を表現するときの動態撮影時には、実際目にしている状態と写された写真との差がはっきりと違うことが分かります。これらの写真は人の目では見えない世界をカメラという機械を使って表現できるものだと思います。もちろん撮影時にこう写るだろうという設定をしていかなければ写りませんが。
動態撮影でのポイントは、シャッタースピードによる写り方の違いをしっかりと把握しておくことです。通常のオートプログラム設定ではなかなか思ったように写ってくれないかもしれません。そのようなときには、シャッター優先モードにして自分でシャッタースピードをコントロールできるようにしましょう。被写体の動きをどう写しとめるかを自分で決めて適切なシャッタースピードを選択することがポイントになります。

動態撮影での代表的な"流し撮り"です。
1/15秒ぐらいで動く被写体にレンズを
合わせて動かしながらシャッターを切ります。
被写体の動きとレンズを動かすスピードが合わないとうまく写りません。


◇写したいイメージを想像して高速側のシャッタースピードが良いのか、低速側のシャッタースピードが良いのかを選択する(くっきり写しとめたいのかブラして写したいのか)。

◇より厳密に何分の1秒が良いのかをテストしながら選択する。

◇明るさにシャッタースピードが追い付かない場合は、ISO感度を上げてカバーする。

◇より低速のシャッターにしたいが明るすぎる場合は、レンズ前にNDフィルターを付けて減光することを考える。

水の流れや波の動きをスローシャッターで写しとめると人の目では直接目にしない光景がカメラでは捉えることができます。超スローのシャッタースピードで撮影するためにレンズ前にNDフィルターを付けています。
NDフィルターは濃度の違う濃さのものが何種類かあります。

今回はシャッタースピードを中心に目では見えない世界を考えてみましたが、絞りの効果を活かして写すことでもやはりカメラ独自の表現効果が生まれるものがあります。
絞り値の選択では被写界深度の広がり方を選択することがポイントです。
前ボケや背景をボカすことで目で見えている感じとカメラが捉えた光景が異なってきます。

カメラ独自の表現世界を楽しむのもいいのではないでしょうか。これらのことを意識して撮影を重ねていくうちにワンステップ上の技術も身に付いているはずです。

筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

デジタル写真の楽しみ方
このページの一番上へ