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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

音楽のように

秋の気配が感じられる今日この頃ですね、お出かけの機会も増えてくる日々ではないでしょうか。芸術の秋と呼ばれる季節にはやはり絵画や音楽など意識的に見たり聞いたりすることも多くなるでしょうね。

写真を撮るとき被写体を見つめ周りの雰囲気なども考慮しながら構図を決めていきますよね。写真の知識やそれを使いこなすテクニックを身につけてくると自然に目の前の光景を切り取って「フレーミング」している自分がそこにいることを感じるのではないでしょうか。自分が好きな空間を切り取り、そして一枚の写真に仕上げる。自分だけのその切り取った空間を誰かに見てもらう。光がその一枚を主張していたり被写体のリズムが構図を助けていたり瞬間を切り取るタイミングが見る人に強く訴えかけていたりといろいろな空間が語りかけてくるでしょう。

「好きなところを切り取ればいいですよ・・・」と屋外実習で最初にお話をするのですが、写真を始められて間もない初心者のかたは何にカメラを向ければ良いのかさえ分からなく考え込むかたも時々見受けられますね。
それは何を撮れば良いのかが分からないのではなく何に感動している自分がそこにいるのかが見つけられないのだと思います。こんなときには、音楽を聴くときの自分に置き換えて考えてみるのもいいでしょう。TVやラジオから流れてくる音楽が好きな曲であれば立ち止まって聞かれるはずです。その曲の何に惹かれて好きなのかを分析しながら考えてみることが、ちょうど写真を撮るときの行為に似ていると思います。歌っている歌手の声や人柄なのか、音楽の曲のリズムやハーモニーの構成なのかなど好きになる理由はいろいろあると思います。五線譜に書かれた音の高低だけでは魅力ある曲にはなりません。メロディー、リズム、ハーモニー、楽器の構成などいろいろなものが重なり合って聞き惚れる曲になるはずです。写真の現場もちょうど同じ状態です。光、空間の組み合わせ、その場所から聞こえてくる音などが自分の好きな光景だと感じたときが、シャッターを押すタイミングでしょう。

たとえば、お花畑にたくさんの花が咲いているとします。ある人は、満開に咲いているたくさんの花たちの場所の広さ(多さ)に感激するかもしれません。またある人は、その中のたった一輪の花のかわいい姿に惹かれるかもしれません。そのお花畑で自分は何に今刺激を受けたのかを撮ることに置き換えてみてください。撮ったものをモニターで確認して何かが違うと感じたらカメラの設定やレンズの選択など技術的な部分を見直してみると自分のイメージに近づけることが出来るようになるでしょう。 そして写真以外の絵画や音楽をたくさん鑑賞していただいてご自分の感性に刺激をあたえてくださいね。知らず知らずのうちにそれらが写真行為の手助けをしてくれているはずです。

筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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