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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

シャッターチャンス

もう少し暑い日が続きそうな気配の今日この頃ですね。
でも自然の動きを観察すると秋の準備が始まっています。
これから写真撮影には快適な季節になってきます。

写真を写す時、私たちは被写体の一番良いタイミングを撮ろうと考えながらシャッターを押しています。そのタイミングをうまく計りながら撮れた時はとても嬉しく感じることができますよね。少し古いコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)で撮った時、タイミングが上手く合わないことがよくありました。シャッターを押したタイミングからちょっと遅れてカメラのシャッターが切れ画面の真ん中に動くものを入れたはずが、端っこにその被写体が写っていることがよくありました。ミラーレスの構造上そうなりやすいのですが、日々の進歩とともに解決されてきています。

また一眼デジタルに至っては1秒間に8枚以上も連続で切れるものもあり連写して人の目の能力をはるかに超えたシャッターチャンスをものにすることも可能になっています。
物理的なシャッターチャンスはどんどん進歩しています。しかし今回お話したいシャッターチャンスはそれとは別のこころのシャッターチャンスのことです。

写真を撮る行為は、常に選択という行為の連続から成り立っています。
物を見つめる、被写体を選ぶ、構図をきめる、レンズ(焦点距離、画角等)を選ぶ、光を選ぶ、露出(シャッタースピード、絞り値)を選ぶ、ピント位置を選択してきめるシャッターを押すタイミングを待って選ぶなどのことを毎回自然に行っている訳です。
自分の人生の選択ほど気が重いものではありませんけど、選択の連続性の行為が一枚の写真の中に写っていると考えるとその一枚のなかにやっぱり自分が眼に見えない形で写っていると考えていいと思います。

上手く撮れたときは、その連続した選択が間違っていなかったことを確信できる喜びかもしれません。プログラムオートなどのカメラ任せのモードを使って選択をカメラに任せることはできます。しかしシャッターを押す瞬間のタイミングの選択だけはカメラマン自らしなければ写すことはできません。"今だ!"という瞬間を味わうことがカメラの楽しみだといえるのではないでしょうか。

このように考えてくると人それぞれシャッターを押すタイミングが違って当たり前であり隣のひとのシャッター音を気にすることなく目の前の被写体に一生懸命対峙することが大切だと思います。自分の心にシンクロしたときにシャッターを押すことでその一枚の写真に素直な自分の気持ちが写ってくるでしょう。
どうかこころのシャッターチャンスで写真を写す気持ちを忘れないでください。
そして今目の前で見ている世界(現実)は二度と巡ってこないものなんだと考えましょう


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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