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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

こころの適正露出

写真を始められて一番迷うのが、露出という問題ではないでしょうか。
今回はそのことが作品作りにどう関わってくるのかを考えてみましょう。

カメラの撮影技術からいえば適正露出は、画面全体の合計濃度が18%グレーの明るさになるようにメーター〈露出計〉が指示を出してきます。
被写体が暗い場合や明るすぎる場合は、露出補正をして人の眼で見えている感じに修正して適正な画像にします。これが一般的な適正露出の写真と呼んでいるものですね。

カメラの適正露出で撮影 気持ちの適正露出で撮影

しかし、そこに見つめる本人の気持ちを意識して考えると標準的な適正露出がいつも正しい露出とはいえないとも考えられます。
一般的な適正露出にこだわりすぎてその先に見える(写る)はずの自分の気持ちを伝える写真になかなか行けないことが多いのではないでしょうか。
きれいにシャープに写っているのだけれども何か見ていて感動が伝わってこない・・・そこにはその場の風景をどう見ているかを意識せずにカメラ任せで写していることがあるのではないでしょうか。

心の適正露出で撮る

これは目の前にある風景をどう自分が見つめているかを先に考えて露出を決める方法です。それによりハイキーな仕上がりやローキーな調子の作品に仕上げるようにします。

◇ハイキーなイメージとは・・・
 明るい、可愛い、女性的、広がり感、前向き思考などが思い浮かびます。

◇ローキーなイメージとは・・・
 暗い、重厚、男性的、マイナーな感じなどがイメージとして繋がりやすいです。

上のことをイメージしながら撮影中に自分はどう被写体を見つめているのかを確認しながら露出を決めていけばいいでしょう。
もちろん被写体によってうまく使い分けることでその効果がよりいっそう強調されてきます。
カメラがきれいに撮ってくれるこの時代にそのままシャッターを押してしまえばある面それはカメラがその場を写してくれただけの写真になる可能性を含んでいます。一枚の写真にその人の気持ちが写り込んでいることが大切でありその表現の手助けに露出をうまく取り入れていくことがワンランク上をめざすことにつながっていくはずです。
カメラという道具の使用法を一通り使いこなせるようになったら次は、どうその道具を利用して〈こころの遊び道具〉にしていくかを考えていきましょう。
そうすれば何げない日常の風景が自分の気持ちを表してくれる風景に見えてくるでしょう。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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