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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

「はい、チーズ!」

夏真っ盛りのなか皆さんは、いかがお過ごしでしょうか?
太陽の日射しに負けず写真生活を楽しんでみえるでしょうか?
夏バテがそろそろ出やすくなりますから無理をしないで楽しみましょう。

旅行などに出かけて家族や友人と記念写真を撮るときにシャッターを
押す前に「はい、チーズ」と声掛けをしながら写真を撮りますよね。
今回はこの言葉「はい、チーズ」を考えていきたいと思います。

日常の中では記念写真を撮るときの言葉と理解されていると思います。
レンズに意識を集中してもらうためや顔の表情を和らげて写すために使われる言葉ですよね。写真のイロハの入り口的な用語だと思ってみえるでしょう。少し、写すことのベテランになってくると「はい、チーズ」なんて照れくさくなって使わないよという声も聞こえてきそうです。
でもこの言葉の意味をもっと深く考えてみると本当に自分の写真は、被写体に「はい、チーズ」といって撮っていないかな?と考えてください。
風景や花、その他作品的な写真を撮るつもりで撮影しているときに「はい、チーズ」的に写真を撮っていないかどうかと自問自答してみてください。
人物ばかりではなく花や風景を撮るとき目の前に広がる被写体を「はい、チーズ」的にただシャッターを押していないかどうかということがとても大切なことだと思います。
記録として残しておくための写真、これはその場のいちばんいい感じを残すために「はい、チーズ」的に撮るのが最適だと思います。
でも自分の気持ちを写真で表現しようとするとこの言葉を使いながら撮った写真では写したい気持ちがなかなか写ってくれません。

綺麗な風景に出合ってよく雑誌などに出てくる写真を頭のなかで重ね合わせてパシャッとシャッターを押して満足していないかどうかということなんですね。
家に帰ってプリントしてみて以前どこかで見かけた写真になっていないかを考えてみるといいと思います。同じような写真であればどんなに苦労して撮影しても「はい、チーズ」といって撮った写真でしかないと思います。

筆者は、決して「はい、チーズ」的な写真が悪いと考えているのではなくそれはそれで存在価値のあるものだと思っています。
でもグループ展などの作品展でみかける写真の大半が「はい、チーズ」的な感じで撮られたものが多いのでご自分の写真が「作品」と呼べるものをもっと撮影してほしいと願っています。

本来、写真表現という時点では、今の自分の気持ちを写真で表すことではないでしょうか。
目の前で感じた被写体のなにをどう表現すればいいのかをしっかりと考えて写して欲しいのです。「はい、チーズ」的に撮っていないかな?といつも心の中で自問自答しながらシャッターを押して欲しいのです。
そうすればきっと個性的な写真が生まれ独創性に富んだグループ展になり毎回訪れるのが楽しみになる写真展になるでしょう。

少し上級を目指すかたには「はい、チーズ」という言葉が重く感じられると思います。カメラのモニターに写った写真が「はい、チーズ」的な写真ではないといえるかどうかいつも心の中で考えて撮影に挑んでみましょう。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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