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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

視線の先へ

今年も猛暑が続きそうですね、外にお出かけの際には熱中症に気をつけましょう。何かに夢中になるとつい無理をしてしまうことが、多くなりますので気温と体調のバランスを考えながら行動しましょう。

撮影の対象を見つけたときにはメインのモチーフに気を配りますが、周囲の写り込むものも作画上では大切な部分になります。光と影のバランスを考えることも主役への視線導入に大切な役目を果たしています。例えば光と影の見せ方の一つに『トンネル効果』があります。画面の周辺が暗く落ち込みその先が一部分明るくなってまるでトンネルの中から明るい出口が見えるような風景の場合には人の視線は明るい方向に注意が向けられるようになります。明るい部分に主役のモチーフを持っていくことで自然と見る人にそこに視線を導くことになります。丁度舞台上で真っ暗な中に主役にだけスポットライトを当てた時のような感じですね。自然の中でそのような光景を探し出すにはよく観察することが必要です。
また、データーの現像時に少し周辺を焼き込むような感じで暗くすることも視線を中心部に集中させる効果を感じさせます。

美しい風景を撮影する場合、一般的には晴天を選びます。曇天の風景ではなんとなく白い空の部分の画面が冴えない光景となり力強さも無くなります。白い空の部分がもし青空で白い雲がところどころ浮かんでいる様子と比べればそちらの風景がきっと素敵に感じるはずです。白い部分が多いと視線がどこを見れば良いのか迷ってしまいます。もちろん見せたい主役がはっきりとわかっていれば逆に背景の省略効果もできて『間』を表現することもできます。

このように視線を主役の方へ導くことを考えながら周辺が果たす役割を捉えるようにしていけば作者が何をどう見せたいかを第三者に伝えやすくなります。
夏にしかできない表現を上記のことを思い浮かべながら景色を見ていただけるといいかなぁと思っています。夏の夕景はゆっくりと時間をかけて見つめることができます。赤く焼けた積乱雲、海に沈む真っ赤な夕日、日が沈む直前の山肌の色や杉林の光景など楽しみはたくさんあると思います。この夏は一度限りです。自分の視線の先には何が見えるのか、ちょっとだけそれを意識して撮影を楽しんでください。

今月の一枚


木曽川の夕景夏姿です。夕立後に日が落ちる寸前に赤く焼けました。養老山脈に日が落ちる時、暗く落ち込んだ木曽川が一瞬明るく輝きます。午後7時前のちょっと遅めの時間です。季節により沈む位置が変わります。

木曽川左岸 愛西市から養老山脈望む


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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