文化講座
記憶色
プリンターの性能も近年とても良くなり自宅でのインクジェットプリントを楽しんでみえる方も多いのではないでしょうか。インクの種類も増えそれにともなって白黒のプリントも銀塩プリントの白黒に近い状態を味わえるようになりました。インクジェットのカラープリントも保存性が向上して益々楽しみが増えてきました。
写真はパソコンやカメラ等のモニターで見て楽しむ過程はまだ作業工程の途中の段階です。ペーパーにプリントアウトして初めてご自分の作品になったと言えるのではないでしょうか。このプリント出力でとても大切なことが今回のテーマである「記憶色」ということです。
デジタルカメラの設定の中で被写体の「色」を目で見えている色に合わせることが、重要なポイントであることはみなさんよく御存じのはずです。光の色温度に合わせてホワイトバランス設定を調整しています。更に微調整のカラー調整などを細かく設定していけばかなり正確な被写体の色に近づけることができます。問題はプリントアウトした時に撮影時の正確な色合いでプリントできたかどうかを確認するには、自分の目で見た頭の中の「記憶色」が必要になってきます。この記憶色が曖昧であれば撮影した時の色が正確に再現されませんから曖昧なプリントしかできなくなります。
カメラ→パソコン→プリンターと機械的にデーターは繋がっていきます。互いの機器が正しく設定してあれば入口から出口まで正確な「色」で出力されるはずです。ここで大切なことは撮影時の色のイメージを「記憶色」としてご自分がしっかりと捉えておかなければプリント時の出力色が曖昧になってしまうということです。
言い換えれば、撮影時にどのようなイメージ色で捉えてそれをプリント時にどう表現していくかを考えなければいけないと思います。でなければ機械的にカメラが捉えた色を機械的にプリントアウトしただけの写真に終わってしまいます。
銀塩フィルム時代は、自分のイメージに仕上がるようにいろいろなフィルムメーカーのフィルムをテストして、使うフィルムの種類を決めていました。デジタルカメラでは撮影時にモニターでその場でチェックできます。目の前の光景をどういうイメージ色で表現していくのかをしっかりと意識して撮影に臨む。そしてその時の「記憶色」「イメージ色」に仕上がるようにプリントすることが大切です。簡潔に言えばやはり被写体をよく見て観察する、仕上がりのイメージまで想像してみることだと思います。
例えば空の青といっても山の上で見る青と街中で見える青ではやはり空気の澄み具合などの影響で違ってきますよね。夕やけの色もその日の天候で赤みを帯びたり紫に近い色になったりといろいろな色のイメージ色に変化します。実際に見て感じる色の記憶を心の中に留めておくことが大切です。
外注のプリントでも同じように「記憶色」さえしっかりしていればいろいろと注文できるプリント依頼が可能ですよね。
「記憶色」はカメラの性能がよくなればなるほど大切になってくるキーワードだと筆者は考えています。正確な色と自分自身のイメージの色とのバランスをうまく使い分けていく表現が大切ですね。
筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
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