愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

気分と写真

梅は咲いたか、桜はまだかいな~ そんな歌が似合う今日このごろですね。
寒さも緩み花の咲く時期を楽しみに待っている方も多いのではないでしょうか。
春が近づくと気持ちも浮かれ気味になってなんだか楽しい毎日が送れそうな気分になってきます。自分のその日の気分が写真を明るくしたり沈んで暗い写真になったりすることもあります。今回はそんなお話をしていきましょう。

◇気持ち次第で写真が変わる

講座などでたくさんの写真を拝見していると毎回その方たちの今の気持ちがなんとなくわかってきます。あっ、この人は今少し気分が落ち込み気味かなとかあの人はとても今幸せの状態みたいだなとテーブルに並べられた写真を見て想像してしまいます。
よく絵画の世界でも子供の今の気持ちを絵から判断するアートセラピー的な見方があります。外国の戦争中の子供たちの絵からは暗く沈んだ苦しみの姿を感じるものがたくさん見られます。戦争のない幸せの国では逆に未来や希望を表した絵画が目立ちます。
その時おかれている状況の中で表現する作業(絵画、音楽、写真など)に気持ちが表れるのだと思います。
以前にお話しした「こころの適正露出」も気分次第で変わってきます。少し暗い気持ちの時は、露出補正もマイナス気味にかたむき楽しい時間の中で撮影している時は露出補正もプラス気味になっています。明るさだけでなく撮影する被写体選びにもその気分は表れているはずです。写真がその人の心の内を表現する手段だとわかります。その場を訪れた記録的な写真は別にして日常私たちが目にするものを表現に結び付けて撮影していくことでその一枚の中にその日の気分も閉じ込めてしまうと思います。外界(自分の周りに存在するもの)と自分の心の中を結び付けてくれるものがカメラです。

◇カメラを使って自己主張

私たちは楽しいことがあった時そのことを誰かに話したくなります。「こんなことがあって今とても幸せな気分なの」また、悲しみに打ちひしがれている時もそんな気持ちを親しい人に聞いてもらいたくなりますよね。写真を撮る時に選んだ被写体にその時の気持ちを込めてシャッターを押せばきっとその一枚にその想いも閉じ込められます。これらの行為は写真を使った自己主張だと思います。その一枚が時間の経過とともにシャッターを押した時の気持ちの記録へと変わっていきます。このように深く考えていけばいかにシャッターを切る瞬間が大切なひとときなのかが理解できると思います。意識を集中すればするほど時間の大切さを考えさせられますよね。

また、フォトセラピー的な見方をすれば一枚の写真をもとに自分はこれからどうすればいいのかも考えていくことができるはずです。撮影して選んだ一枚の写真とじっくり向き合えばこれからの新しい自分の方向性をも考えていくことができるでしょう。それには他人と同じ写真を撮れることをめざすのではなく目の前の風景と対話を楽しむ気持ちを大切にして写真生活を送っていくことが大切ですね。
撮影の基本技術さえしっかりと覚えてしまえばデジタルカメラは、プロ並みの写真が簡単に写せます。これから必要になってくることはそのカメラでいかに楽しく撮影していくかそしてなにを表現していくかが重要になってくる時代だと思います。私も教室で拝見させていただく写真はその人独自の観点が感じられる写真を見られることを楽しみにしています。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

デジタル写真の楽しみ方
このページの一番上へ