文化講座
被写界深度のこと
暑さもピークを過ぎ少しずつ秋の気配が感じられます。
自然の変化に敏感になれるのも写真のいいところですよね。
秋の撮影シーズンもすぐそこまでやってきています。
去年とちがったワンランク上の写真に挑戦していきましょう。
今回は 被写界深度 ということについて考えてみましょう。
被写界深度・・・ピントがあったようにみえる前後の範囲
正確なピント位置は被写体にあわせたほんの狭い一部ですが、その前後もシャープに見えるように写る範囲を被写界深度と呼んでいます。
この範囲が広がると画面全体がシャープな写真に見え、範囲が狭まると前ボケや背景ボケのある写真になります。
ではどうすればこんな写り具合を調節できるのでしょうか?
この大切な役目を担っているのがレンズの絞りなのですね、絞りの数値を変えることで被写界深度が変わってきます。
適正露出で撮影するためには絞りとシャッタースピードの組み合わせが必要です。
これはどの撮影モードでも同じようにカメラが働いてくれています。カメラのモニターやファインダー内にはその組み合わせが表示されます。組み合わせはひとつだけではなく何種類も変えながら撮影できます。(プログラムPでもダイヤルを回すと組み合わせが変化します)
このときに絞りFの数値に注意しながら何種類か絞り値を変えて撮影してみてください。写された写真をよく観察すると背景などのボケ具合(写り具合)に変化をみることができます。この絞りの数値をカメラまかせにせず意識的に変えることが、自分の好きな感じの写真に仕上げていくコツです。
絞りの数値が小さいほど被写界深度は浅くボケ具合も大きくなる。 絞りの数値が大きいほど被写界深度は深くなりシャープな写真にみえる。
◆被写界深度がもつクセとは?
この被写界深度には注意することがあります。
- レンズの焦点距離の違いによって同じ絞りの数値でも被写界深度が変化する
例:同じF5.6という絞り値でも焦点距離の長いレンズ(望遠系)は被写界深度が浅くなり焦点距離の短いレンズ(広角系)は深くなりやすい・・・ということは、広角系レンズほどはじめからシャープな仕上げで撮影しやすく望遠系ほどボケ効果の大きな写真になりやすい - 同じレンズでも撮影する被写体との距離が近くなるとボケ具合が大きくなる
遠くを撮影する場合被写界深度は深くみえる(シャープにみえる) - 被写界深度はピントを合わせた中心から前後均等には広がらない
◆被写界深度の広がり方
ピント位置から前側「1」に対して後ろ側「2」の割合で広がります。
奥行きの広がる撮影の場合、このことを意識してピント位置を選択しなければいけません。絞りの数値とピント位置の関係を理解しておきましょう。
この写真のように奥行を出す撮影のときどこにピント位置をきめるかを考えて撮影します。
手前に立てかけてあるヨシズぐらいの位置が最適と思われます。絞りの数値も大きくして絞りこんで撮影します。
このように写したい被写体にであったときにどう写せば自分のイメージに仕上がるのかをシャッターを押す前に考えて撮影することが大切ですね。慣れないうちは絞りの数値を変えて何種類か撮影しておきあとでじっくりとモニターなどで選択するのもいいと思います。また、焦点距離の違いで写り具合(ボケ具合)が変わる事も確認しておきましょう。
絞りの数値が何種類もあることがどうしてなのか?理解できましたでしょうか。
筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
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