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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

フレーミング

夏本番と言える季節です。子供たちの声も夏休みになりいっそう身近に聞こえてきます。夏の暑さを味方にして楽しむ気持ちで乗り切りたいですね。

写真にはフレーミングという、決して切り離せない決まり事があります。
レンズの画角や撮像素子のサイズなど、決められた枠の中に自分が見たものを収めて一枚の写真が仕上がります。目の前の光景の中から自分が魅力的だなと感じる部分を切り取ることが撮影作業となってきます。
撮影前に両手で四角いマスを作って目の前の風景を見たりしますよね。そのフレーミング作業をすることで何ミリのレンズを使えばイメージ通りの切り取りができるのかを考えます。今ではその役目がカメラの背景モニターに変わってきています。カメラの電源を入れて後ろ側のモニターを覗きながらズームレンズの画角を変えて、一番良いと思われる位置でシャッターを押していると思います。

いつも写真のことを考えていると、街を歩いていても素敵な光景に出会うと頭の中で自然とフレーミングをしていることがよくあります。カメラを持っていなくても目の前の光景を切り取っている自分がいませんか?写真を趣味にしている方の多くは少しずつこのパターンになっていくはずです。それこそ写真生活の醍醐味と言えるのではないでしょうか。
フィルム時代で育った方たち(筆者もそうです)は、撮影後のトリミングをしない切り取り方を教わっているはずです。35mmの小さなフィルムを使うのですから、後々大きくプリントするためには絶対ノートリミングという決まり事を守っていくことで、最終的に綺麗なプリントを作る事に繋がっていくわけです。
また、そのことでカメラのファインダーを四隅までしっかりと意識することができるようになります。余分なものが写っていないか緊張感を維持しながらシャッターを押していました。その当時の高級機種は、100%視野率のファインダーになっていました。今では当たり前のように100%視野ですが、当時は一般普及機では96~98%ぐらいが普通でした。現像するとファインダーで見えている以上にフィルムに写っていました。ですからプロと呼ばれる人たちのほとんどが100%視野率を搭載している最高機種を使っていたわけです。今では懐かしい思い出の一つですが、ファインダーを覗くときの癖はそのまま引き継いでいます。

緊張感を持ってファインダーを覗き、自分のイメージ通りのフレーミングに近づける。そのことはデジタル時代でも大切に残していく教えの一つだといつも肝に命じています。後でトリミングすれば良いやという気持ちで撮影すると、目の前の光景を見つめる視線がつい甘くなってしまいます。後でトリミングしない、絶対ノートリミングという気持ちで撮影したいものです。

今月の一枚

この写真は、奈良県宇陀郡曽爾村にある曽爾高原です。晩秋のススキの高原として有名な観光地です。夏の暑い時期にはあまり観光客はいませんが、ススキの緑が高原らしい雰囲気を感じさせます。丘に沿って遊歩道を歩きながらのフォト散歩も良いと思います。山の尾根まで登ると見下ろすようにこの高原の全体像を撮る事ができます。秋のススキの穂が実る頃にも訪れてみたい場所です。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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