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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

見直すことが教えてくれるもの

写真を撮るには最高の季節がまたやってきましたね。
花も新緑も目に鮮やかに飛び込んできます。カメラのシャッターを押す回数も多くなります。少しぐらいの小雨模様なら晴れた日と違ったしっとりとした写真も撮れます。当然、撮影枚数も増え、データーの処理や保存も増加していきますよね。いいなぁと思ってプリントした写真以外はハードディスクの肥しになっていませんか?フィルムの時代のように撮影時によく吟味しながら撮ることをしなくなりとりあえずたくさん撮っておき、その中から自分のお気に入りやプリントしやすいものをセレクトしていくことがデジタルの場合多くなってきています。コンデジ、デジ一眼レフなど種類にこだわらずとても簡単に綺麗に写すことができるようになってきました。そのぶんどれも消去しがたくなり「後でじっくりパソコンのモニターを見ながら考えよう」と撮影したデーターが溜まっていきます。

  

結局、ほとんど見直すこともなくただ記録的にパソコンの中に残っていることになってしまいます。まぁ部屋中かさばる本やプリント用紙やカメラ機材のように直接片づけなければいけないものではないので家族のクレームなどはありませんが・・・

今回はそんな今まで撮影した写真の見直しについてのお話です。

時間があるときに一度古いデーターをスライドショーの機能などを使って見直してみませんか?きっとその時のカメラを構えて写している時の自分の気持ちや状況がよみがえってくるはずです。構図や露出などにこだわった苦労やどうしてこのレンズで撮影したのだろうという疑問が湧いてくるかもしれません。それはきっと撮影者であるみなさんの技術が向上しているからいろいろな思いが出てくるのだと思います。
そのときいいなぁと思ってプリントしたもの以外に「おっ、こんなのがあった」と新鮮な写真が出てくるはずです。そして写真を見る眼が向上した自分をそこに見つけることができるでしょう。それはちょうど買ったまま積ん読く状態の本の山から見つけた面白い一冊を見つけた感動に近いかもしれません。「こんないい本が買ってあったのになぜいままで読まずにほかってあったのだろう」そんな感じに似ているかもしれません。
それはきっと技術的な向上ばかりではなくその素敵に思えた一枚の写真のなかに自分の「思い」を感じとれることができるようになってきているからでしょう。
このことがとても大切な写真的要素なのですね。「思い」を写真のなかに閉じ込める、それが自分らしさの表現につながっていきます。

  

過去に撮影した写真を見返すことでこれから撮影しようとする被写体への見方を教えてくれるはずです。この繰り返しを続けていくことが自分オリジナルの作風を生むことにつながっていくことでしょう。

  

記録から表現へ、こんなこともできるのが写真の面白さでもあります。どうか古い過去のデーター写真をそのままにせず、自分の宝箱を開ける気持ちでいま一度見直してみましょう。
そこにはきっと自分だけの「思い」が詰まった写真がたくさん出てくるはずです。
いまちょっと撮りかたなどに行き詰まりを感じていればなおさらこの方法を試してみてください。明日どう撮ろうかなと悩んでいる方もぜひお試しを。そこに新しい撮影のアイデアが隠されているはずです。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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