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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

シンプルに・・・

今年は夏の暑さを10月までひきずり、11月の急な冷え込みで今年の秋はとても短かったような気がします。気がつけば年末のカウントダウンが目の前に。日照時間も短くなり撮影予定も慌ただしくなりそうな毎日ですね。風邪などに注意しながら元気に写真を撮っていきましょう。

写真教室での講評や写真コンテストなどの審査会で拝見する写真を見て思うのは、その一枚で何を伝えたいのかが曖昧になっている写真はやはり上位にはなかなかいけないな、ということです。技術的にうまいなと感じても、ただ綺麗に写っているだけという写真では感動が伝わらないということですね。
構図でうまくまとめようと絵作りが先になってしまい、何を写したいのかが曖昧になってしまうのだと思います。あれも必要、ここも入れておこうなどと欲張ってしまいがちになることもあるでしょう。情報として見せるにはそれも一つの方法ですが、自分の感情を伝える方向ではなるだけシンプルに整理した方が伝えやすくなります。シンプルに撮ろうとすればセンスが必要になってきます。どれを残すといいのかを目の前の光景から選択していくセンスです。
何を残して何を捨てていけば伝えやすくなるのかを瞬時に選ぶ練習が必要になってきます。以前ここでお伝えした"断捨離的思考"(2019年6月号 参照)が役に立ってきます。

被写体は風景でも花でも日常のスナップでもかまいません。自分が見ている目の前の光景をなるべくシンプルに切り取る心がけで撮ってみてください。写真を撮る行為は自分自身ですが、プリントして発表する時点では第三者との共有物に変わっていきます。自分が伝えたいものとそれが第三者に伝わることがうまく一致するようにしたいものです。一枚の写真が言葉で語りかけるように感じる写真を撮りたいものですね。
シンプルでスタイリッシュな写真を最近よく見かけます。見た瞬間「カッコイイ」と見入ってしまう写真もたくさんあります。シンプルな構図でありながら写真的要素(光、構図、色のバランス等)がうまく計算されている写真は気持ちよく心に響きます。冬の樹木がたくさんの枯れ葉を落とし樹木自体の形を見せてくれる姿を見てシンプルも良いなぁと年度末に思った次第です。
来年も皆さんにお会いできることを楽しみにしています。良き年をお迎えくださいませ。

今月の一枚

夕景の伊勢湾を長秒露光で撮影しています。少し青味がかるように色温度を調整。長秒(30秒ぐらい)で撮影しているので波などは消えて平面的に見えます。画面に動かないものを主役にしてその効果を見せるのがポイントです。
この場所は、最近SNSなどでよく見かける人気スポットになっています。
-三重県鈴鹿市千代崎ビーチ付近-


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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