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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

先日のこと

この春は思いもよらないコロナウイルスで、大変な毎日を皆さん過ごしていらっしゃるのではないでしょうか?この記事が掲載される頃に終わっていれば嬉しいのですが。
ある意味、日々の予防(うがい・手洗いなど)の大切さを自然が教えてくれているのかもしれません。
人々の生活とは関係なく、季節は春に向かって動いています。
4月の代表とも言える桜もあちこちで心を癒してくれるように咲いています。カメラを片手にお出かけして心のリフレッシュもいいと思います。

3月の半ばごろ、梅の花と入れ替わるように咲き始めたミモザを撮ろうと公共の公園に出かけました。コロナウイルスの件もあり外出自粛などで空いていると思ったのですが、今を盛りに咲き誇るミモザの木々の下には大勢の人がいました。そのほとんどがカメラを持った若いお母さん方でした。被写体は、小さなお子さんや飼っている小型のワンちゃんです。お天気も良く黄色が鮮やかなミモザの花の下で、思い思いに撮影をしていました。
決してその場所が花の名所ではないのに、これだけの人だかりができるのかと少し驚きました。
近くで一生懸命子どもさんを撮影していたお母さんに聞いてみると「ここ一週間ほどこんな毎日ですよ」と教えてくれました。InstagramやFacebook、Twitterなどから情報を知り撮影に来てみえるようです。SNSの情報抜きではこれからの撮影には遅れをとる時代なんだと思い知らされた感じです。

デジタルカメラとインターネットの融合がInstagram、Facebookなどを介して知人、友人、そして会ったこともない人まで繋がりを作り、これまでの写真世界を大きく変えていく時代になってきました。SNSから有名になってきた若い写真家も出てきています。スタジオを持たなくてもアウトドアで撮影依頼を受けたり出張撮影を可能にすることも、もはや当たり前のことになってきています。
スマートフォンとインターネットが世の中を大きく変えたように、写真とSNSの融合が今『一億総カメラマン』という時代の世の中で新しい写真世界を作るようになってきています。スマートフォンで簡単に検索可能になり今日の情報をその日に活かせる便利さは手放すことができませんね。

ただ注意することもたくありますよね。写真映えを気にしすぎると、本当に自分が見たいものなのかどうかがわからなくなります。人が撮っているような同じ写真を撮らなければいけないと考えてしまいがちです。
先日のミモザの木の下では小道具に小さな椅子やテーブルを持ち込んで撮影している方も数名見かけました。もはやプロ並みのコーディネートで撮影しています。単なる記念写真ではなくファッション雑誌風の作品撮りのようでした。女子力満載の楽しみ方かもしれません。昭和のおじさんももっと新しいものを吸収して頑張らなくちゃいけない時代なんだなと感じました。
情報過多は便利ですが自分を見失うこともあります。せめて写真を撮るときぐらい自分流を意識して楽しみたいですね。
それにしてもこの日のミモザから溢れてくる日差しが眩しくてとても印象的でした。
コロナウイルスに負けずに、桜を撮りに出かけたい気分になりました。

今月の一枚

金沢21世紀美術館の『レアンドロのプール』でのスナップです。プールの下から上を見上げる感じで中に入ることができます。それを上から撮るとこのような不思議な感じの仕上がりになります。
写真映えする撮影ポイントで多くの人が冬でも訪れます。空の反射を抑えるために PLフィルターが必要です。この日は曇天でしたが、晴れた日にはまた違った印象の写真が撮れると思います。標準ズームレンズがあればいいでしょう。
プールの下に入るには入場券が必要です。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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