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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

絶景写真


最近よく見かける絶景写真。絶景ポイントなど絶景を謳い文句にした色々な写真や雑誌がありますよね。インターネット上でも観光地の案内パンフレットやSNS上の写真投稿などでも沢山見受けられます。有名な投稿サイトなどでは(いいね!)ボタンの数が数千にもなる写真があふれています。そんなサイトを覗いてみると確かに「ヘーすごいなぁ」と思う写真が沢山出てきます。
自分でも行けそうな身近な場所でもこんなふうに撮れるんだと感心するものもあります。季節を選び時間や光線が最高の状態になるようになんどもその場所を訪れて最高の状態で撮影していることがわかります。旅行のパンフレットにも"絶景"を主にしたコース展開のものが国内外を問わずあふれています。一度は訪れて見たい〇〇の地、と観光客の探究心を煽るように素晴らしい写真が掲載されています。しかし実際には年に数回のチャンスでしか巡り会えないであろうシャッターチャンスの場所も沢山あることを認識して出かけなければいけないと思います。
絶景写真=時間をかける+天が与えてくれた絶好のタイミング こう考えるのを我々カメラを持ったものは自覚する必要があると言えるでしょう。

日本の風景写真では上記のような絶景的なチャンスで撮影されたものが過去現在を問わず未だ主流になっている気がします。確かに見るものに感動を与える点では素晴らしいことだと思います。一生かけても縁がなければ出会えない風景かも知れないからです。環境問題を考えればこの先失われていく可能性もあり二度と撮影できない場所になることもあります。写真=記録性ということでは大切な部分でもあります。ただ注意しなければいけないのは、風景=絶景的な考えだけで撮る方向に学んでいくとそれ以外の写真がよく見えないように思えてくる点です。写真=表現として考えていけば絶景写真とは程遠いかも知れませんが、そこには作者の思いが込められた内容を読み取る楽しみがあると思います。そんな撮影方法を身につけた上で技術的にハイレベルな絶景風景にチャレンジしていってほしいと思います。

写真展が開かれている会場でもギャラリーごとに特徴があります。A・・・絶景風景主流の展示、B・・・表現として写された写真が主流、とA、Bがあった場合、Aが好きなグループの人たちがBの会場に訪れて展示を見て一言、わからん!絶景チャンスが一枚も写ってない!と会場を足早に去っていく光景をこれまでなんども見てきました。同じ写真を楽しむものとしてちょっと悲しく感じます。写真を技術的な部分だけで優劣をつけるのではなく写っている内容の本質を探る方向で見たいと思いませんか?

これから季節も黄色や赤が素敵に見える時期に向かいます。旅に出かけることも増えるでしょう、カメラを持って絶好のシャッターチャンスに出会ったら思い出してみてください。
絶景写真+α・・・自分の思いを込めましょう。

筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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