文化講座
画角と年齢
桜も咲き始め、ようやく春本番を感じる今日この頃です。
撮影できる花の種類もいっきに増えて花撮影には忙しい季節ですね。
写真の構図を決める時に大切な要素の一つにレンズの画角があります。
この画角は使用するレンズの焦点距離によって変わってきます。ズームレンズでは数字の小さい方が広角系に属し数字の大きい方が望遠系の画角になってきます。当たり前ですが広角側を使用すれば天地左右共に広く写すことができます。奥行き感も強くなり目で見ている以上に遠くのものが小さく写ります。
望遠側では目で見ている一部分を拡大して切り取ることができます。
このように自分がどこをどう見ているかをきっちり表現するためには画角というものを理解しなければカメラが目の前の風景をレンズの決められた焦点距離で切り取っただけの写真しかできません。自分の心の目で見た通りに写すには今見ている自分の画角を意識することが必要です。何ミリの焦点距離で見ているのかを考えて撮影しなければ思ったように写りません。今立っている位置から見ている被写体が入りすぎるからと単純にズーム機能を使うと気持ちと画角が一致しないのでイメージ通りに写らないわけです。
最近年齢と共に自分が見ている被写体とのイメージ的な距離感が標準レンズ的な画角になってきたような気がします。若い時のように何でも見てやろうという気迫が衰えてきたのかも知れません。また視力的にも遠くの小さな風景を注視することも弱くなってきて風景の一部分を切り取ることが億劫になってきました。言い換えれば超広角や超望遠で見える世界から少しずつ離れてきたようです。目の前の光景のあるがままに見える世界に惹かれているようです。標準ズーム(24~105mm程度)を付けてファインダーを覗けばほぼ自分のイメージ通りの世界が見えるような気がします。昔から(写真は標準レンズで始まり標準レンズで終わる)とよく言われてきました。その言葉が何となく理解できる年齢になったようです。そんなことないよと言われる皆さんは、まだまだ気持ちが若いかも知れませんね。
私は、単焦点50mmだけで撮影に出かけることも多く機材的にはとてもシンプルになっています。その分被写体をじっくり観察しながらどう撮ればいいのかを考える時間が増えてきました。また画角をうまく一致させるために自分が前後に動く運動量も多くなり健康面でも良いのではないかなと思います。
皆さんも一度お天気の良い日にカメラ一台レンズ一本だけで出かけてみることをお勧めします。今まで見落としていた世界が見つかるかも知れません。
筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
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