文化講座
「よく見る」って・・・?
ファインダーから見つめる
今年もあと少しで終わろうという時期になりました。年の瀬の慌ただしさに追われ撮影に出かける時間もゆっくりととれないかもしれませんね。ついついカメラから離れがちになりせっかく覚えた設定なども忘れてしまうことになる時期でもあります。
鞄にしまい込んでしまうとなおさらカメラに触れることから遠ざかってしまいます。
目の届くところに置いておきファインダーからたまにはわが家を覗いてみるのもいいかもしれませんね。
今回は、ファインダーから見える世界のお話です。
目の前に広がる風景からどこをどう切りとって一枚の写真に収めて仕上げるかが、いつも皆さん悩み込むようです。初心者の方ほどうまく写そうという意気込みが強く眼で見えている感じと写した写真のギャップにがっかりする光景をよく目にします。
この一番の違いはなにかというと人の眼はいつも両目で被写界深度を調節しながら目の前の風景を見て手前から奥まで見えるものを記憶の中でシャープに映像を作り上げて見ています。しかし一眼レフカメラの構造は、ピント位置と絞りの組み合わせで写り方が違ってきます。(絞り値と被写界深度の関係)
また、ファインダーから見えている状態は、レンズの開放値で見ていますからピントを合わせたところ以外は少しずつぼやけて見えます。片目を閉じて自分の手を見つめてそこに焦点を合わせると背景がなんとなくぼやけて見えますよね、そんな感じでものを見つめてみるとカメラの写り方が予測できると思います。
カメラの見え方と人の眼の見え方の違いを意識して撮影するのに単焦点レンズの50mmf1.4というレンズを試してみられるのもいいかもしれません。若い方がわりと好んで使っています。絞り開放値がf1.4と明るくピントを合わせた位置以外が大きくボケる効果がだせるレンズです。焦点距離も35mmフルサイズで換算すると人が普通にものを見る画角に近い標準レンズですから違和感なく普通に表現するのに適しています。ワイドレンズや望遠レンズのような誇張感は望めませんが、日常をありのまま写すのにはいいでしょう。構図をどう切りとれば自分の見せたい感じになるのかを勉強するためにはとてもいいレンズ画角だと思います。単焦点レンズですから入りすぎれば自分がものに近づかなければなりません。また、周辺をもう少し画面内に入れたければ後ろに下がらなければ写したいものがきちんと画面に入りません。
そんな不便を繰り返しして撮影していると被写体と構図の関係や画角と写り方の違い、絞りと写り方の関係などが自然に身についてくるはずです。ズームレンズの便利さとは違う写真撮影の面白さに気づかれると思います。
※APSサイズのカメラだと約75mmぐらいの画角になります
このレンズを使い込んでいくうちに「ものをよく見る」・・・被写体をどう感じてどう表現したいかを知らず知らずのうちに真剣に考えながら撮影する面白さを体験しているはずです。
余談ですが、筆者も年齢とともにものをありのままに写すことに興味をいだき、また軽くてコンパクトなこのレンズを愛用している今日このごろです。このレンズのお陰で若い人たちが写す写真にも共感と理解ができる楽しさも感じています。
筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/