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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

役割

春のさくらやチューリップの季節も終わり新緑が美しい季節になりました。気候もよくカメラ日和を楽しめる毎日がうれしいですね。

最近の初級教室でふと感じるのは、みなさんのデジタルカメラの高性能です。初心者向けに開発され販売されているものでもその写りは一昔前のハイエンドクラスのカメラの性能を持っています。フルオートで被写体にカメラを向けて撮影すればほとんど失敗なくきれいに写せるようにできています。高級機に至っては、フィルムカメラではかなり高度なテクニックを使わなければできなかった撮影もほとんど簡単に行えるようになりました。コンパクトデジタルカメラでも内蔵されているいろいろな機能で、流行の作家風の写真が撮影できます。


このようにいろいろな機能がついた今日のデジタルカメラの世界で写真を撮っていく中で撮影者は何をしっかりと学んでいかなければいけないのかを考える必要があると思います。
カメラの基本を学ぶ上で必要最小限に知っておくことは・・・

  1. レンズの焦点距離による写り方の違い
  2. 絞りとシャッタースピードの組み合わせによる写り方の変化
  3. シャッタースピードを手助けするISOについて知る
  4. 撮影距離によって写り方が変化することの意味
  5. 被写体とカメラの角度やカメラアングルによる変化

これだけの意味を理解しておけば初級クラスは卒業といえるでしょう。でもここまではカメラのことを知るための勉強です。理解していてもいざ外に出かけて撮影に入ると何を撮っていいのかわからなくなる方がみえるはずです。これはこの被写体をこう撮りなさいと教わることに慣れてしまうからだと思います。被写体を上手く撮影する技術だけを身につけることから始めてしまうために陥る欠点でもあるわけですね。撮影された一枚から自分の思っていたことが読み取れる写真かどうかを再度見直してみるといいでしょう。
写真=好奇心のコレクションと言い換えればわかりやすいかもしれません。自分が興味を抱いたものをカメラを通して表現に置き換えていく作業が楽しいから写真を続けていけるのではないでしょうか。それでも重い一眼レフデジタルカメラを持って出かけることが億劫になったときは、コンパクトデジタルカメラだけで撮影してみることをお勧めします。
とにかく気になったものにカメラを向けてシャッターを押していく。ズーム機能を使いながら構図を考えていく。小さなポケットに収まるカメラですからちょっとご近所散歩にも持っていく。たとえばスーパーへの帰り道きれいな光と影を見つけたら一枚撮っておく。
家族でレストランで食事をしている楽しい姿を写してみる。帰り道、路地を横切る猫にカメラを向けてみる。この繰り返しを続けていくことから写真を撮る意味が少しずつわかってくると思います。コンパクトカメラだから作品は撮れないと思いがちですが、小さいからこそ気軽に持ち歩けるとても便利な役割を担っています。絞り効果による大きなボケを望む写真にはちょっと不向きかもしれませんが、「日常すべてが写真の被写体である」ことを教えてくれるカメラだと思います。以前お話しした「自分への気づき」を見つける役割を持っているカメラだと思います。一度お試しくださいね。きっとそこから写真は面白いということを感じられるでしょう。そしてカメラを通して日常を観察している自分に気がつかれるはずです。記念写真の記録だけがコンパクトデジタルカメラの役割ではないということですね。

この4枚の写真は、50mmf1.4という単焦点レンズで撮影したものです

(今月の上手くなるポイント)
単焦点レンズの魅力を知る

焦点距離(画角)が一定で作られている単焦点レンズは、ズームレンズを普段お使いの方には不便なレンズだなぁという印象を持たれるかも知れません。しかし画角によって写真の写り方が変わることや被写体をどう表現すればいいのかを学ぶ上では、とてもいいレンズだと思います。単焦点レンズだとまずフレーミングをレンズに合わせて自分の立ち位置を考える習慣が身に付きます。ファインダーを覗きながらその四隅までしっかりと見て余分なものが写らないかを観察します。微妙な調整は自分が前後に動きながら構図を完成していきます。その繰り返しの中から画角にあった被写体を探すことができるようになるでしょう。絞り値による被写界深度の使い方も明確に決められるので仕上がり効果も想像して表現できるようになってくるでしょう。今日はこの単焦点レンズ一本で被写体を探すぞと決めることでズームレンズで撮影するときよりも多くの撮影枚数を撮っていることにきっと驚かれるはずです。慣れるまではちょっと不便を感じるかもしれませんが、一度お試しくださいね。フルサイズ画角で、28mm、35mm、50mmあたりが使い勝手がいいと思います。

筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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