愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

忘れてはいけない基本のこと

ゆっくりと春の気配を感じる今日この頃ですね、暖かい日はカメラといっしょにお出かけの機会も増えてきそうです。
今回は、デジタルの進歩でつい忘れがちなカメラの基本を振り返ってみたいと思います。
機能的な進化がとても速くなり今日初めてカメラをさわった方でもシャッターを押せばオート設定できれいな写真を撮ることができる時代になりました。
目の前の素敵な景色やシーンを簡単に写すことができますよね。
フィルム時代では特別な技法を身につけなければ写せないような写真もデジタルカメラではボタン一つ押すだけで簡単に写すことができるようになりました。
背景のぼかし具合もカメラのモニターを見ながらダイヤルで調整するカメラもあります。このように機能的にはいたれりつくせりの高機能カメラでもシャッターを押す本人が目の前にある被写体と対峙して自分はどう写したいのかをしっかりと考えて撮影するには忘れてはいけない写真の基本というものがあります。

レンズの特性を考える

広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズというふうに分けてみてみるとそれぞれのレンズにはいろいろな個性があります。その特徴を知っておけば旨く表現することに役立ちます。

広角系レンズは、見た目以上に広範囲の風景を写すことができます。
背景と手前の被写体との大きさの比率差が大きくなります。
被写界深度が、あまり絞り込まなくても深くなります。
少し遅めのシャッタースピードでもブレが目立ちにくくなります。
カメラアングルの少しの差でも歪み(ゆがみ)が目立ちます。
望遠系レンズは、目で見ている風景の一部分を切りとるように使います。
主役の被写体と背景との重なり効果が出やすくなります。
被写界深度が浅くなり背景をぼかしやすくなります。
シャッタースピードに注意しないとカメラブレが目立ちます。
標準系レンズは人の視線で見ている感じに一番近く見えありのままの感じに写すことができます。
レンズによる違和感のない写真撮影に向いています。

このようにレンズの持つ性格をよく知ることで表現の幅を広げることができますよね。
どう見せたいかを考えることでレンズ選択をする必要があることが解ります。

錆びた表面の部分にピントを合わせ、それ以外のところに視線がいかないように絞り値を考えて撮影しています。
【レンズの選択も望遠系で撮影】

絞りとシャッタースピードの性格を知る

フルオートやプログラムモードでカメラ任せの露出設定で撮影すればあと注意することは被写体の明るさに応じた露出補正をすることぐらいですね。撮影した画像を見ながら暗ければ+側に、明るすぎれば-側に補正をかけて再度撮影すれば適正な露出で撮影できます。でも写された写真をそこでよく確認してみてください。自分がみた感じのイメージ通りに写っているかどうかを。
これはボケ具合やシャープさなどの写り具合を確認することで撮影されたものがイメージ通りなのかを確認してみてください。カメラが設定する絞りとシャッタースピードの組み合わせがいつも自分の思いとあっているとはかぎりませんよね。絞りの違いは被写界深度の差を生み、シャッタースピードの違いは動きの表現効果の違いを生み出します。これらの関係を知って使えば自分の思い通りの写真を作り上げることができるようになります。

背景や手前のボケ効果を活かす絞り値を考えて撮影しています。
主役や見せたいものがどれなのかを撮影する前に考えてみることも大切なことです。

以上の事柄は、デジタル、銀塩などの違いにかかわらず写真撮影の技術的な基本の事柄です。ただ綺麗にピントが合ってシャープな画像で満足せずに自分が思ったように写っているのかを考えて撮影することがワンステップ上の写真を作ることになるでしょう。
写したい被写体にであったらまず、どう写せば自分の思った感じが出来上がるのかをシャッターを押す前に考えて撮影することを心がけてください。それを続けることで個性的な写真ができるようになるでしょう。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

デジタル写真の楽しみ方
このページの一番上へ