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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

文体のように・・・

11月初旬の急な冷え込みには少し驚きました。今月は冬らしくなるのでしょうか?気温の変化に注意して風邪などひかないように年末を過ごしたいですね。
寒い日ほど良い被写体に巡り会える機会も多いので防寒対策をしっかりして冬の撮影プランを立てましょう。

先日少し時間があったので以前から積読状態の文庫本から村上春樹の随筆紀行文を読み返していました。もう年齢的に目が疲れやすく長編小説は無理なので簡単に読めるものを時々開いています。写真家との旅行記なので写真も楽しめる本でした。彼らしいサラッとした今風の文体が好きです。
小説にはその作家独自の文体というものがあり皆さん本を選ぶときそれぞれ好みの文体に惹かれて好きな小説家のファンになっていると思います。
写真にも小説の文体のような人それぞれの個性が表れている作品は繰り返し何度も見るほどに面白く感じる部分が出てきます。そうすると次回に発表されるその作家の作品が楽しみになりますよね。私的には(文体系写真)と呼んでいます。言い換えれば写真の中に言葉が存在しているものをそう呼んでいます。
絶景写真が持て囃されている現在にもそれとは違った写真の楽しみ方が文体系写真には存在しています。Instagramなどの絶景写真ではパッと見が効果的で「おっ、すごいなぁ」という魅力的な写真も繰り返し同じ場所で撮られた他者の作品をみせられるとまたかぁ〜的な感じになります。もちろんそのときの撮影者の時間、距離などの努力はすごいと思うのですが、その内容的なものから感銘を受ける度合いがどんどん減っていく気がします。これはInstagram的落とし穴だと思います。

撮影者独自の文体を感じるように撮ることは難しい事と思いますが、どこどこのこれをこう撮らなくちゃいけないという拘りを捨てればちょっとずつ自分らしさの表現に近づいていくと思います。一枚一枚の作品を撮影していく時に自分が被写体にどう関わっていけばいいのかをシャッターを押す前に考えてみるといいかも知れません。綺麗な風景でもこう撮ればみんなに受けるだろう的に撮影するのではなく自分はどこに惹かれてシャッターを押したくなったのかを今一度一考すれば自分の(文体)が見えてくるのではないでしょうか。
歌でも小説でもそして写真でも自分らしい文体を持つことが本来の表現というものだと思っています。Instagramなどで本当の意味での「いいね!」を押してもらえるファンを作るには自分の文体を作っていくことが大切だなぁと年の瀬に思って書いてみました。自分への戒めとして・・・

今月の一枚

四日市の石油コンビナートの冬景色
空気の澄んだ快晴の日には背後に鈴鹿山脈をみることができます。豊かな自然と人が作り上げた工場群の面白さを撮ることができます
三重県四日市市塩浜・磯津海岸


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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