文化講座
色のこと
暑さも少しずつ柔らぎ始めたかなと朝夕に感じる今日この頃です。真夏の日差しも落とす影にやさしさを見つけることが出来ます。光の変化の観察には一番良い季節かも知れません。
写真を撮るとき目の前の事象の面白さに惹かれてシャッターを切るわけですが、その中に"色"の問題も含まれていることを忘れてはいけません。たとえば植物の緑がきれいだなぁと感じたとき、その緑をより魅力的に演出している周囲の色の影響が関係していることを考えてみるといいでしょう。それを意識することで構図の作り方が明確になってくると思います。周囲を多く入れすぎると主役の緑が目立たなくなり逆に緑を画面いっぱいにして切り取ると引き立て役がいなくなりただの緑の葉っぱが写っているだけになるでしょう。色のバランスを上手くとることで自分が見て感じている印象を伝えることが可能になります。
色にも自然が作り出す色と人工的に作られた人口色があります。自然の色は日々変化しながら季節に合わせて変わっていきます。人工的な色は、暮らしの中にあるサイン的な役割で見ることも多いですよね。赤いポスト、非常口の緑、横断歩道の白、信号機の色などとにかく一目で役割の存在を示してくれます。それらの色はくたびれて色落ちするけれど赤なら赤のままです。色により存在感や役割分担を主張しています。児童公園などをよく観察すると滑り台やブランコにつけられた色と周囲に生えている木々や植物の色とが分離して見えることが分かります。深い森などでは緑一色に覆われていてもしばらく観察しているといろいろな緑の多さに驚くはずです。綺麗な緑の人工芝の上で寛ぐよりも雑草に囲まれた緑の丘で心安らぐ感じがするのは、私だけでしょうか?
画面の構図を考えるとき、以上のようなことを少し意識すれば必要なものと不必要なもの(写真の画面から外すもの)を整理して撮ることが出来るでしょう。これは撮るときすべて人工物を排除するということではなく被写体をどう見せたいのかを意識することでどう処理すればよいのかを導くことが出来ます。たとえば被写体から受けた印象が、安らぎなのか、強烈な感じなのかを探っていけば画面に取り入れる色のバランスに注意がいきます。露出の明るさを調整するだけではなく被写体の色の影響も写真の仕上がりに関係していることを覚えておくといいでしょう。花を撮影するときもその花と背景になる部分の色合いを意識することで個性的な写真を作り出すことが出来るでしょう。
(今月の上手くなるポイント)
光の強弱を観察してみる
被写体に当たっている光をよく見てみると反射の具合(角度や物の反射率)で強く光ったり柔らかく光ったりと光の強弱があることが分かります。白黒画面に設定すれば白から黒までの割合が分かりやすくなり構図作りの参考になります。一度お試しください。
筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
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