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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

標準ズーム

また今年も梅雨の季節が近づいてきました。外での撮影が億劫になるかも知れませんが、雨が見せる美しい光景もたくさんあります。小雨のタイミングを見計らって出かけたいですね。急な増水などもあり天気予報をこまめにチェックしながら無理をしないで行動していきましょう。

写真を撮る人にはそれぞれの撮影スタイルがありそれに合わせてレンズの選択も色々変わってきます。広角系が好きな人、望遠系をよく使う人、単焦点の標準レンズだけで済ます人など自分が好む被写体によって使い分けているはずです。中でも標準ズームレンズはカメラを始められて購入する時のまず最初のレンズだと思います。

人が目の前の光景を自然に眺めるときの画角に合わせて24-100mm前後になるレンズです。画角にあまり癖がなく自然な姿で写せるのですが、初心者にはなぜかすぐに飽きられるレンズでもあります。ベテランの先輩カメラマンに50mmの単焦点が良いよと勧められ購入したもののすぐに使わなくなり次はやっぱり望遠レンズかなとカタログを集めているのではないでしょうか。

確かに一部分を切り取れる望遠レンズは普段の光景が特別なものに変わったかのように見え作品ぽく感じます。広角系も目で見えている以上に迫力感が出てやはり作品ぽく見えてくるのでそれらのレンズに憧れるのだと思います。

近くに寄れないスポーツ系、近づくと逃げてしまう鳥などの動物系、自然風景でも場所によっては入れない所から望遠系が必要なものもたくさんあります。

そのようにどうしても広角・望遠系が必要な被写体がご自分の撮影目的であれば購入をお勧めします。レンズの価格はF値の明るさによって変わってきます。F2.8など明るいレンズはとても高価になりますがその分背景のボケも綺麗にボケて動きの速いものや暗い箇所での撮影にはISO感度を高くしないで撮れるので仕上がりの綺麗な撮影に向いています。周辺の解像感も良いレンズです。

価格の違い=写り方の違いという法則があることを覚えておきましょう。

標準系はつまらないと思いがちですが、普段生活している日常をスナップするのにはとても便利な画角です。ありのままの姿を自然な感じで記録でき第三者にも伝わりやすい写真が撮れます。過去の有名な写真家の使用しているレンズも標準レンズ系で撮られたものが多いことに驚かれるはずです。使いこなせばいろいろな表現力が発揮できるレンズと言えるでしょう。

知り合いの鳥専(野鳥専門)のプロで400mmをメインに使っている人がいました。野鳥撮影ではちょっとまだ短いレンズ(鳥専では標準系に近い)なのですが、彼は鳥が小さく写るときはなんとか近づく事を考えます。鳥とのコミュニケーションが大事なので400mmで撮影できる距離感を大切にしているわけです。もっと望遠のレンズを使えば大きく簡単に撮れるのですが、そうすることで写っている意味合いや周囲の環境などの情報量が少なくなるのをおそらく嫌うのだと思います。

この様にただ画角の変化だけで簡単に望遠系に変えるのではなく被写体をどう見せたいのかをしっかりと考えてレンズを選びたいですね。

日常を捉える目になってくれる標準ズームレンズでも色々な表現ができるはずです。広角に見せる、望遠系に表現するなど色々な使い方が楽しめるレンズです。雨の日にレンズ交換をせずこの標準系の*24-105mmだけで被写体探しに出かけるのも面白いと思います。

*メーカにより20-70mm,24-70mm,24-105mm,24-120mmなど多少画角の違うレンズがあります。ここではこれらのレンズを標準ズームとしています。

*今回の掲載写真は全て24-105mmで撮影したものです。

今月の一枚

鶴舞公園の初夏の頃です。
青葉が綺麗な小さな森にいる様な中型規模の公園です。季節ごとに咲く花が訪れる人の目を楽しませてくれます。桜の名所でもありバラや紫陽花の咲く今頃も良いと思います。開園から110年以上も経った歴史ある公園です。
名古屋市昭和区鶴舞1丁目1


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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