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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

撮ること、見ること

年末になるといつも感じることがあります。時の速さです。えっ、もう今年も終わり?そして後悔しながら新しい年を迎える。みなさんは、いかがですか?充実した一年でしたでしょうか。今年一年撮影したデータを振り返るのも技術の上達に繋がるはずです。その時見落としていた写真の中から素敵に見える写真が見つかるかもしれません。寒くて出かける気がしない日にでも一度お試しくださいね。そしてA4サイズぐらいにプリントしてみると良いでしょう。小さなプリントでは気がつかなかったピントの甘さや微細なブレなどに気がつくかもしれません。撮像素子の高精度化により些細な失敗も目立つようになってきています。初心者の方がステップアップするための重要なポイントは、ブレとピントをよく確かめることです。この通過点をしっかりとしていくことが、より良い作品作りに繋がるでしょう。

カメラの性能が向上して、目の前の光景を自分が選択すればきれいに写ってくれる時代の中で写真を撮る意味をいろいろと考えてみました。撮影技術の部分は、ある程度カメラ自体の高機能を使いこなすことでカバーしてくれます。そうなると写っている写真が、本当に自分が撮りたかったものがきちんと表現されているのかどうか、カメラが記録として写したものだけなのかそのシーンごとにチェックしていく必要があるのではないかと思います。撮影時も映し出されたモニターの画面を見ながら何を写したいのかを考えるようにすればいいでしょう。このようなことを練習するには有名観光地に出かけるよりも近くの公園のほうがいいかもしれません。それは名所だとこう撮らなければいけないという枠型にはめられてしまうことが多いからです。近くの公園のベンチに腰掛け目の前の光景をじっくりと観察することから始めてみましょう。構図という枠もシャッターチャンスというタイミングもありません。ただベンチの目の前の光景から何を撮ればいいのかを考えるだけです。最初の頃には見えていなかったものが時間をかければ突然見えてくるかもしれません。いつまでたっても撮りたい感じが湧いてこなければ自分が撮りたいものがそこにはなかったと諦めて次の場所まで移動します。そんな面倒なことを繰り返すうちになんとなく自分が撮りたいスタイルが身についてくるはずです。そこで初めて光景を記録する写真から自分の見ているものを記録する写真に変わり始めるのです。確かに一般的な写真の撮り方とは違うかもしれませんが、作品作りとして自分の写真を目指す方は一度お試しくださいね。続けていくうちにある日、はっと気づくはずです。(写真ってなんだろう)と。

*今回の写真は、観光地の街中でその土地ならではの見え方で感じたものをスナップしています。こう撮らなければいけないというものはなく自分がいいな、面白いなと思ったものにカメラを向けた写真です。その場所を少し注意深く観察することから始めましょう。
 撮影地 滋賀県 長浜市黒壁スクエア近辺

寒い時期に入りますが、健康に注意して写真を楽しみましょう。来年もよろしくお願いいたします。

筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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