文化講座
試すということ
はや年の瀬になってしまった、あっという間に一年が過ぎてしまったという感じの今日この頃です。歳を重ねるごとに一年が短く感じるようになりますね。子供の頃の3倍ぐらいの速さで日々が過ぎ去っていく気がします。人生の経験値の積み重ねがそうさせるようですが、せめて写真の中に過ぎ去る記憶をたくさん留めておきたいですね。
フィルムで写真を学びそれで仕事をしてきて今の時代はデジタルに記録媒体を変えて日々カメラのシャッターを押しているわけですが、進化の速さの中で更に新しいことを学ぶ必要があります。自分の中で積み重ねてきた技術とデジタルの進化の過程で新しく表現を手助けしてくれるものを常に取り入れて試すことがこれからの写真表現には必要ですね。試すことを躊躇って今までの経験値の中だけで判断してシャッターを押すだけでは新しい表現は生まれづらいと思います。例えばですが、『日の丸構図』は単純すぎて構図上あまり歓迎されない撮影だと我々世代の写真教育では教えられてきましたよね。でも今ではその方法論と自分が表現したい内容によっては逆に強い意味を与える写し方にもなっています。これは『試す』学びをすることから生まれてきた方法論に繋がっています。写真教育から受けたものだけで満足せず色々試してみることから得られる学びこそこれからの写真世界では大切なポイントだと思います。
ひとつ注意するデジタルでの撮影でこんな例がありました。(子供さんを椅子に座らせ逆光でポートレート撮影、当然背景は白飛び気味、そして質問が画像修正で背景を少し見えるようにしたいがどうすればいいか?)・・・
SNSのThreadsで見かけた問い合わせでした。作例も載せてこの状態から修正をどうすれば良いのかという質問でした。まず撮影時に必要な撮像素子のラチチュードと目で見える明るさの差が理解できずそのまま撮影してしまったようです。デジタルだから後で修正をすればいいやという感覚で撮影されたようです。フィルム時代この状況で撮影するならクリップオンストロボやレフ板起こしで前後のバランスをとることを学んでからこの状況で撮影したと思います。
現像ソフトで細かく触って修正可能かも知れませんが、撮影時の準備も大切なことだと改めて感じた次第です。カメラを持てばフォトグラファーと名乗れる今の時代ですが、やはり撮影の基本だけはしっかりと学んでほしいなぁと思います。教育という縛りから離れて『試して学ぶ』時代が今の写真の学び方かも知れません。ただそこには写真の基本があってこそだと思います。
デジタルになったからこそできる可能性を若い世代の人たちは試してほしいと年の瀬にちょっぴり考えていました。
今月の一枚
秋から冬によく行く伊良湖方面の太平洋を望む海岸線です。
打ち寄せる波を長秒露光で撮影激しい波も静かな波に感じられます
超スローシャッターのマジックです
愛知県豊橋市
筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/