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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

ゆらぎ

本格的な夏に向かっていますね。感染症予防をしっかり行い熱中症対策もしながらの撮影機会が増えますが今年も暑さに負けずに頑張りましょう。
この季節、少し遠くまで出かける機会も増えてくるのではないでしょうか。日照時間も長くなりそれに連れて一日の撮影時間も増えてくると思います。自分の体力と相談しながら無理のない撮影を楽しみたいですね。

みなさん風景を撮影する場合は構図や光の当たり具合、そしてシャープに写すことに注意して最高の状態に近づけるようにしていると思います。大きなプリントサイズにも耐えられるように三脚使用が普通です。画面の端から端まで余分なものが写らないように慎重にファインダー(モニター)を確認します。そうして撮られた写真は安心して拝見できますよね。時間帯や光線状況がうまく合えば見ていてこんな状況下でその風景を見てみたいという共感性が生まれます。
三脚をがっちり固定して目の前の光景と対峙している楽しさも感じることでしょう。私もそんな雰囲気を味わいたい時は、やはり大きな三脚を持参してじっくりと撮影します。ある時こんなことがありました。その時も三脚を使用して海の長時間露光を撮影していました。撮影が終わり道具を片付け始めた頃ふと遠くの波間に目を向けると親子が波と戯れる姿が見えました。逆光気味の光の中で何かとても印象的に感じたので急いでカメラを手持ちで構えて一枚シャッターを切りました。あとで気がついたのですがその時濃いめのNDフィルターをつけたままでした。多分1/2か1/4ぐらいのシャッタースピードで写した感触でした。あーブレてるなと感じて急いでフィルターを外して再度挑戦してみました(*NDフィルター・・・レンズに入る光量を調整するためのもの)。
帰宅後、パソコンにデーターを取り込みその時の2枚をチェックしてみたらなぜかブレた写真がとてもよく感じその時のその場所の雰囲気を伝えている気がしたのです(下の写真)。

通常では「ブレ」「ピントの甘さ」は写真では失敗の範疇に入ります。よくない写真の要チェック項目ですよね。しかし写真の見方を(揺らぎ)という方向でその写真を見てみるとそのテーマに沿ったものに見えてきます。心象的なテーマで撮影していく時はブレも効果的テクニックの一つになってきます。この時は事前チェックの手抜きによる失敗から撮れた一枚ですが、(揺らぎ)という言葉のテーマで撮影していけばブレを活かした新しい風景が見えてくるはずです。
風景はこう撮るのが当たり前だという固定観念をちょっと外すと面白い世界が広がり始めます。たくさんの失敗写真をすぐモニターから消去する前にどうしてこうなったのか、それをどう活かせば面白い写真になるのかを考えてみるのも良いのではないでしょうか。

今月の一枚

愛知県半田市の知多半島最大の河川である十ヶ川の河口部分につくられた運河。
江戸時代からの酒や酢の醸造で繁栄しました。原料の搬入や酒や酢の搬出に利用された運河です。今では綺麗に整備されていますが当時の面影も感じられる場所として写真スポットに良い場所です。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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