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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

ピントと絞りとストーリー

いよいよ春本番の季節ですね、今年の桜は早めに開花を迎えましたね。
季節ものの撮影は待ったがききません。被写体に自分の行動スタイルを合わせて撮影スケジュールを組みましょう。桜も北上に合わせて撮影場所を選択していけば今月いっぱい楽しめるでしょう。

一枚の写真を撮るとき、何かを感じてシャッターを押しその一枚を誰かに見せて感動を分かち合おうとして写真を撮るわけです。このことは写真行為で大切な基本ですから何度も今までお話の中に出てきていると思います。何かに感動している自分、その一瞬の場面を借りて自分なりのストーリー(物語)を重ね合わせて見ているのではないでしょうか。人によっては音楽の一部が聞こえているかもしれません。また自分が読んだ小説の印象的な場面を重ね合わせているかもしれませんね。頭の中で膨らんだイメージと切り取った一枚が思ったとおりに仕上がっていればいいわけですが、何か違うと感じた場合の原因を探ってみましょう。

人は目の前の光景を三次元(立体)の世界で見ています。写真で撮るときはそれを二次元の世界(平面)に置き換えて表現しようとしています。写真ではレンズがもっている効果をうまく利用したり光の状況を読み取って立体的な表現に組み立てていかなければなりません。また感情移入のために絞りの効果(被写界深度)を生かしたり露出補正で明るさを調節してその時の気持ちを表さなければなりません。
切り取る行為=フレーミングもその場のストーリーを感じとれる部分で切り取らなければ見せたいものが曖昧なものになってしまいます。ストーリーの主役になる部分にしっかりとピントを合わせて見る人(観客)を引きこませなければなりません。主役と背景のかかわり方によって絞り値を考えてやらないとその場のストーリーが曖昧になってしまうでしょう。


上の2点は、桜=和という共通点を設定して景色を見ています。
数枚で見せていく場合各々の写真に何か共通する意識で見つめていくと撮影のとき
素材探しがしやすくなるでしょう。

このように目の前の光景をどう写したらよいのかはっきりわからないときは、その場面にどのようなストーリーを作り上げれば第三者に伝わるのかを考えて露出補正や絞り値の設定、そしてピント位置などを決める方法もいいのではないでしょうか。

*被写界深度を優先的に撮影するときは、絞り優先モードが便利です


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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