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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

ポートフォリオを作る

梅に始まり桜に続く花の開花が例年以上に早いようですね。温暖化が目に見えない形で深刻化していることを花たちが教えてくれているようです。昨年以上の大型化した台風が来ないかも心配です。

毎年たくさんの写真を撮られている方たちは、カメラの画素数が大きくなり外付けのハードディスクもすぐいっぱいになってしまうのではないでしょうか。ほとんど撮影時にチェックする程度で、お気に入りの写真をプリントして他はハードディスクにしまい込んだまま日の目を見ない写真が多く残っていませんか?
そんな写真データを時々見直すことも、ある意味上達への近道だと思います。
写真を撮る行為は、【見る(観察する)→撮る→見直して考える】の繰り返しで自分の作品になっていきます。それらから選ばれた写真をプリントすることで、初めて自分の作品が一枚完成していきます。ここでプリントしたものを写真専用のブック形式のクリアファイルに入れて保存してみてはどうでしょうか。プリント枚数が多く段ボールの箱にしまい込んでしまうことが多々あるのではないでしょうか。せっかく撮影時に苦労して悩んで撮ったものをハードディスクや段ボールの箱の中にしまい込んでいるだけではもったいない気がします。

まずはお気に入りの一枚をたくさん集めることから始めてみれば良いと思います。ブック形式で整理していけばいつでも見直すことが容易になります。他人にもワンランク上のスタイルで見てもらえるはずです。見せるという意識が働きますから、プリント作業も写真のセレクトもより慎重になってくるでしょう。その繰り返しが撮影にも反映されてくるはずです。
そのブックがたまってくると、今度は一つのテーマに沿って一冊作ってみます。例えば単に自然風景を撮ったものを集めてみるということから、さらに光を意識して撮ったものだけをセレクトしてブックを作ってみる形にアレンジするわけです。スナップ写真でも人物ポートレートでも、自分が好きなジャンルでやってみましょう。作品だからと難しく考えないで一つのテーマ性を持たせて整理していけば良いと思います。この繰り返しを行うことできっと自分が撮りたい方向性が明確になってくるはずです。

また写真ギャラリーなどで作品展を見ているときに、ただ上手に写しているなぁと思うだけで見ていたものが、この作家は何を見せたいのかを考えてその写真を見ていくようになっていくでしょう。写真を読む面白さに繋がっていくようになるでしょう。
ブック形式であれば何度も入れ替えが可能です。隣の写真との関連性も意識できるようになってきます。組み写真的な写真スタイルの面白さが理解できるようになってきます。また他人に写真を見せることの楽しさにも繋がってきます。その頃にはご自分の「ポートフォリオ」と呼べる立派なブックができているのではないでしょうか。
是非一度挑戦してみてください。個展を開く初めの一歩です。

今月の一枚

奥三河の山間部は春の訪れも少し遅れ気味ですが、その分花も一気に咲き始めます。
黄色の三又の花と枝垂れ梅の競演です。
管理された個人の畑で育てられたきれいな花たちが咲いていました。
望遠レンズで少し後ろに下がって撮影。後ろの山並みが少し見える位置を意識しています。
(2019.3.5 撮影)


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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