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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

季語からイメージ

厳しい寒さも日ごとに緩み、春への序章を感じる梅や菜の花が咲き始めました。寒くてお出かけを控えていた人もやっと出かけるタイミングが来たとカメラ機材の準備を始めているのではないでしょうか。

日本では四季を感じてそれをテーマに写真の題材にしている人もたくさん見えるだろうと思います。列島が南北に長いので気温の変化による自然の移ろいを目で見ることができ楽しめます。
俳句では『季語』を使ってその季節を表す大事なキーワードがあります。この『季語』を集めたものが『歳時記』になります。季語は約8000個ほどあるらしいです。歳時記を辞書がわりに俳句を詠んでいくわけですが、写真でもこの『季語』を意識して風景を見ることで目の前の光景がより深く味わいを増すのではないでしょうか。近年では写真と俳句を組み合わせて展示を楽しむグループもたくさん見受けられます。それだけ目の前の光景と対峙する関係が似ているのだと思います。日ごと移り変わっていく自然の光景を眺めながら自分が感じたものを抽出する作業を楽しむ。ただ美しい光景を見に出かけるだけでなく歳時記の中のどの季語を意識して自分は見ているのかを考えるのも面白いのではないでしょうか。

日本の四季をさらに六季節に分けてみるとより繊細な表現になると思います。 春、初夏、夏、初秋、秋、冬そしてその中に含まれる季語、考えるだけで頭の中に撮影する楽しみが広がっていきます。梅から桜へ撮る題材も変わりますが、足元を見れば片栗やニリンソウなどそして山中に入っていけば樹林の中に黄色いミツマタの花が咲き誇っていることも歳時記を見るとわかります。春から初夏の花咲く季節をより深く写真にするために春のスタート前に季語を探してみませんか?
季語を考えれば考えるだけ写真のイメージが広がっていくはずです。

今月の一枚


滋賀県の多賀町の山中に咲くミツマタの花の群生です。杉林の間を覆い隠すように咲きます。普段この林道も閉鎖されて関係者以外入山できないのですが、この花が満開時期だけ開放されて見ることができます。

滋賀県犬上郡多賀町佐目


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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