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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

記録と記憶

去年もこの時期に暑さのピークだ、どこか涼しいところへ行きたいと思っていましたが、今年はさらに暑く感じる毎日です。みなさんも熱中症に注意を払って撮影にお出かけください。炎天下での撮影は命がけのような気持ちを忘れないでくださいね。夜明け前や日が落ちた夕景、夜景にテーマを絞って日中は休息というのもいいかもしれません。

今回はカメラや写真の不思議を考えてみました。当たり前のことですがカメラ機器には人が感じる思いのような感情はありません。デジタルカメラは目の前の光景を撮影者の操作に従って設定どおりにデーターをSDカードなどに保存してくれるだけです。そしてその光景を切り取った瞬間に記録という写真データーになります。
時間の経過とともにその一枚のデーターは撮影者の大切な思い出に変わっていきます。記録が記憶の一部と共鳴していきます。
最近では大きな災害の跡地などから流出したアルバムを一枚一枚綺麗に水洗いして所有者の元に届けられる光景を目にすることもあります。壊れたパソコンやハードディスクなどはそのまま不燃物行きですが、アルバム写真はやはり大切に扱われている光景が印象的です。ここにもデジタルデーターと紙焼きプリントの将来性を考えていくヒントがあると思います。

写真を趣味とする人々には単なる記録性だけではなく第三者(写真を鑑賞する方達)に見てもらって作者の表現するものを共有する楽しみがあります。
鑑賞者がその写真を見ていいなぁという共感を抱いてもらうことで初めて作品的な価値が生まれてきます。そうでなければその写真は、作者自身の思い出の一枚に留まってしまいます。
作品を創る思いでシャッターを押すのであればやはり自分の言葉に置き換えるつもりで被写体を観察する必要があります。記録ではなく自分の思いを被写体に被せていくようにしなければ第三者には写真の意味を伝えることができません。良い作品には作者が持てる限りの労力を注いでいるのがわかります。
光が像を作り出す写真の面白さに自分の思いを重ねるように作品作りを楽しんでみましょう。

今月の一枚

夏の花の代表でもあるハスの花
その背景の雲がハスの花びらに重なり面白く感じてシャッターを切りました。構図的にはシンプルになるように背景は空のみです。逆光で手前側が黒く落ち込むので弱くスピードライト(ストロボ)を光らせています。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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