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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

偏光フィルターのこと

カメラの取り扱いにも少しずつ慣れ、いろいろな被写体に挑戦されていることだと思います。風景や花の群生を撮影するにもいい時期ですよね。
そんなとき写真を撮ってみえる先輩から(PLフィルター)を使うと仕上がりに差がでるよと勧められることはないでしょうか。

PLフィルターとは偏光フィルターのことです。
物体の表面反射(映りこみ)をこのフィルターをレンズの前に着けることで除去することができます。水面、ガラスなどの余分な表面反射を取り除くことでクリアーな写真に仕上がるわけです。

ただ初めて購入したかたの中にはレンズの前にただ付ければ役割を果たしてくれるものだと思っている方も多く見かけます。他のフィルター等とちがってフィルターのリングを回転させて効果を確かめなければ役割を果たさないことを知ってくださいね。上手に使うと今までの写真と違った雰囲気になる効果を今回は解説していきましょう。

上の左側の写真がPLフィルターを付けて撮影したものです。
右の写真は、付けずにそのまま撮影しています。
睡蓮の葉の表面の反射や水面の空の映りこみが除去されて葉っぱ本来の緑色が左の写真では出ていますよね。よく見ると葉の上の水滴に映る反射も除去されているので水滴の感じは弱くなっています。
この場合は、効果を確かめるために一番効果が効いているように回転しています。ある意味効かせ過ぎかもしれませんね。
回転しながらこれぐらいがいいだろうと確認すると好みの写り具合になるでしょう。 回転をどこで止めるかが効果のポイントになります。

使用するときの注意点!
PLフィルターを使用すると1~2段分シャッター速度が遅くなります。その分、手ぶれ(カメラブレ)がおきやすくなるので注意してください。

購入時の注意点!
偏光フィルターは、普通の偏光フィルターと円偏光フィルターと呼ばれてるものとの2種類があります。完全マニュアル式のカメラであれば普通の偏光フィルターでかまいません。しかし、デジタルカメラやAFカメラには 円偏光(CPL)フィルターがお勧めです。価格が安いからと普通の偏光フィルターを購入してオート露出やフォーカスが効かなかった失敗をよく聞きます。販売店で確認してくださいね。

水面に映った空の反射を除去することで水面下までクリアーに写ります。画面の濃度も落ち着いた感じに左の写真は仕上がりました(CPL使用)

別の効果も・・・
空の青さを強調することもできます。この場合、順光で撮影すると効果が大きくなります。白い雲もくっきりと写るでしょう。

広角レンズに使用する場合、フィルターの厚みによる周辺のケラレが発生することもあります。最近は、薄型の品も販売されていますので購入時にチェックできます。また、このフィルターは経年変化がでやすいので古くなると色かぶりがでることも知っておいてくださいね。


 
池で泳ぐ鯉を水面の反射を取り除いてはっきりと写すことができました。常用レンズに合わせた口径のものをカメラバッグにいつも入れておくといいでしょう。

このように効果的な作品づくりに欠かせないフィルターです。
ただ、慣れないとその効果を確認しづらいかもしれません。
フィルターの回転角度を変えて数カット撮影してみてカメラのモニターやパソコンのモニターで見比べてみるといいでしょう。
光線の方向によっては、効果がないときもあります。
約2段分光量が落ちますからその分手ぶれや被写界深度が浅くなることを十分認識しながら使うようにしてくださいね。

新緑や紅葉の葉をクリアーに撮影するときには、あると便利なフィルターです。
また、渓流などの撮影にも効果的に使えるでしょう。
逆に水面がキラキラと輝いているときは、使わないほうがいいでしょう。
せっかくの輝きが抑えられて弱い印象の写真になってしまいます。

このように撮影意図によって使い分けをするフィルターだと覚えておいてくださいね。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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