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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

時間

暑い夏も知らぬ間に終わり彩り鮮やかな季節に向かって進行中です。秋を真っ先に感じたければ標高の高い山などに出かけるのが一番ですね。うまくいけば少し早めの秋を満喫できるかも知れません。

24時間×その人が生きれる日数=人生をどう過ごしているかの記録

例えば85歳を基準にして計算してみるといかに残り短いものだなと考えてしまいます。その多くは睡眠、労働に費やされ自分本来が楽しめる時間は全体の1/3ほどになってしまいます。こんなことを考えると後どれだけ旅ができるのか、どれだけ美味しいものやきれいな場所に巡り会えるのかなと考えてしまいますよね。平和な日本に生まれてきたことに感謝しながら残り時間を自分のために有効活用したいですね。

時間のことを写真に重ねて考えてみるといろいろなつながりが見えてきます。

写すことに必要なカメラのシャッタースピードということを考えてみるとシャッタースピードによって表現が大きく変わってきます。動くものをどう捉えて表現するかによってシャッタースピードを選択します。決定的瞬間を写すことに長けていた(アンリ・カルティエ・ブレッソン)のように動きの瞬間のピークを表現した写真ではコンマ何秒を写す集中力が必要です。それ以前の動きの予測、瞬間的に構図を決めるセンスなども必要になってきます。

スローシャッターでは人の目では感じられない美しい景色を写し止めることも可能です。街中の雑踏も、激しい荒波の海もスローシャッターによって静けさを感じられる一枚に変わります。


*湖岸に打ち寄せる波をスローシャッターに設定(30秒)にして撮影
波の形は消え静かな湖面に変わります。
人の目では見えないカメラの力ですね
琵琶湖にて


時間の長さの基準をどう扱うかによって作者の表現する方向性が見えてきます。

明るさを絞り値(f値)との兼ね合いで調節する役目以外で考える大切な要素だと言えます。時間は戻らないものですからカメラを手にしたらいつも緊張感を持って目の前の光景に対峙したいものです。

長い時間軸の上で写真を見ればその瞬間で捉えた一枚も時間が経てばその時代の『記録』の写真に変身します。そして撮影した本人にとっては『記憶』を見ている写真に変わるはずです。シャッタースピードで表現が変わるように長い時間軸でも写した内容に変化が起きる写真の面白さを残された自分の時間の中でより深く楽しんでいきたいと思います。

今月の一枚


今では観光客が途切れることがないほど有名になったメタセコイア並木道に数本の彼岸花が色を添えていました。気持ち良い空気と白い雲が小さな赤の存在感を強調していました
* 滋賀県高島市マキノ


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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