文化講座
思いを伝える
寒かった冬からようやく抜け出してわくわくする季節になってきましたね。
外に出れば花々のカラフルな装いを楽しみながら暖かな光に包まれる幸せを感じているのではないでしょうか。新しいスタートには一番良い時期だと思います。
そんな中で写真を撮ってみようかなと新しいカメラを購入され各地の写真教室に入会される方もこの時期が一番多くなる頃です。
前回、撮影した写真を見直すことによってその一枚から新しい発見を作品作りに活かしていくことをお話ししました。これから写真を始めようとされている方も含めて写真を撮ることで自分が何をしたいのか(残しておきたいのか)を考えていくことはとても大切なことだと思います。それは現場での簡単な記念写真でも時が経てば単なる思い出だけが写っているだけではなくその時代の記録が含まれていくわけです。その時のファッションや背景に写っているものなど時にはとても大切な記録性に変化することもあります。時間が経てば経つほどその意味合いは強くなってくるのが写真の面白いところでもあります。
このようなことをちょっと意識するだけで構図をしっかりと考えて背景を注意深く見ながら写真撮影をすることに繋がっていくのではないでしょうか。写真を見てくれる第三者(鑑賞者)をいつも意識することで伝えたい思いを写真の中にどう盛り込んでいけばいいのかを考えていけばいいのだと思います。
次から次に発売される新製品を見ることは楽しいですが、それに振り回されるとちょっと考えものですね。最近の教室でのことですが、いろいろな機材をそろえてみえる方が、「写真って高い機材をそろえれば上手く写ってくれるものじゃないことがよく分かってきました」「自分がなにをどう写したいか、その一枚にどう思いを込めたいのかを考えることがまず先なのだというふうになってきました」・・・
とてもうれしいお言葉でした。たしかにカメラの性能を比べるだけなら金額が高いほど高解像度や高速連写性能は良くなります。扱う便利な機能も向上したものになります。しかしそれと自分が伝えたい思いとは必ずしも一致しないといえるでしょう。フィルム時代に例えればフィルムサイズが小さいものより大きなフィルムサイズの写真が優れているのは大きく引き伸ばした時の粒状性の差であって写っているものの内容とは関係ないということですね。
小型の35mmカメラの利便性を活かして写された優れた作品がたくさんあります。
思いを伝えることがまず先にあってこそカメラを選択する楽しみに繋がるのではないでしょうか。高いカメラを持てば優れた写真が撮れるとは限らないことを肝に銘じておきましょう。それよりもどんな写真を撮りたいのか、何を伝えたいのかをしっかりと考えていきましょう。
(今月の上手くなるポイント)
ズームレンズの上手な使い方
* 撮りたい被写体を見つけた時ファインダーをすぐに覗いてそのままズームレンズのヘリコイドを回して構図を決めていませんか?
これは一見便利なズームの使い方に見えますが、あまり良い使い方とはいえません。
なぜならズームをすることでレンズの焦点距離(画角)を変えているわけですから自分の写したいイメージとの違いが出ることもあります。撮影する前(ファインダーを覗く前)に被写体を広角的に表現したいのか望遠的に表現したいのかを考えてそれにあったおおよその距離まで自分が前後に動いて決めるようにしたいですね。
単焦点のレンズであれば必ず自分が動いて構図を決めていかなければ上手く収まりませんよね。ズームレンズは一本のレンズの中にたくさんの焦点距離が収まっているレンズだと考えて単焦点レンズを使うつもりで撮影していきましょう。
筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/