文化講座
光を見つめる

長く続いた暑さもようやく峠を越したかなと思える気がします。毎年最高気温を更新しているのが少し心配な今日この頃です。昭和の夏を懐かしく思うことも多々あります。子供の頃には扇風機だけが涼を感じる電化製品でした。田圃や林の近くを歩けば涼しく過ごす事ができたような気がします。今ではエアコンなしでは過ごせない日々です。次世代の温暖化対策が心配ですね。

写真は光がなくては写せない媒体です。わずかな光でもあれば高性能なデジタル機能で写すことも可能ですが全く光が無ければ写りません。太陽の偉大な恩恵を受けてはじめて美の世界が成立する世界です。日が昇るたびに今日も素敵な世界を見せてくれる事に感謝しています。写真家にとって光は『美を生み出す』最大の道具だと思います。そこに季節の変化や気象状況が加わり美しい風景を次々と我々に見せてくれるから撮れるのですよね。一般的には日の出直後からが風景写真のスタートだと思って見える方が多いと思います。でもそれより前の1時間、いや2時間ほど前にも素敵に見える光があるんです。
人の眼ではまだ薄暗くぼんやりとしか目の前の光景が確認できない夜明け前の状況でも天空からの光が地上に注ぎ始めています。三脚を使用してカメラの設定を適正値で撮れるようにしてやれば眼では確認できない美しい風景が撮れると思います。人工光がないような山や森などがいいでしょう。また逆に暗闇に少し人工光が入ってくるところを取り入れて作画するのも面白いかもしれません。

要は普段撮れないだろうという世界(フィルムでは感光しない世界)をデジタルカメラで新しい表現として探ってみようというお勧めです。絞りによる『ボケ表現』やシャッタスピードによる『超高速写真、超スロー写真』などは定番化してきました。光と色が分離して見える時間帯を狙ってみる暗闇写真に挑戦してみてはいかがでしょうか。秋の夜に聞こえる虫の声がピタッと止む時間帯が撮影の合図です。今まで気にしなかった気配が写るかもしれないですよ。朝が辛ければ日の入りから1時間ほどした時間帯で試してみるのも面白いと思います。是非挑戦して新しい表現世界を見せてください。
今月の一枚
三重県の北西部に位置する藤原地区の蕎麦畑の写真です。山間部の里山に最近多くみられる風景です。近くには『赤蕎麦』も栽培している地区もあり秋の風景として楽しめます。
筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/