文化講座
確定拠出年金(DC)の企業型拠出限度額の引上げ
リタイア後の収入の大部分が公的年金という人も多いのではないでしょうか?
最近では公的年金だけでは不安だという方も多く、確定拠出年金やNISAなどで老後資金の準備をしている人も増えてきました。
確定拠出年金(DC)の企業型の拠出限度額が平成26年10月から引き上げられることになりましたので、確認してみましょう。
【確定拠出年金とは?】
確定拠出年金は、現役時代に掛金(年1回変更可能)を毎月拠出し、加入者自身が預金や投資信託などの金融商品を選んで運用しながら、60歳以降に加入者ごとの運用実績に応じて年金として受け取るものです。
制度を導入している企業にお勤めの方が加入できる企業型と自営業者や企業年金のない企業にお勤めの方が加入できる個人型があります。
毎月積み立てられる掛金の上限のことを拠出限度額といい、企業型は通常事業主が掛金を支払い、個人型は加入者が支払います。
転職しても年金資産の持ち運びができるメリットや、運用によっては元本を下回るデメリットもありますが、拠出時や運用時、受取時などに税金の優遇があるので、加入できる人は利用したい制度です。
(税制優遇)
掛金 | 積立中は非課税。 個人型の場合、掛金が所得控除(所得税、住民税が軽減)。 マッチング拠出の掛金は所得控除。 |
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運用時 | 運用益は非課税。 |
受取時 | 年金払い:雑所得として、公的年金等控除の対象。 一時金払い:退職所得として退職所得控除の対象(掛金拠出期間が勤続年数と見なされる)。 |
【何か変わるの?】
企業型の拠出限度額が平成26年10月から引き上げられることになりました。
確定給付型の企業年金がない企業の場合の限度額は51,000円から55,000円に、確定給付型の企業年金がある企業の場合は25,500円から27,500円にアップします。
対象者 | 拠出限度額(月額) | |
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企業型 | 確定給付型の企業年金がない場合 | (平成26年10月から)55,000円 |
確定給付型の企業年金がある場合 | (平成26年10月から)27,500円 | |
個人型 | 自営業者等 | 68,000円(国民年金基金等を合わせて) |
企業年金のない従業員の場合 | 23,000円 |
【マッチング拠出とは?】
企業型の場合、規約に定めることで、企業が拠出する掛金に上乗せして従業員が掛金を拠出することができます。従業員が拠出できる制度をマッチング拠出といいます。マッチング拠出の掛金額は企業の掛金額以内で企業と従業員の拠出の合計が拠出限度額内となっているので、今回、拠出限度額引上げに合わせて、掛金を増額できる方もいらっしゃるかもしれませんので、制度のある方は確認してみてください。
確定拠出年金に加入していても、ずっと加入時のままチェックしていない人も多いようです。この機会に確定拠出年金に加入できる人で未加入の人は利用を検討してみたり、加入している人は拠出額や運用商品の見直しなどしてみたらいかがでしょうか。
山田 志保実
ファイナンシャルプランナー(CFP®)
株式会社家計の総合相談センター