文化講座
新社会人になったら考えたい貯蓄プラン
この春から新社会人となり、初めて給料を受け取るという方も多いのではないでしょうか。入社直後の4月は、歓迎会や飲み会などのお付合いが増えたり、必要なものをそろえたりと出費もかさみがちですが、この時期に貯蓄する習慣をつけ、将来に備え自分でお金の管理をしていくことも考えましょう。
30代40代になってお金が貯まる人が実践しているのが「先取り貯蓄」です。受け取った給料から支出をして残ったお金を貯蓄するのでは、何年経ってもなかなかお金が貯まらず、急な出費や不測の事態に対応できず、将来のライフイベントも実現できない状況になってしまいます。まずは、自分に合った「先取り貯蓄」のしくみをつくりましょう。
STEP1 必要な生活費を把握し、無理のない金額でスタート
手取り収入の2割を目安に、ひとり暮らしで生活費の負担が多い場合は1割、実家暮らしなど家賃が発生しない場合は3割くらいなど、必要な生活費を把握して無理のない金額からスタートしてみましょう。資産形成はコツコツ長く続けることがポイントです。
STEP2 社内制度を把握し、給与天引きでスタート
先取り貯蓄の最強のしくみは「給与天引き」です。給与天引きとは、給与から自動的に積み立てるしくみのことで、給与を受け取る口座に振り込まれる前に差し引かれて貯蓄されるため、ついつい使ってしまうということがありません。勤務先に社内預金や財形貯蓄などの給与天引きの制度があれば活用してみましょう。
社内預金は、金融機関ではなく会社にお金を預ける制度で、勤務先倒産時のリスクはありますが、法律で金利の下限が決まっており、年0.5%です(平成29年3月現在)。社内預金がある企業は多くありませんが、金利が高く使い道や引き出しの制限もないため、利用しやすい制度です。
多くの企業で利用できるのが財形貯蓄です。一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の3種類があり、住宅資金や年金が目的であれば、一定額以内まで利子が非課税になるメリットもありますが目的外で払出しした場合は課税されます。目的が明確でない場合は、使い道を限定しない一般財形貯蓄から利用してみましょう。
この他の社内制度もしっかり確認しておきましょう。福利厚生や退職金制度など、将来のライフイベントに活用できる制度があれば安心です。
STEP3 身近な金融機関の自動積立でスタート
身近な金融機関で貯蓄のしくみをつくることもできます。「自動積立定期預金」であれば、毎月決まった日に定額を定期預金に自動的に積み立てることができるので、給与が振り込まれる金融機関で給与振込日の直後に設定しておくと便利です。ボーナスがあれば、指定月は増額するプランにしたり、臨時で積み立てられるプランもありますので、金融機関で確認してみましょう。
先取り貯蓄がスタートできたら、定期的に見直しをしましょう。社会人2年目になると前年の収入に対し住民税が引かれるようになります。税金や社会保険料なども考慮し、収入や支出の状況が変化したら、貯蓄プランも見直してみてください。
森 朱美
ファイナンシャルプランナー(CFP®)
株式会社家計の総合相談センター