愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

家計の総合相談センターの相談員のコラム

株式会社 家計の総合相談センター
ファイナンシャルプランナー
石川 友紀・森 朱美・佐野 圭子・宮田 かよ子
尾上 堅視・堀之内 千津

103万円の壁は本当に壁なのか?

主婦がパートなどで働く際に「103万円/年に抑えよう」と意識する方は多いですね。年収が103万円を超えると働くほど収入が減ってしまう収入の逆転現象が起きてしまうからというのが理由のようです。でも、本当に逆転現象となってしまうのでしょうか?103万円を超えると変わることを確認してみましょう。

①所得税がかかる

 パート収入は給与所得として所得税が課税されます。計算の方法はパート収入から給与所得控除額を差し引いて、さらに各種所得控除を差し引き、残った額があればそこに所得税率を適用します。年収103万円の場合、給与所得控除が65万円で、各種所得控除のうち基礎控除は無条件で38万円が適用されるため、それぞれを差し引くと所得が0円となり所得税はかかりません。ただ、所得控除は基礎控除以外にもあり、例えば生命保険料控除などが適用される場合は103万円を超えていても所得税がかからないこともあります。
 また、基礎控除以外に適用される所得控除がない場合で年収が103万円を超えたとしても所得税がかかる金額は103万円を超えた金額に対してです。例えば年収が105万円となった場合、103万円を超えた2万円に対して所得税がかかりますが、適用される税率は5%で所得税額は2万円×5%=1000円となります。


②夫の所得税を計算する際の配偶者控除が適用されない

 妻のパート収入が103万円までの場合、夫の課税所得を計算する際に、配偶者控除が適用され、夫の所得税が軽減されることになります。配偶者控除は38万円なので、これが適用されないと夫の課税所得が38万円増えその額に対する所得税が増えることになります。ただし、妻の年収が103万円を超えても141万円までは段階的に配偶者特別控除が適用されるため、実はいきなり38万円課税所得が増えることにはなりません。
 配偶者特別控除は配偶者の所得によって段階的に決まっており、例えば配偶者のパート収入が103万円超105万円未満であれば38万円、105万円以上110万円未満では36万円の控除額となります。つまり妻のパート収入が105万円未満であれば103万円以下の場合と控除額は変わらず、105万円以上110万円未満では2万円しか控除額が変わらないということになります。例えば、妻のパート収入が105万円となった場合、夫の課税所得が2万円増え、それによる所得税の増額は税率5%の場合1000円、10%の場合2000円となります。

このように確認してみると、仮に妻のパート収入が103万円から105万円に増えた場合、2万円の収入増で税金が数千円増額されるということにはなりますが、収入の逆転現象が起こることは無いようです。実は103万円というのはそれほど気にする壁ではないことがわかりますね。むしろ気を付けておいた方がいいのは130万円の壁です。年収が130万円を超えると社会保険制度の扶養から外れることとなり、国民年金保険料や健康保険料の負担が増えるため、ここでは収入の逆転現象が起こります。
また、夫の会社で扶養手当がある場合、「配偶者控除の対象となっている配偶者であること」といった条件があるのならば、103万円を超えることによって、税金が増えるだけでなく扶養手当がもらえなくなってしまうこともありますので注意が必要です。
さらに、今後は配偶者控除のあり方を見直すという動きもあるため、どのような制度になるのか確認していく必要もあります。
いずれにしろ、世帯の収入を考えていく際には、税金、社会保険、会社の制度など総合的に確認することが必要です。そして、目先の収入の増減にとらわれることなく、長期的な視野で収入を増やせる働き方を選択することも考えていきましょう。

石川 友紀
ファイナンシャルプランナー(CFP®
株式会社家計の総合相談センター

家計の総合相談センターの相談員のコラム
このページの一番上へ