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家計のサポート相談員のコラム

株式会社 マネースマート

『相続』主な改正点

民法では「相続」について、相続人は誰か、遺産は何かなどの基本的なことが相続法で定められています。相続法は平成30年7月に大きく改正され、今後、順次施行されていくことになります。
どのような点が将来的に変わっていくのか主なポイントを紹介します。

●「配偶者居住権」の導入

「配偶者居住権」は死亡した被相続人が所有していた建物にその配偶者(夫死亡時の妻など)が住んでいる場合に、その自宅を終身または一定期間、無償で住み続けられる権利です。建物の権利を売買や人に貸すことができない「配偶者居住権」と、「負担付の所有権」に分け、遺産分割などにより、配偶者が所有権より評価額の低い「配偶者居住権」を取得し、他の相続人が「負担付の所有権」を取得した場合、配偶者は自宅に住み続け、さらに所有権よりも評価額が低いことで預貯金などの他の財産も所有権の時より多く取得できる可能性もあるので、配偶者が安心して住み続けやすくなりました。

●相続人以外の者の貢献を考慮可能に

子供の配偶者が義父母の介護などを担うことも少なくないですが、子の配偶者などの相続人ではない親族が、無償で被相続人の介護や看病に貢献した場合には一定の要件のもとで、相続人に対し、金銭の請求をすることができるようになります。

●預貯金の仮払い制度の創設

相続人は生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済など、お金が必要になった場合でも、遺産分割が終わるまでは、被相続人の預貯金の払戻しができませんが、遺産分割前にも預貯金のうち一定額については、家庭裁判所の判断を経ずに金融機関で払戻しができるようになります。

●自筆証書遺言に関する見直し

自筆遺言書(自筆証書遺言)に添付する財産目録は、自筆作成することになっていますが、今後はパソコンで作成が可能になります。また預金通帳や不動産の履歴事項全部証明書のコピーに自署押印したものを財産目録とすることも可能になります。 また、法務局に自筆証書遺言の「保管制度」が創設されることになっており、改ざん防止に役立ちます。

 これらの改正は、高齢化社会や核家族化など社会環境の変化により、残された家族が困らないように対応するための見直しです。

新たな相続法は、平成30年7月13日公布の日から原則として1年を超えない範囲内で、政令で定める日から施行されますが、配偶者居住権に関する規定や遺言書保管制度については、公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行される予定になっており、施行日がいつになるかはニュースなどをチェックして確認してください。

山田 志保実
ファイナンシャルプランナー(CFP®
株式会社家計の総合相談センター

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